Activision Blizzardの『CoD』開発子会社、労働組合結成派のQAチームを分散配転

by bgame

Activision Blizzard

『Call of Duty:Warzone』などを手がけるActivision Blizzardのゲーム開発子会社Raves Softwareでは先週、長らくストライキを続けていた品質保証(QA)チームがCommunication Workers of America (CWA)とともに労働組合結成の意思を表明、Activision Blizzardがこれを承認してもしなくても、自主的に組合を組織する方向でことは進んでいました

Activision Blizzardは組合結成に関して25日の期限までに判断を下さず、QAチームの従業員が職場に復帰したその日に、チームの再編を通告、ゲーム開発の各部門に分散して配置する「埋込み(組み込み)」と呼ばれる異動措置を実施し始めています。

Raven Softwareの責任者Brian Raffelは社内宛のメールで「われわれのQAチームがアニメーション、アート、デザイン、オーディオ、生産とエンジニアリングを含む、スタジオ全体の様々なチームに直接組み込まれることを喜ばしく思う」と述べ、この準備は数か月前から進められていたとしました。

Activisionの広報もRaven内部の配置転換について「この変更により、ゲームとプレイヤーをサポートするための各チームの協力体制が強化され、優秀なQAスタッフの活躍の場がさらに広がることになる」とコメント。さらに「この体制によりRavenは他の著名なアクティビジョンスタジオのベストプラクティスと一致」していると主張しました。

しかし、CWAの組織化ディレクタートム・スミス氏はこの動きについて「今回のことはActivision Blizzardが労働者のために新しい改善された職場基準を設定するという真のコミットメントを示すチャンスだった。しかし、会社はその代わりとしてわれわれの団結を妨げるために、急遽配置変更を発表することを選んだ」「これはQAチーム労働者による組合組織化の権利行使を妨害する戦術以外の何でもない」と、組織再編の目的が本来と違うところにあると指摘しました。

さらに「経営陣が『団結』『シナジー』『革新』などという中身のないワードを並べるときは、わかりやすくいえば労働者に対して「われわれが全権を握り、全決定を下す」というメッセージを送っている」として「だからこそ労働者は職場から発言権を持てるよう組織化するのだ」と述べています。

たしかに、近年のゲーム開発現場においてQA担当チームを各部門に埋込み配置することは、独立した部門として活動するのに比べきめ細かな意思疎通とフィードバックの提供が可能になるとされ、Polygonによれば他のAAAスタジオからインディーズに至るゲームスタジオでも、同様の見解を示しているとのこと。ただ、今回のケースの場合は、やはりそれよりも組合結成への妨害の意図の方が強いように思えます。

Raven Softwareでの組織再編が今後の組合結成に与える影響はまだわかりませんが、この動きによって組QAチーム労働者間での連携がしにくくなることが心配されています。

ちなみにActivision Blizzardはこの件とは別に、組織的な男女差別とセクハラ疑惑に関する訴訟と複数の調査の対象となっており、不満を募らせた従業員が長年CEOを務めてきたBobby Kotickの辞任を求め、複数回にわたってストライキが行われています。

Source:Game Workers Alliance(Twitter)

Coverage:Polygon

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