ambieは、装着性を改良しマルチポイント接続や急速充電にも対応したイヤカフ型の完全ワイヤレスイヤホン「AM-TW02」を、10月17日に発売する。価格は17,000円。さらに3度目となるBEAMSコラボモデル「AM-TW02BXC」も18,000円で発売する。
ソニーからスピンアウトしたジョイントベンチャー・ambieによる、耳をふさがず“ながら聴き”できるイヤカフ型完全ワイヤレスイヤホン「sound earcuffs」の新機種。いずれも初回生産分の予約受付を9月27日にスタートしている。
耳たぶに挟み、アクセサリー感覚で身につけられる基本デザインはそのままに、2021年から販売している前世代の「AM-TW01」から装着性や使い勝手を強化した。
カラーバリエーションはこれまでの白黒に新色2色を加えた4色展開で、カラー名はGreen×Indigo、Flamingo×Beige、White×White、Black×Blackとなる。
BEAMSとのコラボモデル「ambie × bPr BEAMS」は、2017年にブランド初のコラボで注目を集めたというクレイジーカラーをオマージュ。イヤホン本体はブルーで、ケース外観に黄色とグレー、差し色の赤を交えたポップなカラーリングとなっていて、カラー名は「BEAMS Exclusive」と名付けられている。
従来のAM-TW01と新機種のAM-TW02はイヤホン形状が共通なので、01用に展開してきた着せ替えカバー「ambie socks」を02でも利用可能。20色の中から選んで、自分だけのカラーアレンジが楽しめる。
AM-TW02の主な進化点は以下の通り。
- 耳を挟むブリッジ部分を軟質素材と形状記憶ワイヤーに変更し、片手でも装着しやすいように改良
- PCとスマートフォンなど2台の機器に同時接続できる、マルチポイント接続に対応
- 5分の充電で1時間音楽を聴ける急速充電に対応、充電端子の接点部分も改良
Bluetooth周りも変更しており、新たにマルチポイント接続に対応。内蔵のMEMSマイクを使い、Web会議などビジネスユースでも活用できる。Bluetooth 5.3準拠で、対応コーデックはSBC、AACとなった(01はBluetooth 5.2準拠で、aptXとaptX Adaptiveもサポートしていた)。
なお、AM-TW01で採用していた、ソニーの音響技術を活用した独自のドライバーユニットや音響構造は継承しており、変更はない。IPX5相当の防水対応も共通(ケースはIPX4相当)。
充電ケースについては、前世代よりもケース側の内蔵バッテリーを増量しており、ケース込みの再生時間が最大24時間にアップしている(01は最大18時間)。イヤホン単体の再生時間は約6時間で従来と同じ。
ambieは、耳たぶにはさんで使うタイプの有線/無線イヤホンを2017年から投入しており、2021年には前世代の「AM-TW01」を発売。本体の見た目をガラッと変えられる、豊富なカラーバリエーションの着せ替えソックスとともに展開してきた。
9月26日に都内で開催した製品発表会の中で、ambieの代表取締役である三原良太氏は、「人と音楽の関係が昔と大きく変わっていて、今は音楽ストリーミングサービスとスマートフォンが普及している。我々は(音楽ストリーミングサービスの)プレイリストに注目していて、“ハッピーにリラックス”、“バーベキューやパーティー”みたいなカタチで、ユーザーがなりたい気持ちであったり、ユースケースをもとに音楽を選ぶ聴き方が主流だ」としたうえで、『ユーザーが自分の生活自体をコンテンツとして楽しむ』、『(生活の)BGMとして音楽を楽しむ』という風にトレンドが変化していると考えていて、周囲の音も聞こえるが自分だけ音楽を楽しめる新しいデバイスとしてsound earcuffsを提案したい」と話した。
新機種のAM-TW02は装着性や使い勝手だけでなく、装着したときの色合いにもこだわっている。製品発表会には、ソニーグループの100%子会社・ソニーデザインコンサルティングから犬飼裕美氏が参加し、製品の外装やカラーリング、パッケージデザインまでさまざま手がけたことをアピールした。
「ファッションに合わせやすい、採り入れやすい素材や定番の色というものがある。そういったカラーを充電ケースに使うと、どんなイヤホンであっても(ユーザーごとに)その人らしさが生まれるんじゃないか」(犬飼氏)というアイデアをもとに、AM-TW02では従来の白黒に加えて“スポーティーな世界観”、“ゴールド系のアクセサリー”に合わせやすいというGreen×Indigoや、女性だけでなく男性のヨガウェアやランウェアにも組み合わせやすいというFlamingo×Beigeを新たにカラバリに追加。
またイヤホン本体の色合いについても「(イヤホンを装着したときに)顔色が明るくパッと華やかに見えるような色」(同氏)を意識して選んだとのこと。他にも細かい話だが、充電ケースのアール(曲面)のつけ方やマットな表面塗装など、従来の01とは異なる仕上げをめざしたと話していた。
このように、AM-TW02は“ライフスタイルに寄り添う”デザインに仕上げること、「身につけていることを忘れるようなプロダクト」であることをあえて指向して作られたことがうかがえる。オーディオ製品やガジェットが好きな人だけでなく、そういったものに詳しくない向きも含めて、より幅広い層をターゲットにしていくのだろう。
音を聴き、使い勝手を試す
発表会会場では、AM-TW02のサンプル機を発売に先がけて試すこともできたので、短時間ながら試用したインプレッションを最後にお届けしたい。
筆者は前世代のAM-TW01の実機に触れていないので、装着性の進化については評価できないのだが、“片手でサクッと装着できる”というAM-TW02のアピールポイントについては、確かにその通りつけやすいと感じた。
同様にイヤカフ型デザインを採用したファーウェイの完全ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeClip」を常用しており、こちらはブリッジ部分が細いのでAM-TW02よりもっと簡単に耳たぶに挟めるのがいいところ。ただソックスを付け替えてカラーリングを変えられる点はAM-TW02ならではのユニークなポイントで、AM-TW02もこのためにデザインをあえて01と共通化していると思われるので、単純に比較するのは難しい。
ちなみに今回試用したカラーはGreen×Indigoなのだが、AM-TW02の配色と普段使っているiPhoneの色合い(ブルーチタニウムの本体×アビス・グリーンのカバー)が偶然にも近しい雰囲気となり、Green×Indigoのカラーリングがすっかり気に入ってしまった。着せ替えソックスは着脱にコツがいるが、慣れればさほど難しくはない。
サウンドもチェック。音の数がそれほど多くない、ボーカルメインの楽曲やリラクゼーションミュージックなどに合いやすく、ポッドキャストやオーディオブックの“ながら聞き”にもうってつけといえそうだ。宇多田ヒカルのアルバム「Fantome」から『道』を選んで聞きながら帰路につくと、南青山の雑踏に彼女の声がスッとなじんで街そのもののBGMのように鳴り出し、「おお、いいじゃん」と感嘆の声が思わず口をついて出た。
音量に関しては、耳にちょうどよい半分くらいの音量であれば、雑踏の中ではほぼ音漏れを感じられないレベルだ。iPhoneで使う場合、「ヘッドフォンの安全性」に関する設定のなかにある「大きな音量を低減」がオンになっていれば、音量マックスでも耳を痛める心配はなさそう。
Androidスマホ(試用したのはPixel 6)では、音量マックスまで上げると音楽のビートやボーカルがだいぶ聞きとれてしまうくらい音漏れしていた。最大音量を抑える設定になっていないデバイスで使う場合は、自分の耳や周囲に気を配りたい。
なお、今回試用したAM-TW02のサンプル機は特定の高音域がわずかにかすれるほか、低音域があまり耳に届かないという耳穴をふさがないイヤホン特有の問題もあり、音楽をじっくり聴きたい向きには向かないと感じた。従来機種で使えたaptX系のコーデックも省かれているので、動画再生時の音声と口の動きのズレが目立って気になってしまう可能性もある。音楽ストリーミングサービスを使うのであれば、音質劣化を避けるためにも、あらかじめ聴きたい楽曲を端末側にダウンロードしておく……といった策を取る必要があるかもしれない。
いずれにしても、これからambieイヤホンを手に入れる人は「あくまで“ながら聞きのためのデバイス”である」と割り切って付き合っていくと幸せになれるだろう。