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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

 マーベル映画史上もっとも残忍なダーク・ヒーローの活躍を描くシリーズ第2作。

今回はヴェノムに寄生された主人公エディ(トム・ハーディ)に嚙みついて、その血を体内に入れた死刑囚クレタス(ウディ・ハレルソン)が残虐非道の怪物カーネイジへと覚醒し、やがてヴェノムとの狂気の対決を余儀なく迎えることになります。

今回、特筆すべきはやはりクレタス役のウディ・ハレルソンと、その恋人シュリーク役のナオミ・ハリス!

もはや同情の余地すらない極悪非道のこのカップル、しかしながら妙にクールで魅力的でイカシまくっていて、往年の映画ファンからすると『俺たちに明日はない』(68)のボニー&クライドを彷彿させてくれるのです。

特にタフなワルを演じさせたら右に出る者のいないウディ・ハレルソンと、現在公開中の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のマネーペニーことナオミ・ハリスのコンビとなると、これだけでもう映画ファン必見!興奮!そして凶悪なのになぜか泣けてくる!

一方で今回は主演のトム・ハーディが原案も担当していますが、エディとヴェノムの掛け合いはもはやドタバタ漫才の域に達しているかのような面白さがあります。

ダークに、そしてグロテスクな方向へといくらでも導くことのできるシリーズではありますが、そういった基本ラインこそ押さえつつ、時にナンセンスなまでのブラック・コメディ色を高めることで独自の味わいを醸し出そうとする姿勢は、おそらくこの後も続くであろうシリーズの魅力を決定づけていくのかもしれません。

何よりもトム・ハーディってこんなにお茶目で可愛かったっけ?と言いたくなるようなエディの翻弄されまくり絵図の数々は、ファンの数を一段と増やしてくれそうな予感もあります(ついこの間はクールの極致たるマッド・マックスをやってたのにね)

クライマックスも含めてド派手なダイナミズム超大作ながら、上映時間はプログラムピクチュアのような手軽さなのも、このシリーズの雰囲気を好ましく伝え得ているような気もしています。

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(文:増當竜也)

『ヴェノム:レットゼア・ビー・カーネイジ』作品情報

ストーリー
“悪人以外を食べない”という条件でエディ・ブロックの体に寄生した地球外生命体“シンビオート”のヴェノムは、“俺たち”としての共同生活には慣れつつも、食欲の制限を強いられ、ストレスフルな毎日を過ごしていた。そんな中、ジャーナリストとして未解決事件の真相を追うエディは、刑務所である死刑囚と再会する。その男の名は、クレタス・キャサディ。これまで幾度となく猟奇殺人を繰り返して収監されたシリアルキラーで、死刑執行が迫っていた。”私の秘密を教えようか“と不気味に微笑み、エディに異様な興味を示すクレタス。その時、突如エディの腕に噛みついたクレタスは、エディの血液が人間とは異なることに気づく。やがて訪れた死刑執行の時、エディの血液を取り込んだクレタスは、ついに凶悪な”カーネイジ“へと覚醒。刑務所の受刑者や景観を無差別に虐殺し、世界を闇に塗り替えていく……。

予告編

基本情報
出演:トム・ハーディ/ミシェル・ウィリアムズ/ナオミ・ハリス/リード・スコット/スティーヴン・グレアム/ウディ・ハレルソン

監督:アンディ・サーキス

公開日:2021年12月3日(金)

製作国:アメリカ