ゴールドマン・サックスが支援するデジタル決済企業サークルは、米国でデジタル通貨に対応した国法銀行になる計画を明らかにした。預金者の資金全額を現金などで保管するフルリザーブバンキングとなる計画だ。

サークルの共同創業者でCEOのジェレミー・アレール氏は9日、サークルは連邦準備制度理事会、米国財務省、通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)の監督とリスク管理要件の下で運営する意思があると述べた。時期については明言していない。

アレール氏は、「デジタル通貨技術を基盤としたフルリザーブバンキングは、効率的なだけでなく、より安全で弾力性のある金融システムを実現できる」と主張した。サークル社は、同社が発行するステーブルコインであるUSDコイン(USDC)が「数千億ドルの流通規模」にまで成長し、信頼性の高い経済活動を支え続けるとともに、金融サービスやインターネットのアプリケーションで人気のツールになると予想している。

アレール氏は、「ドル建てデジタル通貨の国内規制基準を確立することは、準備金の管理や構成に関する基準を含め、デジタル通貨の可能性を実体経済で実現するために非常に重要だ」と話した。

サークルが開発するUSDCは、テザー(USDT)に次ぐ世界第2位の時価総額を誇るステーブルコインだ。コインゲッコーのデータによると、記事時点でUSDCの時価総額は278億ドルで仮想通貨全体で第8位。一方でUSDTの時価総額は630億ドル近くに達している。

フラクショナル・リザーブ・バンキングとは対照的に、フル・リザーブ・バンキングでは、銀行は各預金者の資金の全額を現金および現金同等物で保管し、要求に応じて即座に引き出せるようにしなければならない。100%リザーブ銀行とも呼ばれる。

サークル社は7月、アイルランドの特別買収目的会社(SPAC)であるコンコードと合併し、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する計画を発表している。