広瀬すずと松坂桃李がW主演を務める映画『流浪の月』(5月13日公開)の場面写真が3日、公開された。
同作は凪良ゆうによる、本屋大賞受賞のベストセラー小説の映画化作。雨の夕方の公園で、びしょ濡れの9歳の家内更紗(広瀬)に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文(松坂)。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2カ月を過ごすことになるが、やがて文が更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後、「傷物にされた被害女児」とその「加害者」という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。
今回公開されたのは“誘拐事件の元被害女児”・更紗(広瀬すず)の現在の恋人・亮(横浜流星)を捉えた場面写真。更紗の横で微笑む幸せそうな表情、そしてそれとは対照的に病みやつれた表情の2枚から、亮と更紗の関係の変化が読み取れる。
亮は特殊な過去を抱える更紗を守ろうとするがゆえにきつく束縛し、やがてその強すぎる愛情が支配、そして暴力へと変わっていく激しさと脆さをあわせ持つ強烈なキャラクター。これまでの横浜の硬派で正統、そして紳士的なパブリックイメージを覆す役どころとなる。横浜は原作が本屋大賞を受賞する前からファンだと公言しており、映画化権を李相日監督が取得したという噂を聞きつけると、なんとしてでもその世界観の一部になりたいと行動を起こし、直接監督に会って未決定だった亮役のオファーを受けたという。
オファーを受けて改めて原作を読み返したという横浜は「亮目線で読むとまた違う見方ができた」と振り返り、「文目線で読んでいた時は『この男、なんなんだよ』と思っていましたが、亮目線で読むと亮にも悲しい過去があり、だからこそ更紗を精一杯に愛して守り抜きたいと思っている、共感できる人間らしい部分がありました」とキャラクターを受け止めたという。最後には「僕自身が誰よりも亮を愛した」と語った。
ところが、自身を“人見知り”だという広瀬と“甘えることが苦手”だという横浜の初共演、しかも結婚を目前にした恋人どうしという設定には、準備段階から高いハードルがあったという。クランクイン前のリハーサルで、いつまでも打ち解けない2人に「李監督から『形は出来ているけど中身が見えない。まずは広瀬すずと横浜流星として2人の距離感を縮めた方がいいんじゃないか』という指摘があり、2人きりで話し合う時間を持ちました。クランクイン直前にロケ地の松本で2人で街巡りをして、蕎麦を食べたりゲームセンターに行ったりと、普通の人同士が過ごすような日常を体験し、自然と亮と更紗になっていけたような気がします」と役作りの裏側を披露。
さらに前半から後半にかけて感情も風貌も驚くほどに変化していく亮の撮影が、可能な限り劇中の時系列通りに撮影を進めていく“順撮り”(予算やスケジュールの都合でなかなか成立が難しいとされる)で行われたとも明かし、「順撮りで撮影したことで役の感情が作りやすく、贅沢な現場だと思いました。監督は役者を第一に考えてくれる人だと感じました。すごく幸せな環境の中でお芝居ができて感謝しています」と李組での撮影を振り返った。
(C) 2022「流浪の月」製作委員会