仮想通貨企業アンバーグループは、FTX破綻の余波は日常業務に「何の影響もない」としているが、その一方で拡大計画を中止している。12月9日のフィナンシャルタイムズが報じている

アンバーのマネージング・パートナーであるアナベル・フアン氏によると、アンバーは、今はFTXへのエクスポージャーの結果、ヨーロッパと米国での拡大計画を中止し、アジアの機関投資家の顧客に焦点を当てるとのことだ。

またフアン氏は、アンバーがFTX破綻の影響により、新しいメタバースプロジェクトの優先順位を下げざるを得なかったと語っている。

拡大計画の中止とは別に、アンバーは最近、従業員を削減していると報じられている。9月に最大で40%の従業員を解雇したと報じられていたが、12月にも従業員の解雇を続けている

フアン氏によると、アンバーはトレーディング資金の約10%がFTXに滞留しているが、これは同社の日常業務には問題ないとのことだ。アジアでの顧客サービスを継続する計画に沿って、アンバーは新たな資金調達と新たな買収のための活動を続けているという。

シンガポールの政府系投資会社テマセクの支援を受けているアンバーは、新たなに約5,000万ドルの資金調達をしており、その契約は1月に発表されるという。アンバーのの前回の2億ドルの資金調達と同様に、アンバーの評価額は30億ドルになるという。今回の調達額は、アンバーが当初確保すると想定していた金額の半分でもあるという。

アンバーは、現在進行中の資金調達がうまくいかなかったとは考えていないと、フアン氏は述べた。また、アンバーは12月にシンガポール企業の買収を発表する予定であることも付け加えている。

このニュースは、フアン氏がアンバーの債務超過疑惑を否定した直後に出てきた。同氏は12月6日にツイッターで、アンバーが「破産寸前」という疑惑に反論し、「通常通り営業しています。ご心配な方は、出金も通常通り行っております」と語っている。

この疑惑は、オンチェーン・アナリストのLookonchainが、アンバーが所有しているとされるウォレットと報告された資金や取引量との間に、いくつかの重大な不一致を検出したことから出てきたものだった

アンバーを巡っては、11月23日に共同創設者のティアンティアン・クランダー氏が30歳の若さで突然死するという悲劇も起きている