2023年11月9日――。カシオの耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」の40周年を祝うイベントが、ニューヨークで盛大に催されました。なんといっても目玉のひとつは18KのG-SHOCK! 世界限定1本という貴重な実機が「SHOCK THE WORLD NYC」でお披露目です。ソリッドさを増したG-SHOCKイベントの一夜をレポートします。

  • G-SHOCK、40周年!

  • SHOCK THE WORLD NYCのディスプレイ
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

  • プレスやリテイラーを始めとするG-SHOCKファンで満杯の会場
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

SHOCK THE WORLD NYCの場所は、34丁目のマンハッタン・センター。2008年から続くSHOCK THE WORLDツアーの長い歴史の中で何度も晴れの舞台となった、ニューヨークのG-SHOCKファンにすっかりおなじみの場所です。そのいわば古巣に舞い下りたG-SHOCKイベント「SHOCK THE WORLD」に、ニューヨーク全土とその周辺から駆けつけた熱烈なファンたちの顔、また顔。彼らの目には、かつてないシーンが次々と飛び込んできました。

ヴァーチャルG-SHOCK、そしてヴィンテージに惹かれる新世代ファンたち

  • ヴァーチャルG-SHOCKのコーナー
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

おや、ゲストがVRゴーグルを装着して手でさまざまな動作をしている、この光景は……?

実はこれ、メタバースにオープンした仮想店舗での「MY G-SHOCK」体験コーナー。「MY G-SHOCK」とは、パーツを組み合わせて自分好みのG-SHOCKをカスタマイズするサービスです。「VRChat」上のアバターに試着して楽しんだりできるとあって、アフリカンアメリカンの女の子や白人青年、ヒスパニックの男性など、みんな自分をもっとも引き立てるカラーやアイテムをうまく選んでいるのはさすが!

  • G-SHOCK史を築いたあのモデル、このモデルがズラリ
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

  • 展示の様子
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

G-SHOCK史のマイルストーンを築いたモデルが240本、壁にズラリ並ぶ圧巻の「ヒストリー」のコーナーも。G-SHOCKの歴史と進化を体感する一方、「ヴィンテージ」のコーナーでは初期のG-SHOCKコレクションに見入っている若者たちが。実は今、ヴィンテージつまり初期G-SHOCKに魅了される若いファンが、アメリカを中心に年々増加の一途をたどっているのです。発売当時を知らない若者たちが、かわいくて新鮮! と夢中になる。重層的で豊かなG-SHOCK史を実感します。

  • ディスプレイがワクワク感を誘います
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

前回のSHOCK THE WORLD NYCは、G-SHOCK 35周年記念。この55年における変化のひとつは、女性G-SHOCKファンの目覚ましい急増ぶりです。会場でも思い思いのファッションに合わせたG-SHOCKコーディネートを楽しむ女性たちがたくさん!

韓国の5人組ガールズグループ「ITZY(イッチ)」がアンバサダーを務めていたり、乳がん啓蒙活動「ピンクリボン」のモデルも紹介されていたりと、G-SHOCKと女性の楽しくて深いつながりを改めて知るコーナーがひときわ華やかでした。

司会はスノーボーダーのルイ・ヴィト!

  • ルイ・ヴィトの登場
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

いよいよカンファレンスの開始です。司会はスノーボードのオリンピック選手、ルイ・ヴィト氏。

「G-SHOCKとはすなわちタフネス、そしてイノベーション。スノーボーダーの私はこれまで体の骨を何本も折って(break)きました。ですが着用してきたG-SHOCKだけは壊れて(break)いません!(笑)」

やんやの喝采を浴びながら、カシオ・アメリカ会長兼CEOの加藤朋生氏にマイクを渡します。

「G-SHOCKのオーディエンスは極めて多様性に富み、しかも反応がダイレクト。サステナビリティ、エコフレンドリーなど刻々と変化するオーディエンスのニーズに応えるべく、常に挑戦し続けます」

  • カシオ・アメリカ会長兼CEOの加藤朋生氏
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

続いて、かつてカシオ・アメリカ会長兼CEOとして米国でG-SHOCKを広めた伊東重典氏(現在はカシオ計算機 常務執行役員 営業本部長)。カシオとG-SHOCKのこれまでを振り返ります。

「時代の流れに呑まれないウオッチを目ざし続けたカシオのウオッチは来年(2024年)で50周年。EDIFICE(エディフィス)、PRO TREK(プロトレック)、OCEANUS(オシアナス)など人気ブランドを打ち出してきましたが、カシオにとって最重要なウオッチはやはりG-SHOCKなのです」

モデル数5,000以上、世界41カ国での総販売数は1億4,000万本! と、高らかに声を張り上げた伊東氏に、万雷の拍手が。

  • 過去の「SHOCK THE WORLD」にも何度となく登場し、パフォーマンスを披露してきた伊東重典氏
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

カシオ・アメリカ 時計部門 マーケティング部長のマイク・プリンチョット氏は、伝説となったTVCM「タフネスショック」の思い出や、今年(2023年)で30周年を迎えるG-SHOCKで唯一のダイバーズウオッチ「FROGMAN(フロッグマン)」、1995年発表のDW-6900や2010年のGA-110について語ります。

また今回特に興味深かったのが、リテーラーの人々の登場でした。Onenessのオーナー、ジョー・ステイリーがコラボモデル制作について回想します。

「僕らの世界は、何か新しいことをやろうとするとすぐに弁護士が止めに入る(笑)。でもカシオはクリエイティブ・コントロールを一任してくれるし、実に貴重でありがたい。もう15年近くもカシオと共にプロダクトを生み出すというかけがえのない体験を味わっています」

  • 聞き入るオーディエンス
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

Bodega、Undefeated、ライブストック、Packer、Featureなど、コラボG-SHOCKを生み出したストリートファッションの雄たちが次々と紹介されます。また、メリーランド州のLittle Treasure Jewelerなど、情熱を込めてG-SHOCKを販売する各地のショップも、オーナーの顔と共に披露されたことが印象的でした。

世界でただ1本、18金のG-SHOCK!

  • G-SHOCK 35周年に続き、40周年を飾るドリームプロジェクト第2弾「G-D001」。初の試みとして、外装設計にAIによるジェネレーティブデザインの手法を採用。人とAIの共創によって、独創的な有機形状を持つフルメタル耐衝撃構造を実現
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

満を持して登場したのが、伊部菊雄氏。言わずと知れたG-SHOCKの生みの親です。G-SHOCKの誕生秘話にさかのぼる、ユーモラスかつグッとくるショートフィルムは1982年の若き伊部さんが主人公。

40年余り前の彼が「もう(開発)やめようかな……」と弱気になるシーンは、「今」の伊部さんがスピーチの最後で力強く発する「Never, never give up!(決して、決してあきらめない!」へとつながります。

  • 若き日の伊部さんのもとに、今の伊部さんがやってきた!
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

Web3戦略のVirtual G-SHOCKやNFT会員証発行など、新動向の報告があまたある中、やはり最大の話題はG-D001、そう18金のG-SHOCK!「世界でたった1本の実機が、今そこに展示されています」との言葉に、聴衆から大きなどよめきが。

  • ドリームプロジェクト第2弾、G-D001
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

そばで見るG-D001は、まるでハイエンド・ジュエリーのような風格。12月9日にオークションのフィリップスで競売にかけられ、売り上げは環境保護のためのチャリティへと寄付されます。(後日談:バイヤーズプレミアム 400,050米ドル、約5,800万円相当で落札されました!)

  • 厳重なセキュリティ
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

さてさて、新しいものばかりじゃありません。ステージでは、SHOCK THE WORLDお約束の「衝撃テスト」がドーン!

どんなショックにもビクともしない、信頼の耐久性をまたも証明します。そしてやはり恒例の餅撒きならぬ「G-SHOCK撒き」! 客席にG-SHOCKがバンバン投げ込まれ、オーディエンスは歓声も高らかに両腕を伸ばし、ゲットした人も逃した人も、みんな大笑い。伊部氏への盛大なスタンディングオベーションをもってカンファレンスはめでたくお開きとなりました。

  • 左から(敬称略)、マイク・プリンチョット(カシオアメリカ)、ジョー・ステイリー(Onenessのオーナー)、加藤朋生(カシオアメリカ会長)、伊東重典(カシオ計算機 常務執行役員 営業本部長)、伊部菊雄(シニアフェロー)、ディーン・ホルムズ(カシオアメリカ)、ルイ・ヴィト(G-SHOCKアンバサダー)、アリエル・アダムス(G-SHOCK ブランドブックの著者)
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

ラテン音楽のスーパースター、J.バルヴィンの熱いパフォーマンス

続いてカンファレンス会場から階下へ移動し、NYを代表するコンサートホールのひとつ「ハマースタイン・ボールルーム」へ。今日のスペシャルパフォーマンスは、なんとJ.バルヴィン! ビルボード ミュージック アワード、アメリカン ミュージック アワード、ラテン グラミー賞などさまざまな栄誉に輝く、絶大な人気を誇るラテン音楽アーティストです。

  • ライブパフォーマンスの会場、ハマースタイン・ボールルーム

かの人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演した初のレゲトン・ミュージシャンでもあり、ラテンを中心に幅広いファン層を誇ります。音楽のみならず、ファッションやアート、メンタルヘルスケアなどさまざまなジャンルにおける若者のオピニオンリーダー的な存在でも。ライブ前のパーティーでは、J. バルヴィンの出身地コロンビアにちなんで南米のスナック、エンパナーダがふるまわれました。

  • ラテンミュージックのスーパースター、J.バルヴィン

ゴキゲンなDJがしっかり温めた空間に、J.バルヴィン登場! 「子どものころ、G-SHOCKにずっと憧れてました!」と大のG-SHOCKファンを自認して憚(はばか)らない彼。『In Da Getto』や『Mi Gente』など大ヒット曲を次々と惜しげもなく披露します。バラードや激しい曲のヒットも多い彼ですが、今夜のセットリストは盛り上げまくるパーティーモード。

  • ライブの模様はカシオIDの登録者向けに世界生配信
    (c)Yasuhito Shibuya 2023

髪や肌の色、年齢もジェンダーもファッションスタイルも実に多彩なオーディエンスは、世界でもっとも多様な街・ニューヨークそのもの。熱気と歓声、ホールを埋めつくす笑顔の渦と共に、SHOCK THE WORLD NYCのエキサイティングな一夜は幕を閉じていきました。

  • NYでまた会おう!
    (c)Yasuhito Shibuya 2023