5月27日に発表された12.4型レッツノートの新シリーズ「Let’snote SC」。Core Ultra シリーズ2(開発コード名「Arrow Lake」)を搭載し、従来モデルから性能をアップデート。また本体デザインを刷新したことで使い勝手も向上しています。今回パナソニック コネクトから試用機を借り、堅実に進化した「SC」を短期間試してみました。

どこが変わった? レッツノート SCの主な特徴まとめ

  • Core Ultra シリーズ2を搭載
  • MIL規格に基づいた堅牢品質試験
  • 約919gの軽さ
  • 約12.7時間の長時間駆動(動画再生時。JEITA 3.0)
  • インタフェースの刷新
  • レッツノート SCのカームグレイ。試用機でベンチマーク非対応だったため、外観を中心にご紹介したい

外観は「いつものレッツノート」。カームグレイをチェック

まずは外観をチェックしていきましょう。今回試用したのは「レッツノート SC」のカームグレイ。カラーはカームグレイのほか、キーボードや外装が黒いブラックが用意されており、いずれもビジネスシーンで使いやすいカラーとなっています。落ち着いた銀色のカームグレイは従来レッツノートで使われてきたシルバーほど“ギラギラ”しておらず、目立ちにくい点が個人的なお気に入りポイントです。

  • 外装箱はコンパクトになり、より効率的に配送できるようになった

  • 内箱を引き出したところ。梱包は全て段ボールが使われており廃棄しやすそう

  • レッツノート SCの天板。荷重に強いボンネット構造が採用されているが、最近のモデルでは裏側にリブを立てて補強しており、表側はほとんど段差がなくフラットに近い形になっている

  • マイナビニュースを表示したところ。ディスプレイはアスペクト比3:2の12.4型液晶。解像度は1,920×1,280ドット

  • 画面は180度開く。ヒンジの構造上ディスプレイが床にぴったり付くことはない

キーボードの並びに注目、タッチパッドも大型化

レッツノート SCは脈々と続く12.4型レッツノートの最新モデルで、従来の「SR」シリーズの後継機にあたります。プロセッサが新世代になったほか、インタフェースなどを含めたデザイン全体を見直したことでシリーズ名も新しくなりました。

天板、キーボード面、底面は落ち着いたシルバー、ベゼル部分はブラックです。天板は加圧に強いボンネット構造ですが、大きな段差はなくほぼフラットな見た目。キーボードでは大きな変化として、左下キーの並びが従来Fnキーが左/Ctrlキーが右となっていたところ、SCではCtrlキーが左/Fnキーが右と、一般的なキーボードと同じ並びに代わりました。BIOSで従来通りFnキー/Ctrlキーの並びにも変えられるそう。12.4型ゆえのキー間の狭さはあったものの打鍵は問題なく、快適な入力が可能でした。

タッチパッドは、兄弟機となる14型モデル「FC」シリーズと部品を共通化している関係で、従来から大型化しています。これも反応よく快適に操作できました。

電源ボタンの場所も、従来の前面左に配置されていたスライドスイッチから、キーボード奥側のボタン式に変更されました。間違えて押したり、鞄の中で誤操作したりする要素のない場所なのは長所といえるでしょう。

  • キーボードは標準的な日本語配列で、使いにくいところはさほどない。1点気になったのが左上のEscキーとその隣にある半角/全角キーの並び。従来からこの並びではあるものの、一般的にはEscキーの隣はファンクションキーとなるため少し慣れが必要

  • 左下はなんとCtrlキー、Fnキーの並びに。BIOSで逆に設定することも可能

  • クリックボタンは独立型。大型化したタッチパッドは反応よく操作しやすい

  • キーボードの奥に電源スイッチを配置。表面から0.3mm下げることで意図しない電源オンを防ぐ

インタフェースは左に集中、D-Sub/SDスロットは省かれる

このほかインタフェースの大きな変化として、搭載ポートからD-Subポート、SDカードスロットが省かれました。D-Subポートの省略は「HDMIに切り替えている顧客が多い」ため、SDカードスロットの省略は「法人顧客の多くから、昨今のセキュリティリスクを鑑みて削除要請が多かった」ためと、市場の総合的なニーズを考慮して非実装としたとのこと。

ちなみにこの2つの端子は従来右側面に配置されており、これらが省かれた関係で必然的に左側面へ主要端子が集まった形です。PCの右側にマウスを置いて左側に電源ケーブルやHDMIケーブルなど必要なケーブルを挿すことができます。

  • 左側面は、HDMIやUSB Type-A、USB Type-C×2、有線LAN端子、イヤホンジャックなどを搭載。USB Type-Cポート間は実測で約1.5cmほど。それなりに余裕があり干渉しにくそうです

  • 右側面はセキュリティロックとUSB Type-A端子。カスタマイズモデルではワイヤレスWAN搭載モデルを選んだ場合はSIMスロットも右側に配置される

  • ポートの少ない右側にトラックボールを配置し、HDMIやUSB Type-Cでケーブルを挿しっぱなしにできる

バッテリーの着脱はネジ留めに。スピーカーはサイズアップ

さて、レッツノートといえばバッテリー交換機構です。背面の着脱バッテリーは、これまでスライド式のロック機構だったところ、SCではネジ止め式になりました。交換頻度がさほど高くないことがネジ止め式にした要因とのことで、これに加えバッテリーも「FC」と共通化している部品であることから、コスト削減の意図もあるかもしれません。

搭載スピーカーも従来から大型化。YouTube動画の再生を試してみましたが、ボーカルの声や楽器の音などがクリアに聞こえ個人的には十分満足のいくレベルでした。

  • 背面の着脱バッテリーは、これまでスライド式のロック機構だったところ、SCではネジ止め式になりました。底面から吸気してヒンジ背面から排気する仕組み

  • オンライン会議におけるWebカメラの画質および音声は、場所により良し悪しが分かれる結果に。明るく静かな場所では試した限りではクリアに写り、暗い場所や騒がしい場所では映像や声にノイズが乗る形だった。ここは量産機で実際の動作を確認しておきたいところ

「軽さ」と「バッテリー駆動時間の長さ」が印象的

Core Ultra シリーズ2を搭載し、デザインやインタフェースも全面的に見直した「SC」は、短時間使ってみた限りでは「軽さ」と「バッテリー駆動時間の長さ」が印象的でした。

家庭用はかりで計測したところ試用機の重さは901gと軽く、移動中の持ち運びはもとより、社内で場所を移動して使う際にも片手で手軽に持ち運べたことが快適。また性能面だけでなく、デザイン面での大きな進化は仕事利用時の便利さを実感できました。

今回はベンチマークによる検証ができませんでしたが、仕様値では動画再生で約12.7時間、アイドル時で約34.6時間の長時間駆動が可能です(JEITA 3.0基準)。体感ながらバッテリーもかなり持つ印象で、バッテリーの輝度を40%に設定し、PCを使い続けて残量が65%になったところで、約30分のオンライン会議を実施。その後、Webブラウジングとテキスト入力を1時間ほど行った時点でのバッテリー残量は約50%と、安心できるレベルを保っていました。

  • 本体の重さは実測で901g。仕様値より10g以上軽い結果に

  • 片手で気軽に持ち運べるのがうれしいポイントの1つ