ソニーから、ウォークマン・Aシリーズの最新モデル「NW-A300」と、ZXシリーズの新機種「NW-ZX707」が発表されました。どちらも前機種(NW-A100/NW-ZX500シリーズ)は2019年11月発売の製品であり、両シリーズの新作発表は3年2カ月ぶりとかなり久々です。

  • NW-A300シリーズ

  • NW-ZX707

ソニーのフラッグシップモデルであるWM1シリーズがひと足早く2022年3月に発売されたことを考えると、A/ZXシリーズのユーザーや、それらへの買い替えを検討していた人にとってはまさに、待望の新製品といえるのではないでしょうか。

今回はそんな両製品に一足先に触れる機会を得たので、それぞれのファーストインプレッションをお届けします! スペックなどの詳細情報については、ニュース記事も合わせてお読みください。

外観をチェック。小型軽量なA300、デザイン一新のZX700

まずは外観からチェック。パッと見で前機種から大きな変更はなさそうなNW-A300(1月27日発売/実売46,000円〜)に比べて、やはり気になるのは大きく変わったNW-ZX707(同日発売/実売105,000円)のデザイン! まるでWM1シリーズのような大きさで、以前のモデルを知っている人ほど「でかっ!」と感じるのではないでしょうか。しかし、実際に手にしてみると意外と薄く、重量感もWM1シリーズと比べて軽く感じられます。

  • NW-ZX707の角ばったデザインは、丸みを帯びた前機種のNW-ZX507とは雰囲気が大きく異なる

WM1AM2やWM1ZM2で省かれたストラップホールも、A/ZXシリーズの新機種では搭載されていて、ポータビリティはギリギリ保たれているかな、といったところ。ただ、どちらかというと、腰を据えてゆっくり音楽を聴ける自宅などのシーンを重視しているように感じられました。

  • ZX707の側面下部。充電/データ転送用のUSB-C端子とストラップホールがある

  • A300シリーズの側面下部。イヤホンジャックの隣にストラップホールがあり、USB-C端子やmicroSDカードスロットも備える

Android OS搭載により、各種アプリを起動できるのは前機種からですが、画面が大型化したことで映像系アプリをより一層楽しめるようになっています。もちろん、単純にタッチ操作がしやすいという点でもうれしいポイント。

そしてただ大型化しただけでなく、一新されたデザインにも注目。ZX707は黒を基調としたスクエアなボディに、差し色としてヘッドホンジャックやウォークマンロゴにゴールドがあしらわれており、これまでのZXシリーズとは全く異なった印象を受けます。外観だけでなく、WM1AM2/1ZM2の開発における技術やパーツが継承されているなど、ハードウェア的にも大きく進化しているようです。

  • ZX707には、ヘッドホンジャックやウォークマンロゴに差し色としてゴールドをあしらった

一方でA300は、従来のA100から大きな変更はなさそう……に見えて、実はフレームの背面が波打つような形状に刷新されています。シックなカラーバリエーションに変更されたことも相まって、従来モデルにない高級感のあるデザインです。また、金を添加した高音質はんだの採用や、削り出しアルミシャーシの一新などといった細かなアップデートが施されており、こちらも見逃せない進化がうかがえます。

  • A300シリーズの背面は、波打つような形状に変わっている

A300シリーズ/ZX707の音を聴く

それでは音質をレビューしていきましょう。

まずはA300を、前機種のA100シリーズと比較しつつ試聴してみると、鳴らし方の繊細さ、ていねいさがひと回り向上しているように感じました。高音の伸びやキレ感、ベースラインの重みなどがよりリアルに感じられ、リバーブから感じられる空間の広がりも細やかに描かれています。

従来のAシリーズと比べても不必要な強調が抑えられたナチュラルめな音作りで、率直な感想としては「ハイエンド的」とも言えるような落ち着いた仕上がりとなっていました。コンパクトで扱いやすいプレイヤーをお探しの方はもちろん、上位機種のZXシリーズを検討していた方などにとっても魅力的なポジションとなりそうです。

続いてZX707を試聴してみると、こちらはややキリッとしたソリッドな音像。A300よりもシャープな音作りで、ピアノのピンと張った音色の伸びや弦楽器のエッジ感、音像の定位の確かさから視えてくる空間表現の精度感など、全体的にシビアで描写力を感じました。

音のひとつひとつのディテールがハッキリとしていながら過度なメリハリはなく、存在感の表し方が精密。ZXシリーズだけでなく、WM1Aの方向性も少し合わさっているような印象を受けました。WM1Aからの買い替えで迷っている方には、あるいはWM1AM2と並ぶ選択肢になるかもしれません。

また、両機種に共通して言えることは、前機種と比べても挙動が少し軽快になっているように感じたことです。再生画面などのUIが変更されていることにも由来しているかもしれませんが、もしかしたら内部スペック的にも変更されているのかもしれません。

今回はバッテリーの持ちなどを検証できるほど深く使い込んではいませんが、両機種ともに駆動時間は向上しており、特にW.ミュージックアプリ以外でのバッテリー消費も抑えられているとのこと。独自のアップスケーリング技術「DSEE Ultimate」がすべてのアプリやワイヤレス接続に対応していることもあり、従来よりさらに幅広い用途でストレスフリーに活用できそうです。

ウォークマンの立ち位置が明確に変わった

今回の新モデル2機種に触れて感じたのは、ソニーが考える「ウォークマン」の立ち位置が明確に変わったのではないか、ということでした。

以前は音楽を聴くすべての人をターゲットにしていたように感じましたが、ここ10年でライト層へのアプローチはXperiaなどのスマートフォンに徐々にスライドしていき、今回のウォークマンのターゲットは「高音質に音楽を聴くことに関心がある層」に完全に切り替わったのではないか思います。

すなわち、エントリーモデルのAシリーズであっても、ある種の特別感というか、音楽再生機としての専門性がよりハッキリと打ち出された高級感があると感じました。カメラでたとえるなら「ハイエンドコンデジ」が生まれた瞬間というか……。カジュアルな層から切り離された「趣味の領域」へとシフトした感触を受けました。

Aシリーズはハイレゾ音楽プレーヤーのスタンダードモデルへ、ZXシリーズは上位のWM1シリーズとも肩を並べられるような存在感を持つモデルへと、明確な進化が感じられた今回の両製品。高音質なポータブルオーディオの世界へ興味がある人から、他のハイレゾプレーヤーを使いこなしているマニアな人まで、多くのMusic Lover達にチェックしてもらいたい完成度です。