ダイソンは4月12日、空気清浄ファン「dyson pure cool」を発売しました。背の高いタワー型と、丸い空気の放出口が特徴であるテーブル型の2機種を用意し、直販価格はそれぞれ72,144円(税込)、59,184(税込)です。
dyson pure coolは、空気の汚れを「検知」し、内蔵された2種類のフィルターが空気中の微細な粒子や気化した有害物質(ベンゼン、ホルムアルデヒドなど)を「清浄」。そして清潔な空気を毎秒290L送り出し、室内を「循環」させる空気清浄ファンです。この「検知」「清浄」「循環」のステップについて、詳しく見ていきましょう。
3ステップで室内をキレイに
本体は、「温度・湿度センサー」「微粒子(ホコリ)センサー」「有害ガス・ニオイセンサー」と、3つのセンサーを内蔵。これらのセンサーで室内の空気汚れを検知し、そのデータを本体のLCDディスプレイに表示します。
他社の空気清浄機でも、スマホアプリと連携することで、空気の汚れ具合を見られるものがあります。筆者の自宅リビングにある空気清浄機も、スマホアプリで汚れ具合を確認できるのですが、筆者はアバウトな性格のせいか、確認したことがほとんどありません。
スマホアプリを使わないで、どんな汚れが空気中に漂っているのかわかったらいいなあと思っていたところ、ダイソンが応えてくれました。もちろん専用アプリも用意しているので、アプリからも空気の汚れ具合が確かめられますよ。
つぎに、活性炭フィルターとHEPAフィルターが空気中の汚れを除去し、空気を清浄化します。活性炭フィルターには、活性炭を従来の3倍組み込みました。ホルムアルデヒドやベンゼンなどの有害ガスやニオイ物質を捕らえます。HEPAフィルターは、9mのHEPAマイクログラスファイバーを200回以上織り上げ、高密度に仕上げました。PM 0.1レベルの微細な粒子まで空気から除去してくれます。
最後にダイソン独自の「Air Multiplier テクノロジー」により、毎秒290Lの清潔な空気を送り出し、部屋の中を循環させることで、部屋中をキレイな空気で満たしていきます。実際に風にあたってみると、ふむふむ。なんだか清潔な香りがします。動く首の角度も、従来70度だったところ、350度まで稼働するよう改善されました。
随所にちりばめたダイソンの工夫
夏は空気清浄ファン(扇風機)として、冬は空気清浄機として使えるように工夫も凝らしました。冬に空気清浄機をつけると、「冷たい空気が出てくるから寒いなあ」と思ったことはないでしょうか。ダイソンの空気清浄機は風が上方向でなく正面に向かって放出されるので、体に風があたることもあります。夏はいいけれど、冬は困ってしまいますよね。
そこでdyson pure coolでは新たに「ディフューズドモード」を搭載。正面でなく後部から空気を送り出せるので、冷たい風にあたることなく部屋の空気をキレイにできます。これはうれしいなあ。ディフューズドモードでも、風の量は正面から放出する場合と変わりません。
専用アプリも用意。アプリをリモコン代わりに、運転モードや風の強弱を調整できるほか、自分が住んでいる地域を登録すると、その地域の天気や空気の汚れ具合を教えてくれます。フィルターの交換時期(年に一度)も通知してくれます。筆者は先日、自宅の空気清浄機のフィルターを5年ぶりに交換。ずいぶん前から、カビっぽいこうばしい香りがするなあ、と思っていましたが、ホコリとカビだらけで背筋が凍りました。
室内はカビだらけ
発表会では、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の篠原直秀氏が登壇。篠原氏によると、身の回りのもの、たとえばプラスチックやカーテンも、有害物質を発しているそう。また、室内には数百種類のカビが生息しています。カビはアレルギー疾患や、感染症を引き起こす原因となります。室内に存在するカビの数値については、日本建築学会が定めたガイドラインがあるのですが、その数値を多くの家庭が超えているそうです。だからこそ、室内の空気をキレイにすることが大切だと熱く語りました。
ダイソンのヘルス アンド ビューティー部門 バイス プレジデント、ポール・ドーソン氏は、「すべての人が、キレイな空気を吸うべき」と力説。「日本において、空気清浄機の機能テストに使う試験室の面積は、一般に10平方メートルといわれていますが、実際に使うのはもっと広いリビングですよね。使われる住宅環境を想定しないと意味がないのです」と、27平方メートルの試験室で実験を繰り返し、日本の家屋で使いやすいモデルとなっていることを説明しました。
ダイソンはいままで、ヒーターやファン(扇風機)に付属する機能として、空気清浄を推していましたが、今回のdyson pure coolは空気清浄がメイン。ダイソンの担当者によると、高級扇風機の国内需要が低下しており、今後は空気清浄機の開発に注力していくとのこと。今後の進化も見逃せませんね。