岸優太が主演を務める、映画『Gメン』が公開中だ。小沢としお氏による同名コミックを実写化した同作は、女子に大人気と噂の男子校に転校したはずが、問題児ばかりが集まる1年G組に入ってしまった門松勝太(岸優太)が、そこで出会ったクセの強いクラスメイト(竜星涼、矢本悠馬、森本慎太郎、りんたろー。)や上級生らと共に、熱い友情や恋に全力で青春を謳歌する姿を描く。

今回は、主演の岸優太と、モテモテイケメンの瀬名拓美を演じた竜星涼にインタビュー。まさかの高校生役に挑んだ心境や撮影中の裏話、また主演としての岸の存在についてなど、話を聞いた。

  • 左から竜星涼、岸優太 撮影:宮田浩史

    左から竜星涼、岸優太 撮影:宮田浩史

■高校生役に「初めは少し不安」

――今回の作品が決まった時の感想と、周囲の反応をぜひ教えてください。

岸:決まった時の心境は「『Gメン』ってなんだ?」ということです。

竜星:(笑)

岸:自分が知っていたのは「万引きGメン」だったので、そういう作品なのかなと思って蓋を開けてみたら全然違って。周りからも「万引きGメン役かと思ってた」という声がたくさん来ました。

竜星:僕は以前から監督の瑠東(東一郎)さんと「また面白いことをやろう」と話していたんですが、今回は「すごいイケメンの役」と聞いて、「久々にイケメンの役が来た!」と。ただ高校生の役という点は、初めは少し不安でした。撮影をしている時はまだ20代だったんですけど、公開する時にはもう30歳になっているし。でも、もっと年上の高良くんや田中圭さんも高校生役ということで、大丈夫だなと思い挑戦しました。

――改めて制服姿を見たときはどういった印象でしたか?

竜星:僕は、爆笑でした。矢本悠馬からはずっと「瀬名は違うって。もっといわゆる、今をときめく若い子でなければいけない」と言われていたけど、俺も俺でみんなに対してずっと厳しいと思ってたから!(笑) でも、だんだん馴染んでいったんじゃないかな。キュンキュンしてくれた?

岸:キュンキュンですか?

竜星:イケメンだなと思ってくれた?

岸:映像で見たら、やっぱりすごいなって……。

竜星:待って、映像で?

岸:近くにいすぎるとわかんないんですよ、人って。

竜星:大体の俳優さん、「近くにいてもイケメンだな」って言ってくれるよ!?

岸:いや、それはやっぱりウソ言う方が失礼なので(笑)

竜星:ウソ!? 心外だよ! 公開が不安だ(笑)

岸:僕自身も、制服を着たときに最初は違和感がありました。鏡でよく見ると青髭感が残ってたり……よく見るとですよ!? でも、映像を観てみると、いろんな方が僕たちを高校生にしてくれて、その上で深みのある哀愁も出ていたので、そういった意味ではものすごくいい方向にいったと思います。

――1番ビジュアルが似合っていたのはどなたでしょうか?

岸:どうですかね?(笑) 現場ではみんなで「大丈夫?」と確認し合ってましたね。

竜星:1人、タクシードライバーみたいなりんたろー。さんがいたし(笑)。ずっとタクシードライバーにしか見えない!

岸:でも、映像で見てみたらちゃんと馴染んでて。

竜星:実際、悠馬も森本くんもビジュアル的に出来上がってたし、優太も「岸優太」って感じですごくよかった。このために髪の毛も切ったんでしょ? 原作とそっくりだよ。

岸:いい意味でってことですよね!? 全然、今までこれくらい髪切ったことあります。褒めてくれてるんですね?

竜星:ずっと褒めてる。

岸:太鼓判をいただいています(笑)

■『Gメン』はいい意味で「観終わった後、疲れる」

――ヤンキーものって名作がたくさんあって、盛り上がっているジャンルでもあると思いますが、その中で『Gメン』ならではの面白さはどこにあると思いますか?

岸:緩急が面白いです。ヤンキーものの作品はたくさんありますけど、『Gメン』は恋愛ものでもあるし、友情ものでもあるし、色々なストーリーがあるのが新しくて、それぞれの角度から刺激をもらえる作品です。観終わった後、疲れると思います(笑)

竜星:いい意味でね! 今回は女性陣もかなりストーリーやアクションに関わっているので、また新しいかも。現場はとにかく常に和気あいあいでした。

岸:常に笑ってました。

竜星:学生ノリというか、「男ってバカだな」みたいなことをずっと話していました。ワーキャーしながら、常に中二病みたいな空気感で、僕らもどういう風になるかもわからない。ずっとカメラを回していて、「結局どこが使われたんだろう?」というくらいの雰囲気でした。瑠東さんらしいやり方がハマった作品だったんじゃないかな、と。

――不良やヤンキーに憧れはありましたか?

岸:昔はそういう思いもありましたけど、今思えば、やっぱり時代に反するというか。今は令和なので、そういう風に言うのもどうかなって……。

竜星:(笑)

岸:ちょっと躊躇しちゃう。令和は、みんなそれぞれ意見がありますから。

竜星:そうだよね(笑)。でも学生の頃はヤンキーものがすごく流行ってたし、映画館を出たらみんな肩で風を切って歩いてました。今回はちょっと違う角度の作品で。

岸:高校生のリアルな感情が描かれているし、リアリティがあるかな?

竜星:喧嘩よりもコメディ寄りだと思います。

――これまでに共演経験のある方々もいらっしゃったと思いますが、現場のやりとりはいかがでしたか?

竜星:吉岡さんとはちょうど同じ舞台に出ている時に、この作品の話が来ているという話を聞いていて、「面白いからやろうよ。きっと今までと全然違う感じの役を見せられるから」と言った覚えがあります。多分、スケジュール的にはすごい厳しかったと思うんですけど、出演してくれて良かったです。

岸:僕は圭さんとは「お久しぶりです」という感じで、関係も出来上がってたので、現場で会ったらとにかくコミュニケーションをとっていました。いい意味で緊張感もなく、でもまた新鮮な部分が見られたりしたので、やっぱりプロだな、と。喫茶店のシーンでもアドリブを入れてきてくださって……今回アドリブをやってない人はいないです。

竜星:瑠東監督も含めてディスカッションしていく中で、メインのメンバーはみんな現場でアドリブを仕込んで「面白かったら採用してください」というスタイルでやっていたので、良かったんじゃないかな。優太と吉岡さんと3人のシーンは、現場が止まったもんね。瀬名のキャラクターPVでも使われている「俺、警察の電話番号知ってます。110です」というセリフの時には、俺の顔が面白いって、もう笑いが止まらなくて。

岸:「笑うな、笑うな」と思うほどずっと止まらないんです(笑)

竜星:吉岡さんのビンタシーンもすごかった。

岸:アドリブでしたっけ?

竜星:アドリブだった。優太に対してはテストの時はエアーでやってたのに、俺に対しては段取りからテストまで全部120%で来てました。「本番だけだよね」とか言ってたのに、何の恨みがあった? って。でもそういうところも使っていこうみたいな精神が現場にありました。

岸:その“生感”も、すごくシーンとして生きてました。

■『Gメン』試写を観て褒めた高橋海人

――そんな現場で岸さんは主演としていかがでしたか?

岸:そこまで意識してなくて、やっぱり5人がクラスメイトとして立っている作品ですし、周りを見れば経験もキャリアも全て上の先輩ばかりで、僕はむしろ身を委ねただけでした。でも、自分のできることは最善を尽くしたつもりです。本当は、カフェカーの1台や2台用意したかったんですけど……。

竜星:(笑)。やっぱり優太の人柄がみんなをすごく和ませるというか、座長として引っ張っていかなきゃという思いもあるかもしれないけど、みんなが応援したくなる、かわいがりたくなるチャーミングさがあった。だからみんな親近感を持てるし、座長だけどいじれるような存在だったので、ポテンシャルの高さが素晴らしいと思います。2人でのアクションシーンでも、機敏で瞬発力がある。瞬発力って絶対お芝居でも大事だし、彼の感性は真ん中に立つべき人間の持つものだと思いました。

――試写には高橋海人さんもいらっしゃったとのことで、何か感想などはありましたか?

岸:めちゃくちゃ褒めてくれてありがたかったので、僕も感謝を伝えました。映画全体のことも、僕のことも超褒めてくれてました。

竜星:何も連絡来てないなあ。

岸:そりゃそうですよ! 繋がってないじゃないですか。

竜星:いや、優太から。

岸:僕から!? 一緒に観てたじゃないですか! 一緒に出てたじゃないですか!

竜星:「竜星くんめっちゃ良かったです」みたいなの、俺にはないの?

岸:一緒にやってたんだから、恥ずかしいですよ! 舞台挨拶でトークしましょう!(笑)

■岸優太
1995年9月29日生まれ、埼玉県出身。主な出演作は、映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16年)、『ニセコイ』(18年)、テレビドラマ『ナイト・ドクター』(21年)など。本作が映画初主演作となる。

■竜星涼
1993年3月24日生まれ、東京都出身。主な出演作は映画『orange』(15年)、『シマウマ』『泣き虫ピエロの結婚式』(16年)、『ぐらんぶる』『弱虫ペダル』(20年)、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』(22年)、テレビドラマ『スタンドUPスタート』(23年)など。現在は日曜劇場『VIVANT』に出演中。

(C)2023「Gメン」製作委員会 (C)小沢としお(秋田書店)2015