著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
先週(21日〜27日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比80,369円(2.05%)安の3,839,403円。週前半には複数中国金融機関が暗号資産(仮想通貨)に関連する取引を一切禁止するとのリリースをだし、一時は3万ドル水準(≒332万円)を割り込み365日線割れを試したビットコインだったが、米早期利上げ観測の後退、追加財政刺激策期待、さらにはパラグアイでのビットコイン法定通貨化の思惑が相場の支援となり、速やかに3万ドル水準を回復し25日には390万円台前半まで戻した。
一方、25日は本邦金融庁がバイナンスに対して2度目の警告を行ったことや、米個人消費支出(PCE)が概ね市場予想と一致し、米国でのインフレ率上昇が米連邦準備理事会(FRB)の描くシナリオ通りに「一過性」であることが示唆され、ビットコインは22日〜24日の上昇幅を掻き消した。
週末26日の相場もハッシュレートの110 Ehash/sから85 Ehash/sへの低下を受けて再び3万ドル割れを試したが、ハッシュレートは底入れが近いとの観測もあり心理的節目で押し目買いが入った。週末はこのほか、イーロン・マスク氏が来月開催予定のビットコインのカンファレンスに登壇意欲を示したことや、メキシコの資産家で経営者のリカルド・サリナス・プリエゴ氏が「法定通貨は詐欺だ」と一蹴し、自身が経営する銀行での仮想通貨取り扱い計画を明かしたことが材料視された。
足元では、CMEのビットコイン先物市場が開くとほぼ同時に買いが入り、相場は380万円半ばでの推移となっている。