Googleが昨年10月に発表し、今年になってだんだん製品投入が本格化してきた「Chromebook Plus」。仕様面である程度の下限ラインを設定し、“Chromebook Plus”とついていれば安心して購入できることを消費者に訴求しています。
今回、ASUS JAPANから2月に発売された「Chromebook Plus CX34(型番:CX3402CBA-MW0151)」の貸与を受けてしばらく体験することができたので、インプレッションについてかんたんにご紹介。忙しい方向けに説明すると、確かに性能/コスト比はかなり優れていました。
Chromebook Plusとは一体……
Chromebook Plus CX34自体の紹介に移る前に、製品名に冠する「Chromebook Plus」について振り返っておきましょう。端的に表現すると、Google側で基準を設けてあるプレミアムモデルのことです。
ChromebookはOSの動作負荷がきわめて軽量なので、極端にハードウェアの性能が低くてもある程度動作します。このため、市場に出回る製品が「多少まとも」なのか「やや低性能」なのか、あまり明るくないユーザーにはかえってわかりにくくなっていました。Chromebook Plusブランドの設定によって、このわかりにくさを打破する狙いがあります。具体的な仕様は下記の通り。
- 第12世代Intel Core i3以降 / AMD Ryzen 3 7000以降のプロセッサ
- 8GB以上のメモリ
- 128GB以上のストレージ
- フルHD解像度(1,920×1,080ドット)以上のディスプレイ
- ノイズ低減機能付き1080p Webカメラ
こうしてみれば、たしかに一般的に“ノートPC”として表現したときに期待される性能がしっかり確保されていると言えるでしょう。この要件を満たしていない製品の一例として、MediaTekやQualcommのSoCだったり、Intel Atom / Celeronを搭載するChromebook製品も市場には存在しているので、Googleとしては区別したい意図があったのかもしれません(用途に応じて、別にPlusである必要がない場合も当然あります)。
また、機能面では名物「消しゴムマジック」をサポートしている点もポイント。プリインストールされるGoogleフォトアプリから利用できるというもので、写真に映り込んだ余計な被写体をAIを用いて除去することが可能です。AI機能としてはそのほかにコンテンツの下書きやアシスタント機能の搭載も予定されているとのことで、先進機能の継続的な新搭載が図られるとのこと。
いたって普通、個性のないプレーンな外観をチェック
Chromebook Plusについて分かったところで、CX34(型番:CX3402CBA-MW0151)の実物を見ていきましょう。一言で言い表すとかなり個性を抑えたプレーンな外観で、主張するところのないシンプルな仕様でした。
先進的で変則的なフラッグシップモデルでもないため、きわめて一般的なノートPC仕様が踏襲されているという印象。USB-Cで充電できて便利ですし、HDMI端子やUSB Type-A端子を備えてマウスやプロジェクターとの接続も簡単に行えます。15.6型の大画面なので、持ち運ぶには若干重く感じるかもしれません。
キーボードはアイソレーション型で、ちょっと詰まった左右端のレイアウトに慣れてしまえば問題なさそう。ちなみに「ASUSアンチマイクロバイアルガード」が施されており、いわゆるちょっとした抗菌仕様です。
性能は確かに“Plus”級。Android向けゲームも快適
外観も眺めたので、実際にGoogleアカウントでサインインしてあれこれ触ってみました。第12世代Core i3-1215U(6コア8スレッド)の性能は大したもので、ChromeOSの軽量さも相まってほとんどのノートPCよりサクサク動作させることができました。ブラウザの動作速度を計測できる「Speedometer 2.1」ではスコアが300を超えており、少し前からのPC買い換えでは明らかに快適になったことを感じられるはずです。
CPUも強力ですが、グラフィックス性能もなかなかのもの。もちろんGoogle Playが搭載されているので、Android向けゲームを自由にダウンロード・インストールしてプレイすることが可能です。
安心して購入できる仕様をしっかり担保できている
ここまでASUS「Chromebook Plus CX34(今回取り扱った構成はCX3402CBA-MW0151)」について紹介してきた本記事。Google的には何やら新機能を推したい気持ちもあるようですが、筆者的にはやはり、「安心して買える基準の制定」が消費者にとってはとても大きいのではと感じます。
ノートPCの仕様は千差万別、量販店やECサイトでいざ買おうとしても五里霧中になりがちで、かなりPC知識に明るい人でも「これだ!」と即断即決するのは至難の業です。ちなみにWindows搭載ノートPCでも似たような基準として「Intel Evo Platform」が存在しますが、やや高価でなかなか現実的ではないのが実情という事情も。
本当にChromebook Plusを買って失敗しないのか? とこれまで若干懐疑的でしたが、Googleが設定した仕様は性能・価格的に納得感のあるラインを堅持していることがわかりました。ブラウジングや動画視聴はもちろん、Googleドキュメント・スプレッドシート・スライド等でオフィスユースにもマッチしているので、例えば学生のようにメールを作成したりレポートを書いたり、スライドを作る用途をしっかりカバーできているように感じました。
なにより、高性能なタブレットよりも圧倒的に安価で、かつ大画面である強みも忘れるわけにはいきません。今回扱ったモデルはASUS直販で79,800円ですが、実勢価格では70,000円強で購入可能です。