シャープはプラズマクラスター衣類乾燥除湿機の2025年モデル「CV-T190」を3月13日に発売します。新製品は定格18.5L/日というパワフルな除湿性能で、リビングなどの大きな部屋でも利用しやすいほか、プラズマクラスターならではの除臭や除菌性能ももちろん搭載。
さらに、新製品ならではの特徴として除湿機特有の『運転音』と『排水の手間』という2つの課題を低減しました。実際、新モデルは他製品とどう違うのか、実機をチェックしてきました。価格はオープン、市場想定価格は8万円前後です。
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従来製品よりも家電感が減り、スタイリッシュになったプラズマクラスター衣類乾燥除湿機の新製品CV-T190
静音性とデザイン性を両立。音を抑える工夫とは
新製品であるCV-T190は定格除湿能力18.5L/日(※)のパワフルなコンプレッサー式除湿機です。除湿可能面積は23~47畳(※)で、リビングなどの広い部屋も除湿可能。2kgの衣類なら約74分(※)で乾燥できるパワフルさがあります。
※60Hzの場合
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運転していないときはルーバーが閉じて、インテリアを邪魔しないシンプルな箱型デザインに。本体サイズは幅359×奥行248×高さ665mm、本体重量は約16.9kg。パワー型だけにやや大き目サイズです
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部屋全体の除湿のほか、衣類乾燥モードやプラズマクラスターを使った衣類消臭モードも搭載します
CV-T190でまず注目したいのが「運転音の静かさ」。たとえば、同じような除湿能力をもつ同社の昨年モデル「CV-S180」は衣類乾燥「強」時の運転音が52dBありましたが、新製品は衣類乾燥「速乾」時でも43dBまで音が抑えられています。
新製品と従来製品の運転音の違いを比較。最初が新製品、後半が従来製品。周りがうるさいのでややわかりにくいですが、実際に体感するとかなりの違いがありました
除湿機の運転音の多くは「風が通る音」と「ファンが回転する音」のふたつで発生しますが、CV-T190は風路の形状を変更することで風の抵抗を減らして風切り音を減らすとともに、ファンの回転数を抑えつつも風量を確保できるようになりました。
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新製品のファン(写真左)と昨年モデルCV-S180のファン(写真右)の比較。新製品は、風の入り口を絞ることで風の勢いを確保しつつ、広い範囲に風を送れるアンモナイトのような形になりました
また個人的に面白いと感じたのが、本体背面からの音を抑える「防音パネル」の存在です。一般的な除湿機では、本体背面にホコリを防ぐプレフィルターがむき出しで配置されています。一方、新製品のCV-T190はプレフィルターを隠すように「防音パネル」と呼ばれるカバーをセットする構造になりました。
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新製品CV-T190はプレフィルターに音を抑える防音パネルをセットする構造。プレフィルターに吸い込まれる空気の音だけではなく、本体下側にある圧縮機の音も抑えられます
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CV-T190の背面。パネルを装着するとフィルターが見えずノイズレスな見た目に。パッとみただけでは除湿機の背面とは思えません
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一般的な除湿機の背面はプレフィルターが剥き出しです。写真は2024年モデルCV-S180の背面
防音パネルのおかげでCV-T190は表面・裏面どちらから見ても美しいデザイン。衣類乾燥時に除湿機を部屋の真ん中に持ち出す家庭も多いと思いますが、そんな場合も本製品ならどの角度から見てもインテリアの邪魔になりません。
ただし「どこから見ても美しい」デザインを実現するためか、少し気になる構造になった部分もあります。それが連続排水用ホースの装着位置。除湿機は基本的に排水タンクに除湿した水を貯めますが、製品によってはホースを装着することで好きな場所に排水できる「連続排水」という機能を搭載しています。
一般的な除湿機は連続排水用ホースの装着位置が本体背面にあります。しかしCV-T190はノイズレスデザインを優先したためか、ホース取り付け位置が排水タンクを取り外した本体内部にあります。ホースを装着するには、一度タンクを外す必要があり、やや手間がかかります。
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やや見えにくいですが、排水タンクをはずした内部上面にあるホース装着部。奥まった場所にあるので本体背面にある一般的な構造のものと比較すると正直装着は面倒です
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ホース装着後に排水タンクをセットしたところ。ホースの先を排水口などに引き込めばタンク容量などを気にせず長時間除湿を続けることが可能です
「引き出すだけ」の手軽な排水が可能に
ところで、除湿機の面倒な作業といえば断トツで「定期的に水を捨てること」ではないでしょうか? CV-T190は約4.5Lの大容量排水タンクを搭載していますが、18.5L/日の能力があるので湿度が高い場合は一日数回の排水が必要です。そこで、新製品は排水が手軽にできる「感動タンク」を搭載しました。
そもそも、一般的な除湿機の排水が面倒なのは、排水までに複数のアクションが必要となるため。標準的な除湿機では、
- タンクを引き出す
- ハンドルを立ち上げる
- ハンドルを持って移動
- 排水用のフタを開ける
- 排水する
という多くのアクションを必要とするのです。
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標準的な構造をもつ2024年モデルのCV-S180の排水タンクを引き出したところ
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ハンドルが収納されているので、タンクを出した後にハンドルを引っ張り出す必要があります。また、排水用のフタを手動で開けなければなりません
一方、新感動タンクは本体に収納されている状態でもハンドルに直接アクセスできる構造。しかも、タンクを傾けると水圧で排水用のフタが自動的に開きます。このため、排水のためのアクションは
- ハンドルをつかんで引っ張る
- 移動
- 排水する
の3つだけ。実際、両方の製品で排水を体験してみると、排水の手軽さの違いは歴然。とくに、感動タンクは一般的な排水タンクほどかがまなくてもタンクを取り出せるため、腰に負担がかかりにくい点が気に入りました。
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ハンドルをつかんで引っ張るだけで外せる「感動タンク」
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ハンドルを持って手軽に排水場所まで持ち運べる
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タンクを傾けると、水圧でフタが自動的に開きます
リビングで部屋干しする家庭におススメしたい製品
大きな変更点ではありませんが、従来は左右にしか動かなかったキャスターが新製品では360°どの方向にでも動く「自在キャスター」に変更。タンクを取り出すときに「本体の角度をちょっと変えたい」といったシチュエーションなどに活躍しそうです。
また、衣類乾燥モード時に「真上」に送風する機能を搭載。部屋干しした衣類の真下に除湿機を置けるようになったなど、細かいながらも見逃せない進化もあります。
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軽い力で360°さまざまな方向に移動できる自在キャスター
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新製品(写真左)と旧製品(写真右)を衣類の真下にセットして乾燥スピードを比較。新製品は風を真上に送風できるため、シャツが風で膨らんでいるのがわかります
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サーモグラフィーを見ると、左のシャツはほぼ乾いているのがわかります(黒い部分は乾き残し)
とはいえ、個人的に感じるCV-T190の魅力は静音性。洗濯物が多い場合、比較的広いスペースがあるリビングに部屋干しをする家庭は多いと思いますが、そういった家庭にとってテレビや会話の邪魔をしないCV-T190の静音性の高さは魅力的なはず。
また、防音パネルのおかげで、部屋中央に置いても生活感を感じさせ過ぎないデザインであることも嬉しく感じる人は多いのではないでしょうか。

倉本春
くらもとはる
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