アップルはApp Storeのゲームから巨大な利益を得ていると推測されていますが、2019年の収益は任天堂、マイクロソフト、Activision Blizzardおよびソニーといった大手ゲーム企業の合計よりも多かったとの分析が報告されています。
この分析はThe Wall Street JournalがアップルとEpicの「フォートナイト」やApp Storeの手数料を巡る訴訟で提出された膨大な資料から導き出したものです。これら資料は本来なら門外不出のアップル社内メールまで含まれており、Netflixにアプリ内購入を存続するよう懇願していたことや、Facebookとの関係が10年以上前から険悪だったことなど、裁判と関係ない事実まで明るみになっていました。
さてWSJの分析によると、2019年にアップルがゲームから得た営業利益は85億ドル(約9400億円)とのことです。ちなみにアップルは上記の裁判にて、議論された営業利益率は正しくなく、現実よりも高いと反論していました。
この85億ドルという数字は、任天堂、マイクロソフト、Activision、ソニーが同じ2019年内にゲームで稼いだ営業利益よりも約20億ドル多いとされています。うち3つはそれぞれの企業が提出した資料に基づき、マイクロソフトのデータはアナリストが推定したものです。
もう1つWSJが考慮している材料は、モバイルアプリ調査会社Sensor Towerによる推計です。それによるとアップルはApp Storeから年間159億ドルの収益を得ており、そのうち69%がゲームによるとのこと。その一方で、上記の裁判でのデータでは、App Storeの年間の営業利益は123億ドルで、営業利益全体のほぼ5分の1を占めているとされ、推定にもかなりの幅があると思われます。
アップルはWSJに対して、裁判で議論された営業利益率は、App Storeにまつわる数々のコストを考慮していない分析結果に基づいていると述べたそうです。実際、裁判資料ではゲームから上がる収益は網羅されている一方で、App Storeの運営にかかる費用はごく一部しか含まれていません。
そうした利益の内訳や運営コストはさておき、アップルが家庭用ゲーム機の代名詞とも言える任天堂やソニー、マイクロソフトを束にしたよりも大きな力を持っていることは事実と言えそうです。
アップル対Epic訴訟は9月10日に判決が下り、そこではアップルが「55%以上もの市場シェアと非常に高い利益率」を得ていることが認められながらも、Epicが主張する「アップルは違法な独占企業」との主張は証明されないと結論づけられました。
Epicはこれを不服として控訴しており、独自のアプリ内決済を勝ち取るまで戦い抜くと思われます。その努力が報われるかどうかはさておき、アップルがApp Storeのゲームで儲けすぎているかどうかの論点は、さらに掘り下げられるのかもしれません。
Source:The Wall Street Journal
via:AppleInsider