7月27日にXbox Series X|S対応を控えるマイクロソフト フライトシミュレーター が、PCでも同日のアップデートで大幅なパフォーマンス向上を果たすことが分かりました。
開発者Q&Aセッションで公開された例では、開発用PCで30から35fps程度だったマンハッタン島近辺の低空飛行が、Sim Update 5適用後には60fps近くまで滑らかになり、RAM使用量も10GB近く低減しています。
『Microsoft Flight SImulator』(MSFS)は、1982年から続くマイクロソフト最長寿ゲームシリーズの最新作。2020年夏に14年ぶりの新作としてリリースされた今作では、衛星写真や航空写真、Bingマップの地図データ等をAI処理することで、全世界の樹木 約2兆本、建造物 約15億棟、空港 約3万7000か所などを再現します。
さらにリアルタイムの気象データや現実の運航状況データなど多数のデータソースを組み合わせ、「もうひとつの地球」を目指す野心的なプロジェクトです。
それだけにPCへの要求仕様も高く、高解像度・高フレームレートで飛ぶには高性能なGPUに加えて、機体挙動のシミュレーションや地形データの生成・展開のためCPUもRAMもハイエンドが要求される作品でした。
開発元 Asobo Studioが恒例の開発者Q&Aセッション第9回のなかで明らかにしたところによると、7月27日にリリース予定のアップデート5(Sim Update 5)はXbox Series X|S対応にあわせた最適化を含むため、PCでもCPU使用量やRAM使用量の軽減、描画フレームレートの向上が期待できるとのこと。
パフォーマンスの向上幅は動かすPCの構成やグラフィック設定、飛ぶ場所や状況によって変わるため、あくまでひとつの例としつつも、特に建造物が多くCPU的に重いマンハッタン島の場面では、現行の Sim Update 4では35fps(一秒間に35回書き換え)程度だったのに対して、Sim Update 5では60fpsに近くなるなど大幅なパフォーマンス向上を見せていました。
(PCの構成は Core i7-9700Kに32GB RAM、RTX 2060 SUPER。グラフィック設定ULTRA、解像度4K、レンダースケーリング40の設定。実レンダリング解像度はフルHD以下)
さらにアップデート前はCPU使用率が100%、RAMは約27GB使用だったのに対して、アップデート後はCPU 75%、RAM 約14.5GB使用と大幅に軽くなっています。
これは従来のボトルネックだったCPU処理を最適化したため。逆にGPUへオフロードした分、GPU使用率は75%から99%になっています。
このほか、開発者Q&Aで語られた主な点は、
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マイクロソフト フライトシミュレーター はマルチプラットフォーム対応のひとつのソフト。Xbox Series X|S版は独立した簡略版ではなく、基本的には共通のコードベースで動く。クロスプレイ・クロスセーブ。
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Xboxでもマーケットプレイスは共通。追加機体やランドマークなど、サードパーティコンテンツも買って使える。サード開発者がXbox除外を希望しない限り。
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PCとXboxの違いはグラフィックオプション。PC版はマシン環境が様々なので設定も各自で最適なものを選ぶ必要があるが、Xbox版は統一されたハードウェアなので最適な設定をデフォルトにできる。
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将来の Sim Update (シミュレータ部分の更新)やワールドアップデートも、すべてXbox Series X|Sにも提供する。
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別売りで購入できる追加機体やランドマークなど、サードパーティ製を含む追加コンテンツも同様。
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Xbox版はゲームパッドのほか各社のフライトスティックやペダル、あるいはマウス・キーボード操作に対応。
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パッドのスティックはフライトスティックと違い軽く、微妙な調節が難しいため、パッド操作を助ける入力カーブを用意する。
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Xbox Series X|Sは基本30fpsロック。接続するテレビやモニタがVRR(可変リフレッシュレート)対応ならば30以上になる。
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実際のfpsはどの機体でどんな場所を飛ぶか、視点や状況に依存して大きく変わる。開発者がエアバスA320でパリ上空を飛ぶときは35から40fpsで、最低に近い数字。状況により60fps近くまで出る場合も。VRR非対応の場合はその場合も30fpsロック。
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解像度はSeries Xで4K、Series Sは1080p。
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E3のXbox版トレーラーが初出のパーティクルエフェクト等も、PCに導入される。
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将来的にはxCloud (Xboxクラウドゲーミング)にも対応。旧機種のXbox Oneやスマートフォン、非力なノートPC等ではクラウド経由で遊べるようになる。
Xbox版マイクロソフト フライトシミュレーターは7月27日配信。Xboxゲームパス同日配信
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Xbox版のグラフィックはDirectX 12ベース。Sim Update 5時点では、PC版はまだDX11。今後PCでもDX12へのアップデートでさらにパフォーマンス向上の可能性はあるが、まだ分からない。
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PC版のDX12アップデートでは、 パフォーマンス向上のほかレイトレーシングなど新機能も導入できる。
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世界各国のランドマークや空港を追加するワールドアップデートは、2022年には計6回提供予定。北米のパート2も含む。(これまでは第一弾の日本を皮切りに、北米I、 UK、フランス/ベネルクス、北欧の計5回を配信済)
マイクロソフト フライトシミュレーターはスタンダード版がマイクロソフトストアで7450円。Steamでも販売しています。
マイクロソフトの定額ゲームサービス Xbox Game Pass に含まれるため、加入者ならば追加費用なしで遊べます。Xbox版もリリース初日からプレイ可能です。
Xbox Game Pass全部入りを半額以下で契約する方法。年間約8000円オフ、チャンスは加入前の一度きり
Xbox Game Pass のPC向けプラン、および全部入りプラン Xbox Game Pass Ultimateは、初月100円で加入可能。Xbox Series X|Sは品薄でなかなか手に入りませんが、とりあえず1か月ならば100円でPC版をプレイできます。
一度買えばWindows 10でもXboxでも遊べる Play Anywhere対応ソフトなので、PCとXbox Series X|Sのどちらで買うか遊ぶか悩む必要はありません。
(ただし、Play AnywhereはPCのマイクロソフト ストアまたはXboxで買った場合のみ有効。Steam版を買った場合、あとからXbox版を無料で入手できないことに注意してください。)
PC版のリリース直後に試してみたら力不足で重すぎたというかたも、7月27日のアップデート以降にまた試してみればより快適に飛べるかもしれません。
マイクロソフト フライトシミュレーター開発者インタビュー。VRやXbox対応など予定多数、「もうひとつの地球」目指す
以下余談。
存在しない地上212階建ての塔として話題になったバグ建造物、通称『メルボルン・シタデル』は修正済み。同じくリアルでシュールな光景が話題になった『ブラジルの大穴』も修正されています。
誤データで地上212階の非実在タワーがMSフライトシミュレーターに出現。バーチャル観光名所化
メルボルンの巨塔は単にやたらと高いだけで、有視界飛行を混乱させる程度の実害しかありませんでしたが、ブラジルの大穴はデータ上の不整合から、底まで飛ぼうとするとシミュレーションが破綻しグラフィックがおかしくなる深刻なバグでした。
いずれも近くを飛ぶのは楽しかっただけに、バーチャル観光地あるいはファンタジー地球として何らかのかたちで復活させてほしいものです。
マイクロソフト フライトシミュレーターにこれからデビューするかた、久々に遊ぶかたにおすすめなのは、最近の新規追加機体『Solo 103』 (トップ・ラダー・エアクラフト製 ソロ 103 ウルトラライト)。
パラグライダーのエンジンを載せた超軽量機として、風の影響や空力モデルを直に感じられる操作の楽しさに加え、壁も床もないスケルトンなコックピットから、主観視点の遊覧飛行をこれまでになく楽しめます。
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