パナソニック 空質空調社は、戸建て住宅向けの天井埋込形加湿ユニット「AQUA Sitter(アクアシッター)」を2024年3月1日に発売する。基本的には新築時に導入する機器であり、消費者が店頭で購入するものではないが、希望小売価格は258,000円(税別・工事費別)に設定されている。
AQUA Sitterは、他社製の全館空調システムとも組み合わせが可能な加湿ユニット。湿度センサーによって加湿量を自動的にコントロールし、全館空調システムと併用することで家中を常に快適な湿度・温度に保つ。
配管によって加湿用の水を直接補給するため、一般的な据え置き型加湿器のように給水作業は不要。加湿フィルターも搭載せずフィルター交換もいらない(ただし天井の吸気グリルの掃除は必要)。冬場など加湿期間中は24時間に1度、夏場など使用しない期間は1週間に1度、定期的に洗浄運転・乾燥運転を行うが、その際に発生する排水も本体直結の配管によって下水道へと送られる。
パナソニック 空質空調社の測定と試算によると、3LDKの住宅で各部屋に計4台の据え置き型加湿器(気化式)を設置する場合と比べて、AQUA Sitterでは消費電力を32%ほど削減できるという。24時間運転時の目安は、電気代が年間で約4,423円、水道代が年間で757円となっている。加えて、冬場は部屋の湿度を適切(40%~60%)に保つと体感温度が高くなるため、エアコンの設定温度を低くでき、この部分でも節電につながるとしている。
AQUA Sitterの加湿方式は、遠心破砕加湿方式というもの。給水した水を汲み上げ、モーターの回転と遠心力を利用して飛ばし、強い力で壁に当てて水を破砕する仕組み。破砕された水は微細なミスト状になり、吸気した外気と混ぜて(湿度を高めて)ダクトを通して家中へ送られる。自動モード時の加湿量は700mL/h。モーターの回転数によって加湿量を細かく制御できる点や、気化式の加湿器のようにフィルターが不要である点などが特徴だ。
冒頭の通り、AQUA Sitterは基本的に戸建て住宅を新築するときに導入する機器。リフォームでも導入できないことはないが、かなり大がかりな工事が必要となり、現実的ではない。AQUA Sitterの実効性能は住宅の断熱性や気密性によっても左右されるため、導入を検討する場合は工務店や建築事業者と入念に打ち合わせてほしい。
同時に、パナソニック 空質空調社の全館空調熱交換気システム「with air(ウイズエアー)」の専用オプションとして、今回のAQUA Sitterと同等の加湿ユニットを発売する。with airは1台のエアコンで家中の冷暖房をまかなうシステムだが、この専用オプションを増設することで全館空調に加湿機能を追加できる。