カメラ業界で昨今存在感を増しているのが、中国を拠点とするメーカーによるいわゆる“中華”ブランドの交換レンズ。コスパの高さを武器にしており、ファンも少なくない。ただ、中華ブランドのレンズはマニュアルフォーカス(MF)専用のタイプが多く、マニアックな存在だった。
ところが、今回会場を回ってみると、オートフォーカス(AF)対応品を出品しているブランドが一気に増えていることに気がついた。ここでは、中華ブランドで目立ったレンズをレポートしたい。
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コスパの高さと独自性で人気“中華レンズ”、CP+2024ではひと皮むけた印象の魅力的な製品が多数見受けられた
LAOWAが超広角10mmのAFレンズをリリース
サイトロンジャパンのブースでは、LAOWAブランドで初めてとなるAFレンズ「10mm F2.8 ZERO-D FF」を展示。4月19日に15万円程度で発売する。
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ブースにもノボリを出してこのレンズを訴求していた
ソニーEマウントとニコンZマウント用のフルサイズ対応超広角レンズとなる。MFになるが、同スペックでキヤノンRFマウントとLマウント用も同じ値段で発売する。
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デザインも現代的なイメージだ
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写真はEマウントのもの
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いわゆる出目金レンズではないので、フィルターが装着可能
10mmはかなりの広角レンズだが、これはLAOWAが10周年を迎えたことにちなんだ焦点距離。ZERO-Dシリーズのため、超広角ながら歪みを抑えた描写が期待できる。最短撮影距離が120mmと短いため、ワイドな画角を生かしたマクロ撮影も可能。
サイトロンジャパンのブースにはMFレンズになるが、KamLanブランドも展示があった。このブランドは本記事で唯一、中国ではなく台湾メーカーとなる。
「KL 70mm F1.1」は、キヤノンEF-M、富士フイルムX、ソニーE、マイクロフォーサーズに対応するAPS-C用レンズ。価格は44,000円前後で、発売済み。
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大口径レンズらしくずっしりした重さだ
フルサイズ対応レンズとしては「KL 55mm F1.4」が展示されていた。これも発売済みで、34,000円前後と買いやすい価格となっている。ソニーE、キヤノンRF、ニコンZに対応する。
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フルサイズ用ということで、EOS RPで試せるようになっていた
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KamLanはAPS-C用レンズを中心にラインナップしているが、どれも明るめなのが特徴だ
SIRUIはコンパクトな大口径AFレンズをアピール
SIRUI JAPANブースでも、ブランド初となるAFレンズを展示していた。SIRUIといえば三脚で知られるが、シネマレンズにも注力していた。その流れで今回、写真向けのAFレンズ3種類をリリースすることとなった。
いずれもAPS-C用で、「23mm F1.2」「33mm F1.2」「56mm F1.2」をラインナップする。発売は3月1日で、価格はいずれも5万円程度の予定だ。ソニーE、富士フイルムX、ニコンZの各マウントに対応する。
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3つの焦点距離を用意する。それぞれ3色展開
F1.2と大口径だがどれも400g前後と重すぎず、コンパクトな印象を受けた。各レンズとも3色展開というのも珍しく、シルバーやホワイトといった色を選べるのも面白そうだ。
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ブラックカラー。ブルーのリングは各色共通している
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こちらはシルバー。33mmは標準域になる
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ホワイトも綺麗。56mmは中望遠なのでポートレートにも良さそうだ
中華AFレンズの雄にも大注目
安価なカメラアクセサリーで知られるYONGNUO。以前からAFレンズを手がけており、中華ブランドの中でもAFレンズのラインナップはピカイチだ。
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レンズのほかにも、ストロボやLEDライトなどのアクセサリーが並んでいた
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多くのAF対応レンズを揃えている
どれも発売済みのものだが、担当者に売れ筋を聞いてみた。
フルサイズでは「YN50mm F1.8S DF DSM」と「YN85mm F1.8S DF DSM」が人気だそう。どちらもソニーEマウント用で、いずれも4万円台後半。同スペックでZマウント用もある。フルサイズ対応ながら軽量なのもYONGNUOレンズの特徴となっている。
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YN50mm F1.8S DF DSM
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YN85mm F1.8S DF DSM
APS-C用では、Eマウントの「YN11mm F1.8S DA DSM WL」という超広角レンズが売れているそう。フォーカスなどをコントロールできるリモコンに対応しているのも売りになっている。
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YN11mm F1.8S DA DSM WL
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無線のリモコン
ニコンZ用の85mm AFレンズが登場
E&Iのブースでは、ECサイト「2ndfocus」で扱う中国ブランドのレンズを多数揃えていた。
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自分のカメラでレンズを試す人を多く見かけた
なかでも、AstrHoriのAFレンズ「AF 85mm F1.8」は、これまでEマウントがリリースされていたが、Zマウント用が近日発売ということで注目されているそうだ。価格は58,000円前後となる。
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フィルター径は72mmなので、それなりの大きさはある
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前玉は大口径レンズらしい迫力がある
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マウント部
そのほかMFレンズも展示があった。ほとんどがMマウントで、ライカレンズを復刻したり昔のレンズの雰囲気が楽しめる作りになっているとのことだ。Mマウントレンズは、マウントアダプターを使えば多くのミラーレスカメラでも使用できる。
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Thypochの「SIMERA 35mm F1.4 ASPH.」(Mマウント)。被写界深度を表す赤いドットが表示される珍しい機構が入っている。16万円前後
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POLARの「Solaron 35mm F2.0」(7枚玉、Mマウント)。ライカレンズを細部まで復刻したというレンズ。149,000円前後
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MR.DINGの「Noxlux 50mm F1.1 DG II」(Mマウント)。オールドライカレンズに着想を得て、独自の味付けをしたレンズ。87,000円前後
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同じくMR.DINGの「35mm F1.8」(7枚玉、Mマウント)。価格は未定
50年代の写りで映画撮影!?
RAIDのブースにもThypochのMFレンズが展示されていた。「EUREKA 50mm F2」(Mマウント)で、3月中旬に13万円ほどでの発売を予定している。
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RAIDはシネマカメラを始め、プロ向け映像アイテムを扱っている
1950年代のレンズをリバイバルしたという沈胴式のレンズ。ピント面はシャープながらオールドレンズのようなボケになるとのこと。なお沈胴については、カメラの機種によっては行えない場合もあるとのこと。
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見た目もレトロだ
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沈胴したところ
RAIDはシネマカメラのREDなどを扱っており、それらと組み合わせて動画撮影に使うことを提案していた。
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マウントアダプターを介してREDのシネマカメラに装着したところ
武石修
たけいしおさむ
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