2023年8月12日、アメリカ・ロサンゼルスにて開催されているタクティカルFPSゲーム『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2023 Champions」(以下、VCT 2023 Champions)で、日本チーム「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)がAmericasリーグの「NRG」と対戦しました。

対戦相手の「NRG」は、直近の国際大会「VCT Masters Tokyo」で4位の成績を誇るチーム。そして、「ZETA」にとっては、世界3位を獲得した昨年の国際大会「VCT Masters Reykjavík」で、最後に戦って敗れた「OpTic Gaming」の選手3名を含むチームでもあります。

この試合は、グループステージのロワーブラケットでの対戦で、両チームとも負ければ大会敗退となる一戦でした。「ZETA」は、接戦となった1マップ目を落としたのち、2マップ目で大敗を喫し、マップカウント0-2で敗北。これにより、今大会の敗退が決まりました。本試合の模様と、試合直後の「ZETA」へのインタビュー内容をお届けします。

■試合結果
ZETA [0-2] NRG
1マップ:13-15(バインド)
2マップ:1-13(ヘイヴン)

  • 「ZETA」TENNN選手、Laz選手、Dep選手、SugarZ3ro選手、crow選手

【バインド】オーバータイムにもつれ込む激戦で惜敗

1マップ目は、「ZETA」がピックしたバインド。「ZETA」は、Pacificリーグの「Last Chance Qualifier」(以下、LCQ)でバインドをバンしていたため、相手に事前情報を与えていないマップです。

序盤では、お互いにスリフティを取り合う流れが3ラウンドも続くなど、予想のつかない展開からスタートしました。「ZETA」は前半の守りで、7-5とリードして折り返すことに成功。さらに、後半のピストルラウンドを獲得したことで、9-5へと差を広げます。

しかし、その後は「NRG」の追い上げにより、同点に並ぶ接戦に。終盤では、Laz選手の見事なエースにより「ZETA」が先にマッチポイントに持ち込みましたが、再び同点に並び、オーバータイムに突入しました。そして、激戦が続くなかでも、冷静な戦いぶりを見せた「NRG」がオーバータイムを制します。

「ZETA」は13-15と、あと一歩のところで惜しくも敗北。「ZETA」にとっては、3マップ目に得意とするスプリットが控えているだけに、1マップ目のバインドを落としたことは大きな痛手になりました。

  • 「ZETA」Laz選手が、人数不利をひっくり返す見事なエースを披露

  • オーバータイムに突入する接戦の末、あと一歩のところで「NRG」に敗れた

  • 地元NAチーム「NRG」への応援が響くアウェイの会場で、激戦を戦った「ZETA」

【ヘイヴン】相手の構成への対応に苦戦し、大差での敗北に

2マップ目は、「NRG」がピックしたヘイヴン。「NRG」はこのマップに、スモーク役のハーバーとヴァイパーを入れた2コントローラー構成でのぞんでおり、これが「ZETA」を苦しめることになりました。

前半の守りで「ZETA」は、4ラウンドを連取される厳しい立ち上がりを迎えます。苦しいラウンドが続くなか、ガレージを守るDep選手がエースを獲得し、「ZETA」が流れを変えるチャンスかと思われました。ところが、その後も「NRG」の2コントローラーを活かしたエリアコントロールや、巧みな揺さぶりに翻弄され、ラウンド取得につなげることができません。

「NRG」ardiis選手の活躍にもペースを乱され、「ZETA」は1-11での折り返しと、かなり難しい状況に追い込まれます。後がないなか、「ZETA」は後半のピストルラウンドを落としたことで、1-13の大差で敗北。マップカウント0-2で「NRG」に敗れ、今大会敗退となりました。

試合直後の配信インタビューには、Laz選手とJUNiORコーチが登場。このヘイヴンでの戦いについて、「ZETA」は相手にデータを取られている一方で、「NRG」は直近あまりヘイヴンでの戦いを見せておらず、事前情報が少ないなかでの対応に苦戦したことを明かしました。

  • 苦しいラウンドが続くなか、「ZETA」Dep選手がエースを獲得

  • 2マップともに、すさまじい活躍を見せていた「NRG」ardiis選手

  • 冷静かつ巧みなプレイで、強豪チームとしての着実な強さを示した「NRG」

「得意マップの少なさが現状の課題」試合後インタビュー

試合後に実施されたプレスカンファレンスには、「ZETA」の選手5名とJUNiORコーチが登壇。「NRG」との試合や、2023年のシーズン全体を振り返る内容などが語られました。海外メディアからの質問を含め、「ZETA」へのインタビュー内容をお届けします。

  • プレスカンファレンスに出席する「ZETA」選手5名とJUNiORコーチ

――「NRG」との試合では、残念な結果にはなりましたが、Laz選手のすばらしいプレーが随所で見られました。試合を振り返っていかがですか?

Laz:勝ちにつなげることができなかったので、自分のプレイに関しても、あまり良い印象ではありません。強い場面はありましたが、ミスも多かったですし、もっと上手くできたなと思います。

――TENNN選手はLCQから今大会にかけて、レイズでのパフォーマンスが非常に高かったと思います。ここまでの活躍をどのように思われていますか?

TENNN:LCQでのレイズは通用していたと思いますが、「VCT 2023 Champions」でプレイしてみて、世界のレイズとの差を感じました。

――1マップ目では、チームのパフォーマンスがとても良かったのに対し、2マップ目では少し結果が伴わなかった印象です。2マップ目では、メンタル的な問題が発生していたのでしょうか?

JUNiOR:僕が見たところでは、前半で1-7や1-8になったあたりから、細かいミスが増え始めた印象でした。これはおそらくメンタルからくるものだろうと、個人的には思っています。ただ、そもそもそれほどのラウンド差になるべきではないので、メンタル的なプレッシャーの影響というより、ヘイヴンというマップでの強さが足りなかったと考えています。

――今大会の出場を通して、現状の「ZETA」として課題を感じたところや、今後に向けて改善したいと考えていることを教えてください。

JUNiOR:「ZETA」の課題として、得意なマップの少なさがあるかなと感じます。世界レベルで通用するような、十分に戦えるマップをもっと増やしていきたいと思っています。

――今年1年間を振り返って、チームとしてどのような印象を持っていますか?

JUNiOR:今年1年はPacificリーグから始まり、LCQ、「VCT 2023 Champions」と出場して、とても成長につながる、学びの多いシーズンだったと感じます。僕たちは、「VCT Masters Tokyo」には出場できませんでしたが、世界トップレベルのチームが東京に来てくれたので、練習試合をすることができました。日本やアジアにいながら、世界レベルの練習ができて、非常に学びが多かったです。

――応援してくださったファンの皆さんにメッセージをお願いします。

Laz:1年の試合が終わってしまって、「これでおしまいか」という気持ちですが、ここまで応援してくださった皆さんのおかげでがんばれたと思います。すごく励みになりました。ありがとうございます。

2023年の「ZETA」の戦いが終了、続く挑戦は来シーズンへ

「ZETA」はグループステージ0勝2敗、ベスト16という結果で今大会での挑戦を終えました。これにより、2023年シーズンの『VALORANT』公式大会における、「ZETA」の戦いは終了となります。

2023年は大会形式が大きく変わり、世界大会へ出場する難易度が格段に上がったシーズンでした。そうしたなかでも「ZETA」は、LCQでラスト1枠の出場権を勝ち取り、「VCT 2023 Champions」の舞台で戦う姿を見せてくれました。この経験を活かした、来シーズンでのさらなる活躍に期待が寄せられます。

なお、「VCT 2023 Champions」では、8月14日までグループステージが実施され、各グループ上位2チームがブラケットステージへ進出。8月16日からは、グループステージ突破8チームによるブラケットステージが行われます。

日本チームが属するPacificリーグからは、シンガポールの「Paper Rex」と韓国の「DRX」が、すでにグループ1位通過でのブラケットステージ進出を決めています。また、韓国の「T1」も次の試合で勝利すれば、グループ2位通過でブラケットステージへと進出します。

2023年の『VALORANT』世界王者に輝くのは、はたしてどのチームになるのか。そして、Americasリーグ、EMEAリーグ、Pacificリーグ、中国という4つの地域による勢力図が、どのような結果になるのかにも注目が集まります。

  • 2023年シーズンの公式大会における挑戦を終えた「ZETA」

  • DAY6終了時点でのグループごとのトーナメント結果

  • DAY6終了時点でのグループステージの試合スケジュール

  • ブラケットステージ以降の試合スケジュール