イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、ETHネットワークのガスコストを減少させるために、ブロック内のトランザクションと共に送信されるコールデータの新しい制限を提案した。
ブテリン氏の提案内容は、ロールアップでの高額な取引手数料や、シャーディングの実装・展開にかなりの時間がかかることに関する懸念からだ。
「ロールアップのコストをさらに削減し、ロールアップ中心のイーサリアムへのエコシステム全体の移行を促すための短期的な解決策が望まれる」
提案内容では、ブロックサイズに制限を加えずにガスコストのパラメータを減らすとしている一方、コールデータのガスコストを減らすことにはセキュリティ上の懸念がある。
「(この場合)最大ブロックサイズが10Mバイトになり、イーサリアムのP2Pネットワーク層に前例のないレベルの負荷がかかり、ネットワークが壊れる危険性がある」
Some think layer 2 fees on ETH are too high, because each byte of data a rollup uses cost 16 gas. To lower fees, the gas cost could be reduced to 3. This should be a large benefit, with 5x lower fees. However, in the long term, this may mean blocksize is a new network constraint pic.twitter.com/ffbTQ4zXOz
— BitMEX Research (@BitMEXResearch) November 26, 2021
ブテリン氏はリスクを減らすために、「1.5MBであれば、セキュリティリスクのほとんどを防ぐのに十分」と考えている。イーサリアムコミュニティへのアドバイスとして、次のように書いた。
「多次元リソース制限に対する歴史的な反対意見を再考し、セキュリティを維持しながら適度なスケーラビリティの向上を同時に達成するための現実的な方法として検討する価値がある」
この提案が受け入れられた場合、ネットワークのアップグレードが必要となり、その結果、イーサリアムのエコシステムでは後方互換性のないガスの再課金が行われることになる。
また、アップグレードに伴い、マイナーは、コールデータの合計サイズが最大値に達した場合、ブロックへの新規取引の追加を防止する新しいルールに従わなければならなくなる。
しかし、コミュニティでは、より制限の低いソフトリミットの導入など、他の選択肢についても議論されている。また、ノンファンジブル・トークン(NFT)の販売時の混雑を懸念する声もあり、ユーザーは実行ガスの不足分を高い総費用で補うことになるかもしれない。
ガス料金の上昇は、イーサリアムネットワークからのユーザー流出につながっている。
既報のように、イーサスキャンのデータによると、分散型取引所ユニスワップで取引するトークンを承認するには、イーサ(ETH)で50ドル相当ものコストがかかるという。