シャープのプラズマクラスター冷蔵庫には多くの特徴がありますが、そのひとつは比較的スリムな本体。2021年にリリースした冷蔵庫、400Lクラスの一部で奥行き63cmという業界トップクラスの薄型を実現しています。

今年(2024年)からは、この奥行き63cmの大型冷蔵庫を「Fit63シリーズ」と名付け、2月22日から新モデルを順次発売します。容量545LのSJ-MF55M、505LのSJ-MF51M、457LのSJ-MF46M、429LのSJ-MF43M、457LのSJ-MW46Mです。新モデルは細かな使い勝手が向上しているほか、最大30%の節電ができるというAI機能や太陽光発電システムとの連携機能など、「節電」を意識した機能を搭載しました。

  • Fit63シリーズの最上位モデル「SJ-MF55M」、推定市場価格は410,000円前後。奥行きがスリムなので、カウンターにあわせて冷蔵庫を配置できています。4月11日の発売予定

薄型だから見やすくて取り出しやすい

Fit63シリーズには5つのモデルがありますが、容量457LのSJ-MW46M以外はピラーレスのフレンチドアタイプ。SJ-MW46Mのみ、左右どちらからでもドアを開閉できる「どっちもドア」タイプです。

  • 容量505LのSJ-MF51Mと、マイナビニュース +Digitalの林編集長。SJ-MF51Mの推定市場価格は390,000円前後、3月14日発売予定

  • 左から、SJ-MF43M(340,000円前後)、どっちもドアタイプのSJ-MW46M(350,000円前後)、SJ-MF46M(350,000円前後)

シャープが展開していた容量500L以上の冷蔵庫は、2023年モデルまでは基本的に奥行きが70cm以上ありました(ハンドル含む)。今回の新モデルは、545LのSJ-MF55Mも505LのSJ-MF51Mも、奥行きが63cmに抑えられています。

よくある奥行き65cmタイプのシステムキッチン横に設置する場合、冷蔵庫が前方に飛び出ないので見た目がスッキリ。しかも、奥行きを浅くすることによって、冷蔵庫中の奥にある食材に手が届きやすいというメリットも生まれます。ただしそのぶん、容量545LのSJ-MF55Mは幅が73cmとちょっと幅広ですが、505LのSJ-MF51Mは68.5cm、それ以外は65cmと、そこまで幅を取らない設計です。

  • 63cmの奥行きはこのくらい。500L以上とは思えないくらいスリムです

  • 奥行きが浅いぶん、庫内の一番奥にある食材もサッと手に取れます。また、食材同士の重なり(奥行き方向)も少なくなり、見逃して消費期限切れになってしまうことも減りそう

  • 手前は新モデルのSJ-MF55M、奥にあるのが奥行きが74.5cmある従来モデルのSJ-GX55D。いずれも容量550L前後ですが、奥行きにかなりの違いがあります

省エネ冷蔵庫がますますパワーアップ

シャープの高機能冷蔵庫は、もともと25項目の省エネ技術「節電25」による省エネ性能にも定評があります。冷蔵庫に外出検知センサーや外気温センサーなどを搭載し、これらを駆使することによって、冷蔵庫の使用状況を自動で判断して賢く省エネ運転する機能です。

加えて今回の新モデルでは、冷蔵庫を無線LANにつなげてさらに効率的な省エネ運転をする「つないでもっと節電」機能を搭載しました。この機能では、冷蔵庫のドア開閉時間といった使われ方をクラウド上のAIが学習して、家庭や家族の生活パターンにあわせたタイミングで霜取り運転などを行います。シャープによると、従来の「節電25」と新しい「つないでもっと節電」をあわせることで、標準運転と比べて最大約30%の節電ができるそうです。

  • クラウド上のAIが冷蔵庫の使用状況を学習して、省エネ運転を行う「つないでもっと節電」。冷蔵庫を使っていない時間帯に除霜運転(霜取り運転)を行うことで節電します。除霜運転は冷蔵庫内でヒーターを使うため、冷蔵庫が動くなかで一番多く電力を消費します。たとえば時間帯によって電力料金が変わる契約の家庭では、自分で除霜運転の時間を指定することも可能です

  • どれくらい省エネ運転できたかをレポートする機能。節電量を「見える化」することで、家族みんなの節電意識が変わるかもしれませんね

もうひとつの新しい省エネ機能「Life Eee コネクト」は、冷蔵庫としては初となる住宅用太陽光発電システムとの連携機能です。冷蔵庫を太陽高発電システムと連携させることで、発電した電気が余る時間を狙って、電力を必要とする除霜運転を実行します。

それ以外にも、停電時には自動的に「省電力モード」にシフト。太陽光発電や蓄電池システムの電力を使って、できるだけ長く冷蔵庫を運転できるように庫内温度を通常より少し高めに設定します。

ただしLife Eee コネクトは、太陽光発電システムを導入しており、かつ、シャープのクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」が必要。現時点では、実際にLife Eee コネクトが利用できる家庭は多くないかもしれません。Life Eee コネクトに対応する家電や住宅設備は、今後も拡充していく予定としているので期待しましょう。

  • 太陽光による発電をムダにしないタイミングで冷蔵庫を除霜運転。余剰電力定額買取期間が終わった家庭にはうれしい機能です

シャープならではのネイチャーテクノロジーにも新しい要素

シャープの家電は、自然が持つ機能に着目して開発された「ネイチャーテクノロジー」を採り入れています。たとえばフレンチドアタイプの冷蔵庫だと、扉の合わせ目部分に「ホタテの凹凸」を模したギザギザをデザイン。これにより密閉度を高めて、外部から熱がたくさん入らないようにしつつ、庫内の冷気も逃がしにくくなります。

  • フレンチドアの合わせ目にあるギザギザのデザイン。言われてみればホタテっぽい……かも?

  • 庫内LEDには、白クマの毛の仕組みを応用したという、LEDの光を広く拡散する構造を採用。庫内隅まで明るく照らせるんだとか

今回の新モデルでは、上位に当たるSJ-MF55MとSJ-MF51Mにて、「稲の葉」を応用した新ネイチャーテクノロジーを搭載

稲の葉には、葉先に向かって狭くなる葉脈があります。これにより葉についた汚れが雨水で簡単に落ちるんだとか。そこでSJ-MF55M・SJ-MF51Mは、野菜室と冷凍庫のケース底面に稲の葉を応用した凹凸を再現。汚れを拭き取りやすく、ゴミを集めやすい構造にしています。

  • SJ-MF55Mの野菜庫底面

  • 従来モデルの野菜室底面(写真左)と、稲の葉を模した野菜室底面(写真右)。右は上から下に向かって凹面が狭くなっていることがわかりますね

ネイチャーテクノロジー以外でも、SJ-MF55M・SJ-MF51Mは冷凍庫の収納に「タテ置き名人」を採用しました。左右で深さが異なるケースによって、さまざまな冷凍食品を効率的に収納できます。一方、新モデルでもSJ-MF46M・SJ-MF43M・457Lの冷凍庫は、これまでと同じ冷凍ケースを縦横自由に仕切れる「4切り名人」です。

  • 左右で深さが違う新冷凍ケース「タテ置き名人」。左が深く、右は浅めのケースです

【動画】シャープのプラズマクラスター冷蔵庫「Fit63シリーズ」、冷凍ケースの違い

今回の新モデル群、個人的に注目したのは省エネ機能の強化です。冷蔵庫は365日24時間ずっと稼働する家電ということで、家庭内で2番目に消費電力が多いともいわれています(トップはエアコン)。そんな冷蔵庫を、クラウドにつなげて最大約30%も節電できるというのはとても魅力的。

業界初(シャープ調べ)となる太陽光発電との連携機能も見逃せません。太陽光発電との連携はシャープのクラウドHEMSサービスが必要となるため、正直この機能を利用できる家庭は多くないでしょう。しかし、住宅用太陽光発電を導入する住宅が年々増加していることを考えると、こういった太陽光発電システムと連携する家電は今後も増えるはずです。