今回は、ビックカメラ池袋本店で空気清浄機の売れ筋を尋ねました。空気清浄機は、コロナ禍に大きく反応した家電の代表例といえます。各社のハイエンドモデルや次亜塩素酸を発生させる特殊なモデルなどが飛ぶように売れ、売り場には「入荷待ち」の札が多数貼られるような光景もありました。現在もコロナの渦中にありますが、同店の売り場ではそうした混乱はすでに落ち着いている様子です。
季節家電コーナーを担当する照井友貴子氏は「今年は通常の買い換えや新居に置きたいという方、あとは赤ちゃんが生まれたご家庭へのプレゼント用など、用途を見定めて買い物する方が多い印象です。ただ、コロナ禍を経験して空気をきれいに保とうと意識する潜在的なニーズは全体的にアップしていますね」といいます。
長期的に安心できてきれいな空気に包まれたい。そうした発想から、各社のハイエンドモデルが注目される傾向は継続しているものの、そこに焦りのようなものは目立たなくなっているそうです。それを踏まえて、最近の売れ筋モデルを見ていきましょう。
「空気清浄機選びの三カ条」は次の通りです。
<空気清浄機選びの三カ条>
- スクウェア型や自己主張が控えめなデザインがトレンド。室内での調和を考えて選ぶのがお勧め。
- 国内メジャーブランドのほか、高品質な海外ブランドの人気も上昇。視野を広げて品定めしたい。
- 数年スパンで使い続ける道具なので、数年後の自分の体力や部屋の状況も想像して選ぶのが吉。
※本文と写真で掲載している価格は、取材した2022年1月18日14:00時点のものです。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位…スリムになったダイキン工業上位モデル「MCK70Y」シリーズ
一番人気となっていたのは、ダイキン工業の加湿空気清浄機「MCK70Y」をベースにしたビックカメラグループの独自モデル「MCK70YBK」でした。空気清浄の適用畳数は最大31畳で、8畳部屋の清浄目安は約9分となります。取材時の価格は73,000円でした。
「ダイキン工業は、今期からリビング向けもスクウェアデザインに切り替えています。従来と比べて占有する面積が小さくなり、なおかつ背が高くなったことで立ちながらボタンが押しやすくなりました。加えて、タンクを外さずに給水できるようにもなったところも注目されていますね。見た目とメンテナンス性が高くなったのが響いて購入を検討する人は少なくありません」
第2位…プラズマクラスターNEXT搭載の「KI-PX75」
続く2位は、シャープの加湿空気清浄機「KI-PX75」です。空気清浄の適用畳数は最大34畳で、8畳部屋の清浄目安は約9分。1平方cmあたり5万個以上の高濃度イオンを発生させる「プラズマスクラスターNEXT」を搭載しているのが特徴です。取材時の価格は91,780円でした。
「前世代からデザインを一新し、カラーも青みがかった白から室内で調和しやすい黄色がかった白に切り替わって好評です。機能面では、従来は最上位のみが搭載していた『NEXT』を実装したところが大きいですね。ニオイやウイルスに関して『プラズマクラスター25000』よりも上の抑制効果が期待できるということで、幅広く支持されています」
第3位…花粉対策で定評のある「F-VXU90」
3位に挙げたのは、パナソニックの加湿空気清浄機で最上位となる「F-VXU90」です。空気清浄の適用畳数は最大40畳で、8畳部屋の清浄目安は約7分。取材時の価格は81,990円でした。
スクウェアデザインや木目調のバリエーションが好評とのことですが、機能面では吸気力と花粉対策機能が注目されているとのこと。「パナソニックは吸気口が側面と底部にあるので、小さなお子様がいらっしゃるご家庭や床で寝るご家庭によく指名されます。また、ナノイーXによる花粉抑制力が強力で、スギヒノキだけでなく、ヨモギやオリーブなど国内の主要な13種で効果があるとうたっています。こちらも指名買いの動機になっていますね」
第4位…深紫外線でウイルスを抑制する「ACB50X」
4位は、ダイキン工業の空気清浄機「ACB50X」で、加湿機能のないモデルになります。コンパクトなデザインで、空気清浄の適用畳数は最大22畳。8畳部屋の清浄目安は約12分となります。取材時の価格は79,200円でした。
内蔵する深紫外線LEDにより、フィルターで捉えた細菌を除菌し、ウイルスを抑制する機能を備えているのが特徴です。「より強力な空気清浄を求める方や、お店や会議室などの出入りの激しい場所に置きたい方によく売れています」
深紫外線LEDと加湿機能を備えたハイエンドモデル「ACKB70Y」も、ランキング外ながら「ダイキン工業の全部入りモデルが欲しい」という人に人気があるとか。価格は115,500円でした。
第5位…オゾン除菌が可能な空気清浄機「Aria KAH-138」
5位は、KiralaAirのオゾン除菌機能つき空気清浄機「Aria KAH-138」です。空気清浄の適用畳数は最大15畳で、オゾン除菌は約15~20畳となります。取材時の価格は168,000円。
人体に影響を及ぼさないとされる0.1ppmより低い濃度のオゾン(マイルドオゾン)を安定して発生させるところが特徴です。「オゾン発生器と空気清浄機が融合したモデルということで、登場したころは21万円ほどしましたが、その時から早くも注目されていました。付着ウイルスや付着菌を『消し去る』とうたえるモデルで、ニオイもウイルスも気になるという人に指名買いされています」
はみ出し情報…超強力フィルターが支持を広げる「Protect 7770i」
ランキング外での注目モデルを尋ねたところ、照井氏は迷わずブルーエアの空気清浄機「Protect 7770i」を挙げてくれました。適用畳数は最大70畳で、取材時の価格は165,000円。知る人ぞ知るといった売れ方を続けているそうです。
「吸い込む力もフィルターの力も強く、空気清浄能力に惚れ込んで指名買いする方が多い製品ですね。ウイルスレベルの大きさである0.03μmまでの微粒子を99%除去できるフィルターを内蔵していて、調理臭やVOC(揮発性のニオイ)、たばこなどのニオイにも効果的です。フィルターにチップが内蔵されていて、交換のタイミングを上面のモニターで知らせてくれるのも評価されていますね。空気質指数(AQI)やPM1.0、PM2.5などの情報も表示するので、徹底的に空気をきれいにしたい人にお勧めです」
著者 : 古田雄介
ふるたゆうすけ
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