ニコンの本社が、西大井の“ゆかりの地”に戻ってきました。意外にも、ニコンカメラを連想させるデザインや造形はありませんでしたが、1つだけニコンならではのものを発見。製品基準に至らなかったレンズを砕いてアクセントとした、キラリと光る床材でした。もしかすると、あのNoctやPlenaになれなかったレンズの一部もあるかもしれません…!?

  • 西大井に復活したニコン新本社。CP+でも見たような大きなニコンロゴが鎮座する

明るい執務室は働きやすさを最重視

新たに建てられたニコン本社は、100年以上にわたって拠点を構えた、大井町駅からつながる「光学通り」沿いにあります。東西に長い新本社のコンセプトは「City of Light」。新本社移転のプロジェクトを担当したニコンの大村泰弘氏は「ニコンは一貫して光の可能性に挑んできた会社。光が集まる街のような建物にしたいと考えた」と語ります。

  • 新本社は東西に長い構造で、フロアはもっとも長い場所で150mもあるという

光を集める工夫が、外観で象徴的な大きなひさし。ひさしは、主に建物内に差し込む直射日光を遮る役目を持ちますが、ひさしに反射した光が反射して建物内の天井に当たり、その光が建物内を明るくする、という仕組みです。

  • 分厚いひさしと薄いひさしを設け、直射日光を避けつつ日光を内部に導く工夫を施している

  • 光を導くイメージ

そのように明るい建物内は、多様な働き方ができるようにしています。デスクがズラッと並んだ執務室以外に、おしゃれな家具を備えた場所や、大きな階段の脇に腰掛けられる場所、外の空気を吸って気分転換しながら働ける屋外など、多彩な執務スペースを用意。働く場所を社員ひとりひとりが自由に選べるだけでなく、部門の垣根を越えてさまざまな人と横のつながりを生み出せるように工夫。「会議室がなければ話し合いができない、をなくしたかった」(大村氏)

  • 西海岸のベンチャー企業のようなおしゃれな執務スペースを用意

  • フロアをまたぐ階段の脇に、腰掛けて話せるスペースを用意

  • 屋外にも休憩スペースを兼ねた執務エリアを用意する

自由な働き方をサポートするために、さまざまな場所に可搬型のモバイルバッテリーを用意。デスクから離れても、ノートPCのバッテリー切れを気にせず業務に集中できるようにしています。

  • フロアのさまざまな場所に設けられていたモバイルバッテリーの充電ステーション

来館者もくつろげる大階段と、レンズのかけらを用いた床材は必見

これまで紹介した新本社の執務スペースは関係者以外入室禁止となっていますが、一般の人が自由に入れるスペースも存在します。その1つが、ニコンファン期待の新生ニコンミュージアムです。2024年秋の開館予定なので詳細は公開されていませんが、「展示スペースは品川の時よりも少し広くなる。展示内容も品川とは異なる工夫を用意する」とのことで、品川に足繁く通った人も新鮮に楽しめるミュージアムとなりそうです。

  • 新生ニコンミュージアムは本社1階に設けられる

  • ニコンミュージアムの入り口。残念ながらまだ工事中で、看板などもなかった

ニコンミュージアムにつながる場所には、大きなワイドスクリーンと大階段を設けたアトリウムがあります。新製品発表会などのイベントで使われるということですが、何もない時は来館者が自由に座ってよいといいます。ミュージアム来館時の待ち合わせや休憩に利用できるのはうれしい配慮といえます。

  • 左奥がニコンミュージアム。手前には大きな階段を備えるアトリウムがある

  • アトリウムを上から見たところ。大型スクリーンを用意しており、さまざまなイベントに使われるという。来館者がここで休憩することも可能

  • アトリウムの脇には、一般の来館者も使えるローソンを用意。写真が飾ってあるのはニコンらしい

来館者が自由に入れるアトリウム周辺などで、キラリと光る透明な素材を含んだ石の床材があるのを発見。聞いてみると、製品基準に至らなかったレンズを砕いて再利用しているのだそう! 「もしかするとNoctやPlenaになれなかったレンズも含まれているのだろうか…?」と思うと、思わずしげしげと眺めてしまいました。

  • 透明な素材が散りられた床材を発見!

  • 透明な素材はレンズを砕いたかけらということだ

  • ニコンの德成旨亮社長