シャープは1月22日、同社のプラズマクラスター冷蔵庫の新モデルを発表しました。新製品はフレンチドアタイプの「SJ-MF55P」「SJ-MF51P」「SJ-MF46P」「SJ-MF43P」、そしてどっちもドアタイプ「SJ-MW46P」の5モデルです。
新製品の特徴は無線LANに接続することで自動的に節電できる「つないでもっと節電」の進化。つないでもっと節電機能は従来モデルからありましたが、今モデルでは省エネ率が最大30%から最大35%までアップしています。
キッチンのキャビネットと並べて設置できる薄型デザイン
新モデルは、いずれも大容量ながら奥行き63cmという薄型デザインを採用した「Fit63」シリーズのプラズマクラスター冷蔵庫。
一般的になシステムキッチンのキャビネットは奥行きが65cm前後ですが、大型冷蔵庫は奥行き70cm前後のものが多く「冷蔵庫のツラがキャビネットから飛び出る」ことでキッチンのインテリアを損なうことがありました。
そこで、Fit63シリーズはキャビネットの奥行きより薄いデザインを採用。冷蔵庫がキャビネットから冷蔵庫が出っ張らずスッキリと設置できます。また、奥行きが浅いことで冷蔵庫の奥の食材まで手が届きやすいというメリットも見逃せません。
省エネ運転がさらに進化! 冷蔵・冷凍庫の使用状況を学習
新機能の注目ポイントは省エネ性能の向上。プラズマクラスター冷蔵庫の上位モデルは2023年から25項目の省エネ技術を利用した「節電25」機能を搭載。電力消費を抑えた運転をすることで最大約25%の省エネ運転を実現しています。
さらに、昨年2024年モデルでは「節電25」に加えて「つないでもっと節電」機能を導入。冷蔵庫をクラウド連携させることで、クラウド上で冷蔵庫の運転状況を学習。扉の開閉が少ない時間に冷蔵室の冷却パワーを落とすことで最大約30%の省エネ運転が可能です。
そして、今年の新製品は冷凍室にも「つないでもっと節電」の学習機能を適用。これにより、「節電25」と「つないでもっと節電」を利用した場合の省エネ率を最大約35%まで拡大しました。
ちょっと地味な機能ですが、ドアのオートクローズ角度も変更されました。従来モデルではドアと本体の角度が約20度以内でドアが自動クローズしましたが、新モデルではこの角度を約30度まで拡大しています。
シャープのデータによると、冷蔵庫は10日約1回「ドアの閉め忘れ」が発生しているそう。オートクローズの範囲を広げることでドアの閉め忘れを減らせば、それだけ電気代を抑え、食品鮮度も保持できるはずとのことです。
再生材使用範囲の拡大など、環境に配慮した取り組みも
省エネ以外の新しい取り組みとして、再生プラスチック材の使用量も増えています。シャープは2004年から冷蔵庫の一部に再生プラスチック材を利用していますが、採用エリアは外観やユーザーには見えない回路周辺などでした。
今年からはシャワーダクトやチルドレール、冷蔵室の仕切りなど、食材を保存する「庫内」の一部にも再生プラスチックを導入。再生プラスチック材の使用率は最大2.8倍まで拡大しています。
ここまでの説明でわかるように、新製品と昨年モデルのプラズマクラスター冷蔵庫の違いはおもに省エネ性と環境配慮の向上。わかりやすく目立つ新機能や新技術は搭載されていないため、正直いえば「新製品」としては地味な進化にも感じられます。
とはいえ、最近は光熱費の暴騰が問題になっているうえ冷蔵庫は24時間365日動き続けるために消費電力が気になる家電。また、頻発する異常気象など地球環境もすでに他人事ではありません。それだけに「省エネ性能の向上」と「環境配慮」は今一番もとめられている冷蔵庫の機能といえるかもしれません。
倉本春
くらもとはる
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