パワー&容量が圧倒的だけどイカツい! ポータブル電源「ZENDURE SuperBase Pro 2000」レビュー

by bgame

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近年のキャンプブームと共に、ポータブル電源の人気が急上昇しています。同時に、古くからのガチなキャンパーのなかには、ポータブル電源は邪道だという方もいます。

燃料は落ちた枯れ枝。火起こしもライターやマッチは使わずフェロセリウムやマグネシウムのファイヤースターター。サバイバル寄りのキャンプのプロセスを楽しむには、言わんとすることもわからなくはありません。

しかし2021年にはTVコマーシャルで製品をアピールするメーカーがでてきたくらい、ポータブル電源はマスに向けてのアピール合戦が活発化しています。キャズムを超えたといっても過言ではありません。

事実、ポータブル電源があると便利なシチュエーションが多い。火が使えない場所でもお湯が沸かせるし調理もできる。寒い場所なら電気毛布も使える。気軽にアウトドアというレジャーを楽しみたい人にとって、ハードルを下げてくれる便利なアイテムです。

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屋内で使うための家電をアウトドアで活用可能

今回レビュー用にお借りしたZENDURE SuperBase Pro 2000は、そんなポータブル電源のなかでもハイエンド級のモデルとなります。バッテリー容量は2096Wh。一般的なスマートフォンであれば200回は充電できます。出力値も極めて高い。定格出力2000Wで瞬間出力は4000W。さらに3000Wを必要とする機器も動かせるAmpUpモードも備えています。

これは電子レンジの700Wモード(定格消費電力1500W前後)でも軽々と動かせることを意味しています。ほかにもドライヤー(定格消費電力1200W)や炊飯器(定格消費電力1300W前後)もカバー。消費電力が高いと言われているオイルヒーター(定格消費電力~1500Wのものが多い)でも問題ありません。テント内で薪ストーブを使うと温かいけど様々な注意点がある。しかし電気暖房器具なら一酸化炭素が発生しないので、寝ている間でも使えます。布団乾燥機(定格消費電力~600W)も便利ですよ。雪や雨で濡れた靴や靴下を乾かすのに最高です。

AC100V駆動の電動工具や、ストリートライブの照明、PAスピーカーなどにも使えますが、ケーブルの長さによって使用範囲が狭まりますし、2022年の現在バッテリー駆動の製品が選び放題となっており、あえてポータブル電源ありきの運用をするとは考えにくい。しかしドローンのバッテリー充電など、消費電力が大きいのに交換用バッテリーの価格が高いデバイスを運用するときに使うと考えると、高い価値を示してくれそうです。

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出力ポートの数にも余裕があります。100W対応のUSB Type-Cが2ポート、20WのUSB Type-Cが2ポート、13VのDCポートが3ポート、AC100Vが6ポートに、シガーソケットが1ポートあります。

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AC100Vのコンセントを見ると向きが異なります。ACアダプタをつけても干渉しにくいようにという配慮なのでしょう。

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なお充電中でも外部機器への給電が可能。さらに充電中に停電しても給電を続けるため、無停電電源としての利用も可能です。

AC100V、DC(ソーラーパネル、シガーソケットなど)と、大容量なだけに充電方法も豊富です。またAC100Vとソーラーパネルを同時に使った充電にも対応します。

なおAC100Vでの充電時は日本の1500Wをフルに使うため、分配タップは使わずに壁コンセントに直でケーブルをさす必要があります。

充電用DCポートは黄色いXT60端子を用いることで600W充電に対応。ガソリン自動車のシガーソケット経由の場合は120Wとなります。

本体の充電時間はAC100V 1500Wで2時間、XT60 600Wで4時間。シガーソケットの場合は19時間もかかるため、積極的に使うことはないでしょう。

21.8kgの重量級ゆえキャリーハンドル&タイヤつき

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2096Whという大容量を誇るだけあって、ZENDURE SuperBase Pro 2000は大きく、重い。本体重量はなんと21.8kgです。そのため、運ぶのをサポートしてくれる伸縮式キャリーハンドルとホイール&タイヤが備わります。

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このため、スーツケースのように引っ張って運べます。

タイヤは硬質ウレタンゴムでしょうか。かなり硬め。トレッドは深く、砂利くらいであればしっかりと噛んでくれそう。

実際に試してみると、舗装路の移動はとても楽でした。踏み固められた未舗装道、人工芝生の上でも使ってみましたが、こちらも快適さの合格ラインを超えています。しかしスーツケースで使われていそうなホイール径のため、段差が大きな未舗装道では使いにくいと思われます。アウトドア用のキャリーワゴンを使ったことがある人はわかるはず。ホイールサイズの大きさと悪路走破性は密接な関係があるんですよね。

アウトドアで使うのであれば、整備されたキャンプ場向きといえます。

アメリカンサイズな大きさと容量を使いこなせるか

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僕は普段バイクでソロキャンプをしているため、個人的に所有しているポータブル電源は240Wh・3.1kgの小型機です。「リアルな火を見てこそキャンプだ」という思いもあり、起きている間に暖をとる・調理をするのは焚き火や炭火まかせ。ゆえにポータブル電源は電気毛布が4~5時間温まってくれるくらいの容量であればいいや、とコイツを選びました。

そんな僕からすると、ZENDURE SuperBase Pro 2000は6000cc級のアメ車のような印象を受けます。どこまでも続くまっすぐな道を走るなら最高に気持ちをよくしてくれるモビリティですが、いざ日本の都市部に入ると大柄なボディを持て余してしまう。そんなマッスルカーのイメージです。

また近年は自動車をテントサイトまで乗り入れられるオートキャンプ場を中心に、AC100Vのコンセントが備わるところが増えてきました。僕が知る限りは1000Wまたは1500Wまでと制限されているので、ZENDURE SuperBase Pro 2000の常時2000W出力にはかないませんが、電子レンジや大きめの電気暖房器具を持ち込まなければまず大丈夫。

そしてキャリーハンドルがついているとはいえ、大きく重い点も気になります。マンションの自室から駐車場に持っていき、車に載せ、キャンプ場で降ろして帰宅時に載せ、また自宅まで持っていくことを考えると、余裕のある大容量というメリットを差し引いてもモチベーションが下がるサイズです。

ただ生活環境によってはうまく運用できる方もいるでしょう。一軒家の庭に車を置いているなど、自宅から駐車場までの段差が少ない家庭や、自分の愛車の荷室が低床であれば出し入れ時のストレスは大幅に低減するはず。また車中泊用として車内に据え置くのであれば、大容量バッテリーの良さばかりが輝いて見えます。もしくは万が一の災害時に備えて普段は自宅に置きっぱなしという方にとってもメリットがあるモデルです。

決して、万人におすすめできるポータブル電源ではありません。しかし自分のライフスタイルとマッチすると思えたならば、1晩くらいじゃ使い切れないほどの大電力を持つZENDURE SuperBase Pro 2000は選ぶ価値ありますよ。

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