著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

先週(7月25日〜7月31日)のビットコイン(BTC)対円相場は33,043円(1.07%)高の3,112,710円と4週続伸。対ドルでは週足終値が、7週間ぶりに200週移動平均線を回復した。

シカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物の取引開始と共に先週のBTC相場は310万円周辺から下げ足を速めると、NYで破産申請をした暗号資産(仮想通貨)レンディングのボイジャーが、FTXからの救済案を拒否したことも嫌気され300万円割れを試した。その後も米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え警戒ムードが広がると、相場は300万円を割り込んだが、21,000ドル水準となる290万円周辺でなんとか下げ止まった。

FOMCでは、市場の予想通り75ベーシスポイント(bp)の政策金利引き上げが決定されたことに加え、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長から政策金利がFRBの考える中立水準のレンジに入ったとの発言もあり、9月FOMCからの利上げ幅縮小が想起され、BTCは290万円中盤から310万円周辺まで一段高を演じた。翌日には米第二・四半期の国内総生産(GDP)が-0.9%と2期連続のマイナス成長となり、一時はリスクオフムードが広がったが、これによりFRBが積極的な利上げを控えるとの見方も広がり米株が続伸すると、BTCも連れ高になり320万円を回復した。

週末に差し掛かると、6月の米個人消費支出(PCE)と雇用コスト指数が上昇したものの、景気後退懸念がインフレ懸念を上回ったせいか米国債利回りが低下した。また、物価上昇が続く中で名目金利が低下したことで、実質金利は29日に急低下し、5年物は6月9日ぶりにマイナス圏に沈み、金利を産まないリスクアセットには追い風になった。

週末に入ると、Ripple社が公開した第二・四半期レポートで、同社がNFT領域進出を計画していることや、米証券取引委員会(SEC)との裁判に決着をつけることにコミットすると改めて表明されたことが好感され、XRP相場が上昇。BTCもこれに連れ高となり24,000ドル水準となる320万円を一時は上抜けるも、すかさず戻り売りが入り上に往って来いを演じた。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がCNBCとのインタビューで、「景気後退しているか否かとは別にFRBにはやるべき事がある」と、インフレ抑制を強調した事で、BTCは不安定な値動きの末反落に転じ、311万円まで押した。

第1図:BTC対円チャート 1分足 出所:bitbank.ccより作成

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本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。