7月30日、31日に、サウジアラビア リヤドにて、eスポーツの国際親善大会「日本・サウジアラビア eスポーツマッチ」(日・サ eスポーツマッチ)SAUDI ARABIA ROUNDが開催されました。
「日・サ eスポーツマッチ」は、日本とサウジアラビア2国間の戦略的パートナーシップをとりまとめた「日・サウジ・ビジョン2030」の一環として行われています。
「日・サ eスポーツマッチ」は、ホームアンドアウェイ方式での開催。2021年10月には日本開催のJAPAN ROUNDが行われています。
対戦で扱われるタイトルは『eFootball 2022』『グランツーリスモSPORT』『THE KING OF FIGHTERS XV(KOF XV)』『ストリートファイターV チャンピオンエディション(SFV)』『鉄拳7』の5タイトル。『KOF XV』は日本生まれですが、現在サウジアラビアが権利を持つタイトルで、それ以外はすべて日本産タイトルです。日本とサウジアラビアが鎬を削りあうタイトルとしてふさわしいと言えるでしょう。
ちなみにJAPAN ROUNDでは『KOF XV』ではなく前作『KOF XIV』が使用されていました。また、選手の都合などにより、JAPAN ROUNDとはメンバーが異なります。
初日の30日は、『鉄拳7』『KOF XV』『グランツーリスモSPORT』の3タイトルで対戦が行われました。
最初に行われた対戦は『鉄拳7』です。JAPAN ROUNDに出場した破壊王選手に代わりAO選手が出場。結果はマッチ1のAO選手とマッチ2のダブル選手が勝利し、マッチ3のペコス選手が敗れます。
マッチ1・2の勝利ポイントが1ポイントに対してマッチ3が2ポイントなので、この時点で同点となり、代表者決定戦にもつれ込みます。決定戦にはAO選手が出場。これに勝利し、日本代表が勝利を収めました。
なお、大会の様子はYouTubeのSaudi Esportsチャンネルにて配信されました。日本語は対応していませんでしたが、サウジアラビアのキャスターが度々格ゲー用語を発する配信は、観ていてとても楽しめました。特に「okizeme!(起き攻め)」はかなり頻繁に使われていて、格ゲー界では世界共通語であることがわかりました。
次に行われた対戦は『KOF XV』。JAPAN ROUNDに出場していたLaggia選手とM’選手が不参加となり、代わりにmok選手が招集されました。日本代表は2人の参加なので、マッチ1が少年選手、マッチ2・3はmok選手が務めます。試合は3試合とも日本代表が勝利しました。
Day1の最終競技は『グランツーリスモSPORT』です。日本代表はJAPAN ROUNDに出場していた8名から6名になり、6人対8人の変則マッチ。ただ、レース形式はそれぞれの国の選手同士がレースし、上位4名がファイナルレースに進む方式なので、日本代表がそこまで不利になることはありません。
ファイナルレースでは、1位1ポイント、2位2ポイントと順位と同じポイントが加算され、合計ポイントの低いチームの勝利となります。1位を獲得しなくてもチームとしては勝利できる方式です。結果は1~4位を日本代表が独占し、10対26の最大得点差で日本代表が勝利しました。
Day2は、『ストリートファイター チャンピオンエディション(SFV)』と『eFootball 2022』の2タイトルです。
『SFV』は、今大会で唯一、JAPAN ROUNDと同じ日本代表メンバーで臨みます。出場するのは、ときど選手、ネモ選手、ふ~ど選手の3選手。大会形式は星取戦の団体戦で、マッチ1・2が勝利ポイント1ポイント、マッチ3が2ポイント獲得できます。2-2の同点になった場合は、勝利チームに1ポイントが入るタイブレークを行います。
これを3セット行い、合計獲得ポイントが多いチームの勝利です。セットごとに対戦相手が変わるので、3セットで全員と対戦できるようになっています。結果は、日本代表が1つも星を落とさず3セットともストレート勝ちし、12対0で勝利しました。
「日・サ eスポーツマッチ」の最終戦は『eFootball 2022』です。日本代表は、JAPAN ROUNDに出場していたかつぴーや選手に代わり、まーさん選手が参加しています。
試合は5ゲームマッチで、ゲーム1~3が1v1で対戦。勝利チームには1ポイントが加算されます。ゲーム4・5は2v2での対戦となり、勝利チームには2ポイントが与えられます。1v1の3試合は日本代表が2勝1敗、2v2の初戦も勝利し、4ポイントを獲得し、最終試合を残して日本代表の勝ちが確定しました。5試合目はサウジアラビア代表が取り返し、ポイント的には4対3の僅差での決着となりました。
「日・サ eスポーツマッチ」は、日本側の圧勝で終了したわけですが、勝敗以上に大きな成果をもたらしたと言えるでしょう。サウジアラビアは、かつて日本にとって観光目的での入国が難しかった国の1つでした。ですが、今回の交流戦でサウジアラビアに興味を持つ人が増える可能性があるほか、今後eスポーツマッチが定期開催されれば、日本代表選手を応援する目的で行く人が増える可能性もあるでしょう。
『SFV』のネモ選手は、サウジアラビアを訪れたことで、明るい展望を期待します。
「SFVの対戦環境は日本のほうがよく、レベル差はまだまだあると思いました。しかし、TalooBreaker選手は16歳の若手でありながら、ふ~ど選手や自分も1本取られるくらいの強さがあり、今後の成長がとても楽しみな選手です。また、試合の前後には現地を案内してもらい、文化に触れられる時間もありました。eスポーツへの力の入れ具合も肌で感じられたので、今後のサウジアラビアの選手の活躍が期待できます。再びeスポーツイベントでサウジアラビアを訪問するのが楽しみです」(ネモ選手)
実際、「日・サ eスポーツマッチ」はどちらのラウンドでも日本が勝利を収めましたが、SAUDI ARABIA ROUNDのほうが僅差です。体調的に有利なホームだったとはいえ、半年の間にサウジアラビア代表が成長したとも言えます。
最近、サウジアラビアでは日本のアニメが大ブームとなっており、日本とサウジアラビアによる合作である劇場版アニメ「ジャーニー」も公開されています。文化交流はますます盛んになるでしょう。
その反面、日本の多くの若者はサウジアラビアの文化をほとんど知りません。今回日本代表としてサウジアラビアを訪れた選手は、サウジアラビアの文化に触れた貴重な機会を得ているので、日本に伝えることで、今回の交流戦が完結するのではないでしょうか。
今後も「日・サ eスポーツマッチ」を定期開催してお互いの国の文化の伝道師を1人でも多く増やしてほしいところです。
著者 : 岡安学
おかやすまなぶ
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