アプリ『ウマ娘』で感じた、プレーヤーに伝染する作り手の愛情|ゲームレビュー2021

by bgame

Engadgetでは年末年始にかけて、おすすめのガジェットやサービスを紹介するベストバイ2021企画を展開しています。以降から、2021年に反響の多かった花森リドさんのレビュー記事を再掲してお届けします。

Cygamesのスマートフォン向けゲーム『ウマ娘 プリティダービー(以下、ウマ娘)』を毎日遊んでいます。起床してスマホを手にしたら即『ウマ娘』を起動してしまうので、日経電子版を読む時間が激減しました。電車の中でもタクシーの中でもひたすら『ウマ娘』で育成。朝晩のルーチンが崩壊しつつあります。スマホのゲームはこれだから困っちゃう。

が、リリース当初はこのゲームのことを「私はターゲット外」だと思ってスルーしていました。競馬でしょ? 萌え系の擬人化でしょ? なんか優勝したら歌って踊るんでしょ? どれも苦手じゃないけどスーパー大好きでもなかったからです。

競馬に関しては年に一度、東京シティ競馬のトゥインクルに行くくらい。パドックで「ツヤツヤで歩き方がかわいい」と思った馬を何頭か見つけて、馬券を三連複で買い、当たったり外れたりしたのが唯一の思い出です。

美少女キャラクターに関しては門外漢ですし、アイドルもそんなに詳しくないです。『アイドルマスター』の星井美希ちゃんが昔から好きで、最近はアイドルグループ『GEMS COMPANY』を応援しています(とくに同郷の奈日抽ねねちゃん。丸顔でかわいい)。でも熱心なファンになったことはなく、ライブに足を運んでサイリウムとかを振ったことはりません。

つまり、どの要素も「ユルく好き」くらいだったのに………。

『ウマ娘』では可処分時間をありったけ費やし、ミホノブルボン欲しさに有償の10連ガチャを2回引き(手に入らず)、URAファイナルズで悲願の初優勝を果たしたあとはウイニングライブを真顔で見つめました。信じらんねー!

なんでそんなになっちゃったんでしょう? 無課金勢にも優しくて、課金しないと身動き取れないゲームでもないのに、毎日有償ガチャを引くべきか悩んでしまう。ユルユル勢をも本気にさせる魅力をお伝えします。

最初は「そりゃかわいいけど……」と思った

まずは ゴールドシップという女の子から育成してみることに。

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私は人の話をあまり聞かないので、謎発言を連発する彼女なら楽しいかなと思って、選びました。今もお気に入り

どんなゲームでも「遊びながらなんとなくルールを覚える。チュートリアルの文字は読まない(忘れるから)」が私の基本プレイスタイルです。『ウマ娘』は、とりあえず「真ん中に配置されている一番大きなボタンや、めっちゃ光っているボタン」を押していけば、ゲームが進行します。スマホゲー初心者にもわかりやすい。

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チュートリアル担当の緑のお姉さんのたづなさんに導かれるがままプレイ

決められたターン(手数)の中で、ウマ娘のコンディションを気にしつつトレーニングを施し、目標とするレースに出場させ、勝つことが超基本的なゲームの流れです。

それと並行して、ウマ娘ごとにストーリーを視聴します(ばっさりスキップして報酬だけ受け取ることも可能)。で、どのウマ娘も、めっちゃ動いて表情豊かに話すんです。

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ゆらゆらゆれるウマ娘の尻尾は、きちんとお手入れされているんですね。耳の位置も徹底してる。世界観の描写がとても丁寧

かわいい。かわいいんだけども、かわいすぎて、私はどう付き合えばいいかわからない。お嬢さんたちの可憐さでお腹いっぱいよ……最初はそう思っていました。

レースが熱い。とくに「G1レース」はみんな勝負服で出てくる

『ウマ娘』がアプリゲームとしてめちゃくちゃ秀でていることはわかります。操作でストレスを感じないし、キャラクターの描写も丁寧。「Cygames!」っていう起動時のサウンドロゴを色んなウマ娘が言ってくれなど芸が細かく、ロードも早い。それでも私はターゲット外なんじゃなかろうか、と思っていました。

ところが、プレイ開始から数時間後にガラっとイメージが変わりました。育成のコツがわかってきて、自分の担当ウマ娘がG1レースに出場できるようになりました。まず、めっちゃ派手なG1レースの演出に度肝抜かれました!

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まず、レース開幕時のロゴが別格。そして出走するウマ娘たちも体操着じゃなくてドレスを着ています。勝負服でオシャレして出てくる大事な舞台なんですね

最初は負けまくって道半ばで育成が終了していたのに、いざ自分の担当ウマ娘がG1の晴れ舞台で一位を狙えるくらい成長すると、実況も真面目に観戦するように。

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本当の競馬の実況のようで毎回楽しい

ゴールの少し前からウマ娘の順位が表示されなくなるのは実際の競馬と同じですね。まさかスマホに向かって「まくれ〜〜〜〜!」と叫ぶことになろうとは。

やがて、育成が有利になる「サポートカード」のレアリティや相性を考えたり、少しずつ戦略を立てるようになります。「先行」や「差し」といった競馬用語も覚えました。

競馬もアイドルも好きになってきた

節目のレースのあとはド派手なウイニングライブが始まります。一位の子がセンターです。宝塚歌劇団ばりの序列。ずーっと舞台袖でちょこちょこ踊っていた担当ウマ娘がセンターになったときの高揚感といったら!

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推しがセンターになったときにファンが涙する理由ってこれか! と知りました。ありがとうサイレンススズカ!

そして、競走馬の名前をたくさん覚えました。スペシャルウィーク、ライスシャワー、ハルウララ、ミホノブルボン、マチカネフクキタル、エルコンドルパサー……みんな個性があってかわいい。

最初は「このゲームよくできてるなあ」と他人事のように眺めていたディテールの細かさが、今やかわいすぎてしょうがない。刺さる。作り手の愛情って伝染するんですね。

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汗を拭いながらがんばって走るハルウララ。瞳の中の桜模様がかわいい。彼女はゲームの中では優勝できるんです。あと、負けたウマ娘が少しションボリしているのもかわいい

競馬ユルユル勢の私には、特定の推しの競走馬はいません。だから『ウマ娘』でもとりあえず全員育てたい。ウマ娘ごとの特性を活かすべく育成し、レースの作戦を練り、どの子のことも「立派に育っておくれ」と応援しています。これはこれで幸せ。

ガチ勢もユルユル勢もていねいに拾って楽しませてくれるゲームです。世界が広がりました。今年の年末は有馬記念の馬券を買います!

アプリ「ウマ娘」プレイレポ。アニメ未見・競馬も知らない僕でも5時間ぶっ通しでハマった

© Cygames, Inc.

関連リンク:ウマ娘 プリティーダービー

   

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