モルガンスタンレーのデニス・リンチ氏は、モーニングスターの投資カンファレンスでの議論で、ビットコインに関する興味深いアナロジーを披露した。何度も繰り返される「ビットコインは死ぬ」という予想に逆らい、技術的もしくはファンダメンタルな逆境から立ち上がる姿は、アニメ『サウスパーク』のキャラクター、ケニーのようだという。

24シリーズも作られている米国の人気アニメ『サウスパーク』では、毎エピソードでケニーというキャラクターが死ぬのがお馴染みのギャグとなっている。そして次のエピソードでは何事もなかったかのように生き返る。

モルガンスタンレー子会社の資産運用会社カウンタ―ポイントの責任者であり、サウスパークファンのリンチ氏は、10年以上前の誕生から何度もその驚異的な回復力をみせるビットコインがケニーのようだと主張する。

数多くの弱気サイクルを経験し、生き残ってきたことで、ビットコインは広く認識され、尊敬される価値の保存手段もしくは決済手段としての地位を確立した。

マイクロストラテジーやテスラなどの大手企業が、ビットコインへの巨額の投資を発表するまでになった。

リンチ氏はスピーチの中で、ケニーとビットコインの類似性について次のように述べている。

「ビットコインはサウスパークのケニーのようなものだと言いたい。彼は毎エピソードで死んで、そして戻ってくる」

ビットコインは中国での規制強化への懸念から、1週間で14%下落した。

中国人民銀行は24日、同国内での仮想通貨取引に対抗するための新たな戦略を発表。仮想通貨への取り締まりを強化するため、金融監督部門や公安部門、サイバーセキュリティ部門などの調整メカニズムを確立するとしている。

しかし、リンチ氏によれば、ビットコインは反脆弱性の特徴をすでに兼ね備えている。ビックテック企業の独占やウォール街の金融市場、政治的な圧力に対抗してきた。

「私はビットコインがこれまでも反脆弱性の特質を持っていることを示してきたと思う」と、リンチ氏は語っている。

「反脆弱性」とは著名な経済評論家であるナシム・タレブ氏が作った造語で、脆弱性の反対であり、無秩序から利益を得るものだ。タレブ氏は「反脆弱性は弾力性や堅牢性を超越する。弾力性は衝撃に抵抗し、状態を維持するが、反脆弱性はそれを糧に成長するものだ」と表現している。