「実験的なWebKitの機能」とは、開発途上だけれど試験的にSafariに組み込まれている機能群を指します。iOS 14の現在は、『設定』→「Safari」→「詳細」→「Experimental Features」の順に画面を開くと、設定画面を開くことができます。
WebKitはWEBページの構文(HTML)を解釈し、文字や画像の配置など描画処理につなげる「レンダリングエンジン」としての役割を持っています。いわばSafariの頭脳であり、WebKitの性能向上や新機能追加なしにこれからのSafariは語れません。
WebKitはオープンソース(プログラムの設計図が公開されているソフトウェア)のレンダリングエンジンで、Safari以外のWEBブラウザにも採用されていますが、開発の中心がAppleという事情から新機能はいち早くSafariに採用されます。つまり、「実験的なWebKitの機能」には将来Safariに正式採用されるかもしれない機能が用意されています。
たとえば、画像などのコンテンツを遅延読み込み — 画面スクロールに応じて読み込むため、当初ページ下方のコンテンツは読み込まれない — を行う「Lazy Image Loading」は、「実験的なWebKitの機能」で有効化することで、Safariのデータ通信量を減らすことができます。データ通信量が減れば消費電力も減るため、iPhone全体にとっても有益な機能といえるでしょう。
しかし、「実験的なWebKitの機能」は正式採用された機能ではないため、安定性などに問題を抱えていることがあります。本来ソフトウェア開発者が将来の製品開発に役立てる目的で使うものですから、試すときはひとつひとつ有効にして、悪影響がないか確かめながら利用しましょう。いきなりすべてのスイッチをオンにしてしまうと、何が有益で何が無益だったか、わからなくなってしまいますよ。