日立ジョンソンコントロールズ空調は9月29日、日立ルームエアコン「白くまくん」のプレミアムモデル「Xシリーズ」2023年モデルを発表しました。最大の特徴は、カーテンなどの付着カビまで抑制する空気清浄機能の搭載。そして、オプションで取り付け可能な換気機能です。
シリーズのラインナップは、冷房能力2.2kWの「RAS-X22N」から冷房能力9.0kWの「RAS-X90X2」までの11モデル。日立のプレミアムエアコンは清潔性の高さで人気ですが、新製品はどう変わったのか、プレス向け新製品発表会でチェックしてきました。
部屋の隠れた付着カビにも効く「Premium プラズマ空清」
日立のプレミアムエアコンには、エアコン内部を自動掃除する優れた機能があります。最近は、複雑な形状の熱交換器を凍らせて結露水で洗う高機能エアコンが増えてきましたが、室外機の熱交換器(内部)まで凍らせて掃除したり、風を送るファンも自動掃除したりする「ファンお掃除ロボ」を搭載しているのは、白くまくんのXシリーズならでは。そんなXシリーズ新製品の大きな特徴は「Premium プラズマ空清」機能です。
昨年(2022年)モデルのXシリーズにも、プラズマイオン空清機能はありました。室内機の吹き出し口にイオンを発生させる電極をひとつ配置していたのですが、新しいPremium プラズマ空清は従来のイオン発生器に加えて、吸い込み口にも4つの電極を装備。発生イオン量と放出範囲がパワーアップしました。
室内機から空気中に放出されたプラズマイオンが、浮遊するカビや菌、ウイルスといった微粒子汚れに付着。そして、室内機の吸気によって、プラズマイオンが付着した浮遊微粒子が熱交換器とくっつき、空気を清浄化して部屋へと送り出します。
これは電気式と呼ばれる空気清浄機と同じ方式ですが、エアコンは一般的な空気清浄機よりも巨大な吸着金属プレート(熱交換器)を内蔵しているため、より効率的に空気中の汚れを捕集できるといいます。しかも、熱交換器に付着した汚れは、熱交換器の自動掃除機能「凍結洗浄 ヒートプラス」によって自動的にドレン水として屋外に排出されるため、メンテナンスの必要もありません。
ただし、これだけではカーテン裏やタンスの隙間に発生する付着カビは抑制できません。そこで新Xシリーズは「おまかせ・空清」機能を搭載。ボタンを一度押すだけで、Premium プラズマ空清が作動すると同時に除湿も行う運転モードです。
カビの発生・増殖には、カビの元や養分となる浮遊カビやホコリ、そして一定以上の湿度が必要になります。Premium プラズマ空清によって養分となる浮遊カビやホコリを除去し、合わせて除湿機能で50%以下の湿度(カビ抑制湿度帯)にして、隠れた場所のカビも抑えるとのことです。
換気機能「プラス換気ユニット」は珍しい別売り仕様
もうひとつの注目機能は換気機能。エアコンは基本的に「部屋の空気を循環させる」機械です。しかし、コロナ禍によって換気が注目され、最近は換気ができるエアコンも少しずつ増えてきました。今回のXシリーズは専用の「プラス換気ユニット」(別売)と組み合わせることで、換気も可能になります。プラス換気ユニットは排気換気のみ対応し、外気を取り込む吸気換気はありません。
プラス換気ユニットの有効換気量は毎時47平方メートルと、なかなかパワフル。また、換気機能搭載エアコンは運転音がうるさい製品もありますが、新Xシリーズは人感センサーで人の活動量にあわせて換気量を調整。人が静かにすごしているときは自動的に静音運転になるそうです。夏の冷房運転時は室内と屋外の気温をセンシングして、部屋が暑い場合は熱気を外に自動排気します。
なお、これまで日立エアコンの特徴でもあった「くらしカメラ」はなくなりました。くらしカメラとは、カメラで部屋の間取りや人の識別をする機能です。間取りに合わせた気流制御や、人の在室時間などから冷房による冷やしすぎを予測していました。今回、カメラ機能はなくなり、人感センサーと温度・湿度センサーによる制御に変わっています。
最近はプレミアムエアコンに換気機能を搭載するメーカーが増えてきました。今後この流れが進めば、換気機能のないプレミアムエアコンの選択肢は減るかもしれません。とはいえ、換気ができるエアコンはメリットばかりではなくデメリットも。
たとえば吸気型の換気エアコンは屋外の花粉を吸い込む可能性がありますし、換気機能を搭載することで運転音が大きくなる製品もあります。また、2003年以降の新築物件なら24時間換気システムの設置が義務化されているため、「エアコンに換気機能はとくにいらない」という人もいるでしょう。換気機能をユニット化してユーザー自身が有無を選べるというのは、ユーザーにとって有益な仕様だと感じます。
倉本春
くらもとはる
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