米国の上院議員は、インフラ法案の仮想通貨条項について、2つの修正案が出されていたが、妥協案にまとまったようだ。

パット・トゥーミー上院議員は9日の記者会見で、シンシア・ルミス氏、ロブ・ポートマン氏、マーク・ワーナー氏、キルステン・シネマ氏、ロン・ワイデン氏が支持するインフラ法案HR 3684の修正案について、超党派の合意が得られたと述べた。この修正案では、ソフトウェア開発者、トランザクション検証者、ノード運用者を免除し、税務報告義務は「仲介者にのみ適用されるべきである」とした。

「我々は、仮想通貨の実際のブローカーが誰であるかというルールをより明確にするために集まった。(中略)ブローカーとは、消費者がデジタル資産の売買・取引する相手のみを意味する」

さらにトゥーミー氏は次のように語った。

「これが絶対的に完璧なソリューションだとは誰も思っていないが、元々の案よりははるかに優れているだろう」

米ワシントンに拠点を置く仮想通貨シンクタンク「コインセンター」の責任者であるジェリー・ブリト氏は、修正妥協案のテキストの一部を公開。HR 3684の「ブローカー」の定義が「他の人に代わってデジタル資産の移転を定期的に行うあらゆる人」と変更されたことを示した。

この中間的な解決策は、米国時間の10日に予定されている最終投票の前に、既存のインフラ法案の代替案として考えられた。上院は8日にインフラ関連法案の審議を終了することを決議し、10日の最終投票までに法案に追加修正を加えることは事実上できなくなった。

しかし、上院の規則では、他の議員が反対しなければ、法案を修正することができると規定されている。ワイデン氏は、上院院内総務のチャック・シューマー氏がこの仮想通貨修正案の要求を阻止するような動きはしないだろうと主張しており、法案に追加される可能性が高いという。

ブロックチェーン・アソシエーションのエグゼクティブディレクターであるクリスティン・スミス氏は、「これは完璧ではないが、元々の法案よりはましだ。上院は今日中にこの文言を採用するように動くべきだ」と述べた。

仮想通貨条項の修正案については2種類の修正案でもめていた。

ワイデン氏、ルーミス氏、トゥーミー氏が最初に提案した修正案は、法案で定義されているブローカーの定義を変更し、マイナーやノード検証者、ソフトウェア開発者を除外することを提案していた。しかし、ポートマン氏、ワーナー氏、シネマ氏による代替修正案は、マイナーとウォレット提供者のみを除外する案として提案されており、ホワイトハウスでは後者の方が支持を得ていた。

一方で仮想通貨業界では、ワイデン氏、ルミス氏、トゥーミー氏の修正案を支持し、ポートマン氏、ワーナー氏、シネマ氏の修正案を批判していた。後者の修正案は、米国政府が規制当局に対してどの暗号技術を受け入れるかを選択できるようにするものだった。

記者会見でルミス氏は、「我々は、人々がデジタル課税に対して、お金を隠して税金を回避しようとしていないことを確認する必要があるが、イノベーションを阻害しない方法でこれを行わなければならない」 とし、次のように話した。

「今回の議論での明るい兆しは、上院議員の中でこのテーマに興味を持っている人が、これまで何も知らなかった人であることがわかったことだ。上院議員に、デジタル資産に興味を持ち、デジタル資産に関わる仕事をしていて、上院議員と連絡を取っている人が多くいることを伝えることができた」

この修正案が9日にインフラ法案に添付され、10日の投票で承認された場合、法案はジョー・バイデン大統領が署名する前に下院を通過する必要がある。