バトルロイヤル型シューティングゲーム『Apex Legends』の世界大会「Apex Legends Global Series(ALGS) SPLIT2 PLAYOFFS」が4月29日から5月1日までの期間、スウェーデンのストックホルムで開催されました。この大会でプロゲーミングチームの「Team UNITE」が3位に入賞し、日本人チームとして最高位を獲得しました。
ALGS PLAYOFFSには、北米10チーム(North America)、ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)10チーム、南アジア太平洋(Apac South)5チーム、北アジア太平洋(Apac North)10チーム・南米(South America)5チームの全5地域40チームが参加。それぞれ4つのグループに別れ、Day1とDay2はグループステージとして、自分の所属するグループとその他のグループとの対戦、つまり同一グループ10チームと各グループ10チームとの対戦を行い、上位20チームが決勝ラウンドに進出します。
決勝では、グループステージの順位に応じて、シードポイントが加算された状態で試合が開始されます。シードポイント、順位ポイント、キルポイントの累計が50ポイントに達したチームは、マッチポイントとなり、それ以降の試合でチャンピオンを獲得すると、優勝となります。
「Team UNITE」はグループステージで14位。決勝へはウイナーズブラケットで進出。ウイナーズブラケットでは20位となり、ルーザーズブラケットへ転落するものの、そこで見事に1位を獲得し、グランドファイナルへ進出を決めました。さらに、マッチポイントを獲得し、あとはチャンピオンを獲得するのみでしたが、惜しくも「REGNAITE」がチャンピオンを獲得し、3位でフィニッシュしました。
決勝では、10位まで獲得できるシードポイントのほとんどを北米チームが獲得するなど、北米の強さが目立っていましたが、ルーザーズブラケット、グランドファイナルと「Team UNITE」は大躍進をみせました。「Team UNITE」のメンバー全員が公式オフライン大会も、1日18試合の長丁場も未経験と、かなり厳しい状況にありながらも、結果を残せたことは、見事の一言でしょう。
そこで、「Team UNITE」のメンバーであるFtyan選手、Lejetta選手、saku選手にインタビュー。それぞれ、大会を振り返ってもらいました。
――ALGSは、オフライン大会としてストックホルムで開催されましたが、感想を教えてください。
Ftyan選手(以下、Ftyan):オフライン大会は初めてだったのですが、会場の空気感にボルテージがあがり、良いパフォーマンスができました。
Lejetta選手(以下、Lejetta):僕もオフラインでの対戦は初めてでした。会場の空気がいつもとは違い、オンラインでプレイするよりも楽しめました。
saku選手(以下、saku):僕も初めてです。いつもと違う環境でパフォーマンスを発揮できるか心配でしたが、会場の環境が良く、チームメイトの熱も伝わってきて、いつも以上のパフォーマンスができました。
――1日の試合時間がかなり長かったですが、その点はいかがでしょうか。
saku:Day1は、18試合戦ったのでキツかったです。練習でもそれくらい、もしくはそれ以上の試合数をすることはありますが、大会の緊張感のなか、18試合やるのは初めてでした。Day2も長めでしたが、12試合でしたので、Day1ほどキツくなかったです。
Ftyan:試合を重ねるごとにアドレナリンが出てきた感じがしました。大会でこれだけの試合数をやることはなかったのですが、普段の練習では、これくらいやっているので、体力的には問題ありませんでした。
――今回、世界3位、日本人チームとしても最高位を獲得できた要因を教えてください。
Ftyan:プレイ面で言うと、Apac Northで日本チームや韓国チームと対戦してきた環境よりもやりやすかったことが挙げられると思います。Apac Northでは、安置(安全地帯)に入って、そこを拠点に防衛することが多く、より良い安置の取り合いとなるんですけど、ほかのリージョンではあまり安置を取りに行かないんです。なので、狙った安置を容易に獲得でき、自分達がやりたい戦いができましたね。
これは練習試合から感じていたことで、大会でもその印象通りの展開になりました。決勝に行ってからはウイナーズブラケットでいきなり20位になってしまってかなり落ち込んだんですが、それを引きずらず、ルーザーズブラケットで立て直せたことも大きかったと思います。そこからチームの雰囲気も良くなって、グランドファイナルを迎えることができました。
――3位という結果については、満足いくものだったのでしょうか。
Ftyan:これまで『Apex Legends』をプレイし続けたのは、世界で1位を獲得する目標があったからでした。我々がプロとして活動してからは世界大会が開催されておらず、ようやく巡ってきたチャンスだったので、ぜひとも1位を取りたかったですね。なので、3位は悔しいです。でも、ある程度の結果が残せたので、安心もしています。次につながった感じですね。
Lejetta:競技シーンを始めてから2年間、世界でトップを取ることを目標にがんばってきました。3位は悔しく思っています。
saku:世界3位という結果はもちろんうれしさもあります。ただ、まだ上があるので、狙っていきたいですね。グランドファイナルは1位を狙える試合内容だったので、そこで取り切れなかったのは残念です。次のチャンピオンシップは、もっと上に行けると思っています。
――下馬評としては、「Team UNITE」は優勝候補とは見られていませんでしたが、その点はいかがでしょうか。
Ftyan:そうですね。ほかのチームのほうが評価は高かったですが、自分達はもっとやれると思っていたので、「やってやる」という気持ちが強くなりました。
Lejetta:他人の評価はあまり気にしませんでした。
saku:同じですね。あまり気にしていなかったですね。
――今回の大会で、「Team UNITE」以外で印象に残った選手やプレイがあれば教えてください。
Ftyan:「Players」というチームのHardecki選手は、狙っていたランドマークに近い位置に降りてきて、こちらの体勢を1、2回崩されました。そのあと、こちらも対策をして対応しましたが、印象に残っています。
Lejetta:そのシーンは負けたら敗退という試合だったので、よく覚えていますね。
saku:あとは、ルーザーズの2試合目ですね。「V3 VEGA」、「αDRaccoon」との三つ巴戦が起こったんですけど、奇しくもApac North同士の対戦でした。世界大会で3チームともApac Northが残っていたのはエモかったです。
――ALGSの数日前に『VALORANT』の世界大会があり、そこで日本チームの「ZETA DIVISION」が世界3位の快挙を成し遂げました。その結果について、意識するところはありましたか?
Ftyan:「ZETA DIVISION」の世界大会は観ていました。本当にすごいプレイの連続で、刺激を受けました。自分達もやってやるぞって気持ちになりましたね。それと同時に「ZETA DIVISION」の順位を超えてやろうと思っていたので、同じ3位となったのは、ちょっと悔しかったですね。
saku:ゲームジャンルとしては同じシューティングゲームですが、そのなかでも『VALORANT』などのタクティカルシューティングは、日本が弱いと見られていたので、その評価を覆し、下剋上を成し遂げたのは感動しました。
Lejetta:個人的にタクティカルシューティングが好きで『Counter-Strike:Global Offensive』のころから応援していた選手が『VALORANT』でも活躍し、世界3位の成績を残したのは、本当にうれしかったです。「その勢いに乗って行きたい!」と思いました。
――改めて世界3位おめでとうございます。ありがとうございました。
著者 : 岡安学
おかやすまなぶ
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