株式投資でトレンドや売買タイミングを判断するときは、ローソク足チャートや移動平均線が使われる。ローソク足や移動平均線はチャートの表示期間によっていくつかの種類があるが、どのように使い分ければよいのだろうか。

今回は、日足・週足・月足チャートと移動平均線の使い分けや組み合わせについて解説する。


日足・週足・月足チャートはどれを使う?

高値、安値といった株価の動向を表すローソク足チャートにはさまざまな種類がある。よく使われる代表的なチャートは、「日足(ひあし)」「週足(しゅうあし)」「月足(つきあし)」の3つだ。

  • 日足:1日の株価の動きを表したローソク足
  • 週足:1週間の株価の動きを表したローソク足
  • 月足:1カ月の株価の動きを表したローソク足

日足よりも週足、週足よりも月足のほうが、長期の相場動向を把握するのに適している。値動きを確認したい期間に応じて、3つのチャートを使い分けることが大切だ。


日足・週足・月足チャートを実際のチャートで確認

具体例として、日経平均株価の日足・週足・月足チャートを見てみよう。

日足チャート

日足チャート

出所:SBI証券 日経平均のチャート

上図は表示期間3カ月の日足チャートだ。1つのローソク足は、1日の日経平均株価の動きを表している。ローソク足が右肩下がりになっており、短期では下落トレンドにあると判断できる。


週足チャート

週足チャート

出所:SBI証券 日経平均のチャートより作成

上図は表示期間1年の週足チャートだ。1つのローソク足は、1週間の日経平均株価の動きを表している。週足の始値は通常月曜日の始値、終値は金曜日の終値を表す。赤枠は、先程示した日足チャートで表示されていた部分だ。

株価は3万円まで上昇した後、下落傾向にあることがわかる。週足チャートは、日足ではわからない中期のトレンドを把握するのに適している。

月足チャート

月足チャート

出所:SBI証券 日経平均のチャートより作成

上図は表示期間5年の月足チャートだ。1つのローソク足は、1カ月間の日経平均株価の動きを表している。月足の始値は月初の始値、終値は月末の終値を表す。赤枠は日足、青枠は週足チャートで表示されていた部分だ。

上昇傾向にあった株価は2020年11月に大きく上昇し、その後は下落に転じているが、まだ上昇トレンドが続いているようにも見える。月足チャートは、日足、週足よりも長期のトレンドを把握するのに適している。


日足・週足・月足は投資スタイルに応じて使い分ける

日足・週足・月足は、短期投資・長期投資といった投資スタイルに応じて使い分けよう。株を長期保有するなら週足・月足チャート、短期で売買する場合は日足チャートを使うといった具合だ。目安としては日足は数日〜1カ月、週足は数カ月〜2年、月足はより長期での売買をするのに使える。

デイトレードやスキャルピングといった超短期投資の場合は、時間足・分足チャートも必要になってくる。

また、複数のチャートを使い分ける方法もある。まずは月足・週足といった長期チャートで大まかなトレンドを確認し、短期の日足チャートで売買タイミングを探るのが基本的な使い方だ。


移動平均線は何日のを使う?

移動平均線は、一定期間の株価(終値)の平均値をつなぎ合わせたものだ。株価の動きを平均化して表示してくれるので、相場のトレンドを大まかにつかむのに便利だ。

主に短期線、中期線、長期線の3種類があり、チャートの表示期間によって使われる日数が異なる。移動平均線の基本的な日数は以下の通りだ。

  • 日足:5日、25日、75日
  • 週足:13週、26週、52週
  • 月足:6カ月、12カ月、36カ月

日足チャートであれば、短期の値動きを確認したいときは5日線(短期線)、長期のトレンドを把握するなら75日線(長期線)に注目しよう。日足チャートで5日線、25日線、75日線がともに右肩上がりなら、強い上昇トレンドにあると判断できる。5日線は上昇トレンド、25日線と75日線が下落トレンドなら様子をみるといった判断も可能だ。


移動平均線から売買タイミングを判断する

短期線と長期線(または中期線)の2本の移動平均線を組み合わせてトレンドの転換点を見つけられる。有名な手法が「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」だ。一般的には、日足チャートの移動平均線であれば、5日と25日、25日と75日の組み合わせが多く、週足であれば13週と26週の組み合わせがよく使われる。


ゴールデンクロス

ゴールデンクロスとは、短期線が長期線を下から上へ突き抜けることだ。上昇トレンドに転じたサインと言われており、ゴールデンクロスが現れるとしばらく上昇トレンドが続く傾向にある。

ゴールデンクロスの解説

デッドクロス

デッドクロスとは、ゴールデンクロスとは反対に短期線が長期線を上から下へ突き抜けることだ。下落トレンドに転じたサインと言われており、デッドクロスが現れるとしばらく下落トレンドが続く傾向にある。

デッドクロスの解説

短期線と長期線の2つだけを使う手法なので、初心者でも実践しやすいだろう。


株価と移動平均線の関係から売買する(グランビルの法則)

グランビルの法則とは、株価と移動平均線の組み合わせによって売買タイミングを判断する手法だ。グランビルの法則は、8つの売買ポイント(買いタイミング4つ、売りタイミング4つ)で構成されている。


買いタイミング

買①:横ばいまたは上向きに変わりつつある移動平均線を、株価が下から上へ突き抜けたとき(株価底打ち)
買②:移動平均線の上昇中に、株価が移動平均線を下回ったとき(押し目)
買③:上昇中の移動平均線と株価が接近したとき(押し目)
買④:下降中の移動平均線から、株価が下に大きく乖離したとき(逆張り)

グランビルの法則 買うタイミング

売りタイミング

売①:横ばいまたは下向きに変わりつつある移動平均線を、株価が上から下へ突き抜けたとき
売②:株価が上昇して、下降中の移動平均線を上回ったとき
売③:下降中の移動平均線と株価が接近したとき
売④:上昇中の移動平均線から、株価が上に大きく乖離したとき

グランビルの法則 売るタイミング

買いタイミングはこの後株価の上昇が期待でき、売りタイミングは株価が下落する可能性が高いポイントだ。ただし、実際にはすべての売買ポイントが出現するとは限らない。各ポイントの内容を理解して、トレンドの転換点を見極めよう。


株価と移動平均線から売買タイミングを計ろう

日足・週足・月足チャートや移動平均線の期間を使い分けたり、組み合わせたりすることで、トレンドの転換点や売買タイミングを判断しやすくなる。

ローソク足や移動平均線を活用するテクニカル分析は、投資家心理が反映されている。そのため、株の売買だけでなく、仮想通貨の取引でも同じように考えてトレードしてもいいだろう。

株式投資や仮想通貨取引で利益を得られるように、日足・週足・月足チャートや移動平均線を使いこなして売買タイミングを見極めよう。

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