俳優の山田裕貴が主演を務める、映画『夜、鳥たちが啼く』(12月9日公開)の予告編が14日に公開された。

映画『夜、鳥たちが啼く』

映画『夜、鳥たちが啼く』

同作は佐藤泰志による同名短編小説(所収『大きなハードルと小さなハードル』河出文庫刊)の実写化作。若くして小説家デビューするも、その後は鳴かず飛ばず、同棲中だった恋人にも去られ、鬱屈とした日々を送る慎一(山田裕貴)のもとに、友人の元妻、裕子(松本まりか)が、幼い息子アキラを連れて引っ越してくる。慎一は恋人と暮らしていた一軒家を、離婚して行き場を失った2人に提供し、自身は離れのプレハブで寝起きするという奇妙な共同生活を送るようになる。

予告編は人生をあきらめかけた小説家・慎一(山田)の家に、愛をあきらめかけたシングルマザー・裕子(松本)が引っ越してくるところから始まる。慎一はかつて恋人と暮らしていた一軒家を離婚して行き場を失った裕子に明け渡し、離れのプレハブで暮らすことに。プレハブと一軒家という近くて遠い、いびつな「半同居」生活をスタートさせることになる。

プレハブで生活する慎一は若くして小説家としてデビューしながらも、その後は鳴かず飛ばず。サラリーマンとして働きながら、そんな自分に嫌気が差し、もがき続けるように夜ごと一心不乱に小説を書き続ける。小説の内容を裕子に問われた慎一は「嫉妬深い男の話」と、絞り出すような声でボソリと囁く。まるで自分自身のことを描いているようで、身勝手な振る舞いや押さえきれない嫉妬心によって恋人を失ったかつての自分や、後悔、不甲斐なさと必死に向き合っているような様子を見せる。映像では、慎一が元恋人・文子(中村ゆりか)との別れ際、ボロボロになりながら泣き叫ぶ姿や、裕子に「向こう(の家)はあいつ(元恋人・文子)と住んでいたところだから…」と心の叫びを吐き出すかのように気持ちを明かすシーンなどが盛り込まれ、心の傷がいまだに癒えていない姿が映し出された。

一方の裕子も「アキラを寝かせて一人でいられないの……」と孤独に震える心の内を明かす。離婚届に判を押し、相手の女性を睨みつけるという、親として人として強くあろうとする毅然とした姿が映し出されるも、ひとり息子のアキラが眠りについた後、行きずりの出会いを求めて夜の街へと出かけ、寂しさを紛らわせる様子も。孤独を埋めるように夜ごと出歩く裕子をプレハブ小屋から覗き、気に掛ける慎一だったが深入りしないよう見て見ぬふりをする。お互い距離を保ちながらも穏やかな生活を送っていたある夜、慎一に小説を書き続ける理由を問う裕子。慎一は「終わらせたいから…」 と呟き、見つめあう2人の間にはこれまでとは違う、お互いの心に一歩踏み込んだような緊張感と濃密な空気が流れていた。

終盤、慎一とアキラが公園で遊んでいる様子や、花火を見る姿は3人に家族のような繋がりが生まれたことを予感させる。また慎一と裕子が互いを求めるシーンからは2人の関係性にも変化があったことがうかがえる。「このままやってみたらどう? 結婚もしてないのに、家庭内別居」と、提案する慎一に裕子の出した答えとは。ラスト、冒頭の苦悶に満ちた表情から一変、机に向かう慎一の穏やかで安らかな表情は何を物語るのか、2人の行く末が気になる映像となっている。

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