高級キーボード「REALFORCE(リアルフォース)」を製造販売する東プレが3月9日、タイピング競技大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2024」(以下、RTC 2024)の決勝戦を、東京の日本テレビ本社で開催しました。
同大会は2017年に第1回を開催し、コロナ禍を挟み今回で通算5回目。過去4回の大会ではいずれもローマ字入力の選手が優勝(“絶対女王”miri選手が4連覇)していましたが、今年はかな入力で出場する選手が初めて優勝するなど、新たな見どころのある試合展開となりました。
RTC 2024の試合形式とルール
この日の決勝戦には、タイピング練習サイト「e-typing」上で2月6日~19日に行われた予選を勝ち抜いた16人(ローマ字入力12人、かな入力4人)の選手が出場。決勝の試合で使用されたのは、ネットワーク対戦に対応したタイピングソフトの「Weather Typing 4.3」で、1対1の勝ち残り式トーナメント戦で優勝者を決定しました。
主なルールと試合形式は以下の通り。
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試合中に入力する文字列は、「日テレ」「旅行」「ライフ」に関連した計600種類のワードの中から出題される。ワードは事前に公開されている。
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同じワードを同時に打ち始め、10ワード目を先に打ち切ったプレイヤーがそのラウンドを獲得し、3ラウンドを先に取得したプレイヤーが勝ち。決勝戦のみ5ラウンド先取。
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ただし、10ワード目を先に打ち切ったプレイヤーの正確性が95%未満で、もう一方のプレイヤーが95%以上の場合、95%以上のプレイヤーがラウンドを獲得。両者ともに95%を下回った場合、10ワード目を先に打ち切ったプレイヤーがラウンドを獲得。両者の正確性が95%以上で、同時に10ワード目を打ち切った場合は、トータルポイントの数値が大きいプレイヤーがラウンドを獲得。
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選手が持ち込んだUSB接続の有線キーボード、または会場に用意されるREALFORCEを使用。QWERTY配列以外のキーボードは、Dvorak配列キーボードに限り使用可能。
激戦を勝ち抜いた2名の選手が激突
事前に開催された予選トーナメント勝ち抜いた16名の選手が、トーナメント戦で優勝者を決めるこの本戦。決勝戦まで勝ち進んだのは、ローマ字入力の「くわな」選手対かな入力の「三山羊」(みやぎ)選手です。
準決勝までは3ラウンド先取(BO5)ですが、決勝戦は5ラウンド先取(BO9)で勝利となります。
くわな選手は初戦で「たのん」選手にストレートで勝利したあと、過去のRTCでなんと4連覇を果たしている“絶対女王”こと「miri」選手と対戦。1分間に打てるキーの数を示すkpm(keystrokes per minute)が1,400超えという超高速打鍵が飛び交うハイレベルな接戦でmiri選手を下しました。準決勝では高速打鍵が強みの「はやとぅ」選手に正確性を重視した戦略で勝ち抜き、miri選手から「私の思いも背負って優勝まで行ってほしい」というエールを受けながら、決勝へ進出しています。
一方の三山羊選手は、初戦で最年少出場となる中学生タイパーの「seina」選手に安定感あるタイピングで勝利。準々決勝では、先輩筋にあたるmuller選手との“かな入力対決”を熱戦の末に制しました。準決勝では調子を上げてきていた「goe」選手をさらに上回る速いスピード・高い正確性を持って勝ち抜き、決勝へ駒を進めています。
ラウンド1:【勝利】くわな選手
スタートした決勝戦。第1戦のラウンド1では三山羊選手が先に10ワードを先取したものの正確性が95%を下回ってしまい、96.4%の高い正確性でゆとりを持ってタイピングを進めたくわな選手が勝利しました(正確性が95%を下回った場合、先に10ワードを先取した場合でも、正確性95%を超えている方が勝利となります)。
ラウンド2:【勝利】三山羊選手
ラウンド2では1ワード取ったら1ワード取り返すという攻防から三山羊選手がスピードアップ。95%超えの正確性を保ったままくわな選手を突き放して、三山羊選手が10ワードを先取し勝利しました。
ラウンド3:【勝利】くわな選手
ラウンド3では早々に両選手が正確性95%を割り込んでしまい、三山羊選手はワード取得スピードこそ早かったものの、正確性を回復できず10ワード目を打ち切れない展開に(正確性が95%を下回った場合、先に10ワードを先取した場合でも、正確性95%を超えている方が勝利となるため)。くわな選手が96.3%の正確な打鍵で打ち進め勝利。
ラウンド4:【勝利】三山羊選手
ラウンド4は両者とも正確性を重視したタイピング展開でスタート。両者95%を割る展開ながら、くわな選手が95%に戻したため、ふたたび三山羊選手はワード先取しながらも“待ち”の状態に。このままくわな選手が10ワード目まで打ち切るかと思われたそのとき、くわな選手がミスで正確性94.6%に落ちた隙を狙い、三山羊選手が10ワード目を先取するという熱い試合運びになりました(両者とも正確性95%を下回ると、速く10ワードを打ち切ったほうが勝利)。
ラウンド5:【勝利】三山羊選手
スコア2対2で臨んだラウンド5。くわな選手も三山羊選手も正確性を意識し、落ち着いたkpmで進んでいきます。くわな選手は正確性95%を維持して進んだ一方、三山羊選手は一時割り込み、先ほどと同じ展開になるかと思いきや10ワード目直前で三山羊選手が正確性を95.4%まで戻し、試合を取り切りました。
ラウンド6:【勝利】三山羊選手
ラウンド6は、三山羊選手が正確性・スピードともに優位に立って試合をリードし、正確性を落としてしまったみやぎ選手はスピードに振り切れない展開に。正確性を保っていた三山羊選手も10ワード目前に94.1%へ割り込んでしまったものの、両者とも正確性95%を下回ったまま三山羊選手が先取しました。ここでスコアは2対4、三山羊選手が優勝に王手をかけます。
ラウンド7:【勝利】くわな選手
ラウンド7は三山羊選手、くわな選手とも早い段階で95%の正確性を割ったものの、スピードでくわな選手が1歩リード。両者ともスピード優勢で進み、三山羊選手も差を詰めようとしましたが、くわな選手が第8ワード、第9ワード、第10ワードと先行して取り切り、三山羊選手の王手に待ったをかけました。
ラウンド8:【勝利】三山羊選手
くわな選手スコア3、三山羊選手スコア4で臨んだラウンド8はスタート直後に両者とも正確性がやや崩れ、スピード勝負で進んでいきます。中盤で三山羊選手が正確性を95%まで盛り返し、取得ワード数も優勢に。三山羊選手が95%の正確性を維持したまま、ミスのない高速入力で5、6、7、8、9ワード目を先取。そのまま最後の10ワード目を96%の正確性で入力し終え、勝利しました。
三山羊選手に黄金色のキーボード(トロフィー)が贈られる
REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2024は、三山羊選手が優勝の栄光を手にしました。過去4回にわたり同大会を制覇してきたmiri選手はローマ字入力なので、今回かな入力選手が初めてトロフィーを手にしたことになります。
三山羊選手は「緊張したものの、くわな選手には負けてもいいかなと気楽な気持ちでできました。そのぶん気持ちが安定したかなと。楽しい時も楽しくない時もひたすら打ち続けてきたので、(今後も)スタンスは変わりません。(来年の大会は)予選からですが、できる限り出場したい気持ちはあります」と語りました。
優勝者に授与される黄金のキーボード(トロフィー)は、この第5回目となる本大会から、歴代の優勝者の名前が刻まれていくことになっています。準優勝はくわな選手、3位にはgoe選手が、はやとぅ選手との激闘を制して入賞しました。