セガは、3月19日に『ぷよぷよeスポーツ』の公式大会「ぷよぷよファイナルズ SEASON4」を、無観客のオフラインで開催しました。「ぷよぷよファイナルズ」は、年に4回開催される「ぷよぷよチャンピオンシップ」の優勝者と、プロ・一般混合競技会「ぷよぷよカップ」によるポイントを稼いだ「ぷよぷよランキングポイント」上位者4名の計8名から年間チャンピオンを決める『ぷよぷよeスポーツ』最大の大会です。大会の様子はオンラインで配信。なお、今回のファイナルズはアイ・オー・データ機器が冠スポンサーとなり、優勝賞金はこれまでの最高額である150万円となりました。
ぷよぷよファイナルズに進出したのは、ぷよぷよチャンピオンシップ優勝者のlive選手(STAGE1優勝)、ぴぽにあ選手(STAGE2優勝)、fron選手(STAGE3優勝)、SAKI選手(STAGE4優勝)と、ぷよぷよラインキング上位者のともくん選手(ランキング1位)、飛車ちゅう選手(ランキング2位)、meta選手(ランキング3位)、へーょまは選手(ランキング4位)の8名です。
ぷよぷよファイナルズでは、4名ずつ2つのブロックに分かれてリーグ戦を行います。抽選の結果、Aブロックはともくん選手、SAKI選手、live選手、meta選手の4名、Bブロックは飛車ちゅう選手、ぴぽにあ選手、へーょまは選手、fron選手の4名に決まりました。バランスよく、チャンピオンシップ優勝者2名、ランキング上位者2名ずつに分かれた形です。
試合は10先(10勝勝ち抜け)で行われ、リーグ戦でもっとも成績の良い選手1人ずつが決勝戦に進出します。勝敗数が同じ場合、試合のセット数によって順位が確定します。
グループリーグを勝ち抜けたのは、ともくん選手とぴぽにあ選手。2人とも3戦全勝での勝ち抜けです。しかも、どちらも相手に6本以上取られておらず、圧倒な実力を示して決勝にコマを進めました。
とはいえ、どちらのリーグも簡単に勝てる相手ばかりだったわけではありません。ファイナルズに相応しい強豪ぞろいのなかで、神がかり的なプレイをファイナルの大舞台でみごとに決めてみせた結果だと言えるでしょう。
決勝戦は、10先を1セットとし、2セット先取したほうが勝利です。ぴぽにあ選手は、2021年のぷよぷよファイナルズ SEASON3の覇者であり、連覇がかかった一戦。システムエンジニアを辞めて専業プレイヤーとして活動するようになってからは、「ぷよぷよプログラミング」の講師としても活躍しているプロ選手です。
ともくん選手はぷよぷよファイナルズ SEASON2を優勝しており、2021年のシーズンでは、全国都道府県対抗eスポーツ選手権2021 MIEのぷよぷよ部門一般の部で優勝するなど、数々のビッグタイトルを獲得。今シーズンのチャンピオンシップでは実力を発揮できませんでしたが、さまざまなコミュニティで好成績を残し、ランキング1位でファイナルズの出場を決めました。以前は高校生プレイヤーとして若手ナンバーワンの呼び声が高い選手でしたが、現在は現役大学生プレイヤーとして若手を牽引しています。
1セット目は両選手とも好調な展開を見せますが、終わってみれば10-5と大差でともくん選手の勝利。2セット目もともくん選手が大きく先行しますが、ぴぽにあ選手が追いすがります。
9-8とあと一歩のところまできますが、追い上げもここまで。2セット連取でともくん選手の2回目のファイナル優勝が決まりました。
準優勝とはいえ、今大会でもっとも沸かせた試合をしたのはぴぽにあ選手だったと言えるでしょう。fron選手戦での最終ゲーム。盤面が不利な状態から神がかりのツモ(ぷよの組み合わせ)を見せたシーンは、まさに圧巻でした。
『ぷよぷよeスポーツ』では、あか、みどり、きいろ、むらさき、あおの5種のぷよのうち、4色のぷよが出現します。このなかからぴぽにあ選手は、連鎖に必要な特定のぷよの組み合わせを3回連続(みどりあか、みどりあお、みどりあお)で引くと同時に、不利な盤面から唯一勝てる11連鎖の道筋を見つけ出し、逆転に成功しました。
超低確率をツモることにも驚きますが、落ちてきたぷよとネクストに表示されたぷよの情報から、一瞬の判断で、最適解を見つけたのはまさに神の一手と言えます。
また、『ぷよぷよeスポーツ』をかなりやり込んでいる腕前のあるプレイヤーでも、この神の一手がどのようにすごいか、リアルタイムでは分からないレベル。それにいち早く気づき、説明した解説者のALFさんもさすがでしょう。対戦後に1試合のベストシーンのリプレイ解説をしてくれるのですが、一般的な視聴者であれば、スロー再生しながら一手、一手丁寧な解説をしてもらってようやく分かる内容です。
『ぷよぷよeスポーツ』は、シューティングゲームやMOBA、カードゲームに比べ、ゲームのルールが簡単でわかりやすいと言われています。ただ、それはゲームの勝敗がわかりやすいだけで、プロ同士の高度なテクニックや読み合いまではわかりません。
対戦後にベストシーンをリプレイ解説してくれることで、一瞬でいくつもの選択肢を想定し、そこから最適な一手を選ぶ技術の高さや判断力、創造性のすごさが理解できるのだと思います。
また、解説陣の指示によりリプレイ動画のスロー再生や逆戻し、一時停止など即座に対応し、重要なポイントを示してくれる仕組みも、わかりやすさの秘訣の1つでしょう。
そのほか、試合のインターバルには、「momokenのゼロからわかるぷよぷよeスポーツ観戦講座」が流れており、待ち時間に楽しめるだけでなく、より深い観戦ができるように理解を深められるのもうれしいところです。
選手の実力の向上をはじめ、大会配信の観やすさ、解説のわかりやすさ、賞金額の高さなど、ぷよぷよチャンピオンシップはeスポーツ大会として4年間で大きく飛躍しています。2022年度もぷよぷよチャンピオンシップSEASON5として開催されますが、SEASON4以上の飛躍にも期待できるでしょう。
著者 : 岡安学
おかやすまなぶ
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