米Appleは7月24日(現地時間)、同社の地図サービスのWeb版「Apple Maps on the web」のパブリックベータ提供を開始した。
現時点で、パブリックベータ版でサポートされている言語は英語のみ。対応環境は、MacおよびiPadのSafariとChrome、Windows PCのMicrosoft Edge、Chromeとなっており、これらのブラウザを用いてパブリックベータ・ページにアクセスする。今後、他の言語、ブラウザやプラットフォームへの対応を順次拡大していく予定である(試用してみたところ、Mac上でEdgeやArcなど、Chrome以外のChromiumをベースとしたブラウザでも動作した)。
AppleマップのWeb版は、iOS/iPadOSやmacOSの「マップ」アプリと同じようになめらかに動作し、スムーズな拡大・縮小や移動が可能である。
パブリックベータ版では、検索、経路、ガイドなどの利用が可能。ガイドでは、ローカル情報、ビジネス情報(営業時間、Webサイト/コンタクト情報、レビュー/写真など)、場所カードからのアクションなどが提供されている。数カ月中に「Look Around」(場所を見回す)を含む他の機能の追加を予定している。
MapKit JSを使用している場合を含め、開発者がWeb版のAppleマップにリンクすることができ、これにより、運転経路の確認や詳細な場所情報へのアクセスなどを提供して、ユーザーとのつながりを強められる。
Appleは初代iPhone(2007年)からiOS 5までGoogleマップをiOSのデフォルト地図にしていた。2012年にiOS 6で、デフォルトの地図アプリをAppleマップに置き換えた。しかし、当初多くの不具合や精度の問題が指摘され、Googleマップ・アプリがまだ提供されていなかったこともあり、iPhoneの有用性の悪化が非難された。その後、Appleは迅速にフィードバックを受け入れ、地図データの精度向上やナビゲーション機能の改善に取り組み、またTomTomやOpenStreetMapなど、外部パートナーとの提携を強化し、3Dビューやフライオーバーモード、交通情報などの新機能を追加してきた。
AppleのOSやソフトウェアと緊密に連携するAppleマップ・アプリは、Appleのデバイスで使いやすい。Web版の登場により、Windows、将来的にはAndroidでも利用できるようになる可能性がある。クロスプラットフォーム対応により、携帯のみiPhoneでPCはWindowsを使用しているようなユーザーが、より便利にAppleマップを利用できるようになる。地図サービスとしての競争力が向上することで、情報を提供するビジネスにとってAppleマップの価値が高まる。また、多様なプラットフォームからの利用データがサービスの向上や新機能の開発に役立つと考えられる。