カメラ業界で昨今存在感を増しているのが、中国を拠点とするメーカーによるいわゆる“中華”ブランドの交換レンズ。コスパの高さを武器にしており、ファンも少なくない。ただ、中華ブランドのレンズはマニュアルフォーカス(MF)専用のタイプが多く、マニアックな存在だった。
ところが、今回会場を回ってみると、オートフォーカス(AF)対応品を出品しているブランドが一気に増えていることに気がついた。ここでは、中華ブランドで目立ったレンズをレポートしたい。
LAOWAが超広角10mmのAFレンズをリリース
サイトロンジャパンのブースでは、LAOWAブランドで初めてとなるAFレンズ「10mm F2.8 ZERO-D FF」を展示。4月19日に15万円程度で発売する。
ソニーEマウントとニコンZマウント用のフルサイズ対応超広角レンズとなる。MFになるが、同スペックでキヤノンRFマウントとLマウント用も同じ値段で発売する。
10mmはかなりの広角レンズだが、これはLAOWAが10周年を迎えたことにちなんだ焦点距離。ZERO-Dシリーズのため、超広角ながら歪みを抑えた描写が期待できる。最短撮影距離が120mmと短いため、ワイドな画角を生かしたマクロ撮影も可能。
サイトロンジャパンのブースにはMFレンズになるが、KamLanブランドも展示があった。このブランドは本記事で唯一、中国ではなく台湾メーカーとなる。
「KL 70mm F1.1」は、キヤノンEF-M、富士フイルムX、ソニーE、マイクロフォーサーズに対応するAPS-C用レンズ。価格は44,000円前後で、発売済み。
フルサイズ対応レンズとしては「KL 55mm F1.4」が展示されていた。これも発売済みで、34,000円前後と買いやすい価格となっている。ソニーE、キヤノンRF、ニコンZに対応する。
SIRUIはコンパクトな大口径AFレンズをアピール
SIRUI JAPANブースでも、ブランド初となるAFレンズを展示していた。SIRUIといえば三脚で知られるが、シネマレンズにも注力していた。その流れで今回、写真向けのAFレンズ3種類をリリースすることとなった。
いずれもAPS-C用で、「23mm F1.2」「33mm F1.2」「56mm F1.2」をラインナップする。発売は3月1日で、価格はいずれも5万円程度の予定だ。ソニーE、富士フイルムX、ニコンZの各マウントに対応する。
F1.2と大口径だがどれも400g前後と重すぎず、コンパクトな印象を受けた。各レンズとも3色展開というのも珍しく、シルバーやホワイトといった色を選べるのも面白そうだ。
中華AFレンズの雄にも大注目
安価なカメラアクセサリーで知られるYONGNUO。以前からAFレンズを手がけており、中華ブランドの中でもAFレンズのラインナップはピカイチだ。
どれも発売済みのものだが、担当者に売れ筋を聞いてみた。
フルサイズでは「YN50mm F1.8S DF DSM」と「YN85mm F1.8S DF DSM」が人気だそう。どちらもソニーEマウント用で、いずれも4万円台後半。同スペックでZマウント用もある。フルサイズ対応ながら軽量なのもYONGNUOレンズの特徴となっている。
APS-C用では、Eマウントの「YN11mm F1.8S DA DSM WL」という超広角レンズが売れているそう。フォーカスなどをコントロールできるリモコンに対応しているのも売りになっている。
ニコンZ用の85mm AFレンズが登場
E&Iのブースでは、ECサイト「2ndfocus」で扱う中国ブランドのレンズを多数揃えていた。
なかでも、AstrHoriのAFレンズ「AF 85mm F1.8」は、これまでEマウントがリリースされていたが、Zマウント用が近日発売ということで注目されているそうだ。価格は58,000円前後となる。
そのほかMFレンズも展示があった。ほとんどがMマウントで、ライカレンズを復刻したり昔のレンズの雰囲気が楽しめる作りになっているとのことだ。Mマウントレンズは、マウントアダプターを使えば多くのミラーレスカメラでも使用できる。
50年代の写りで映画撮影!?
RAIDのブースにもThypochのMFレンズが展示されていた。「EUREKA 50mm F2」(Mマウント)で、3月中旬に13万円ほどでの発売を予定している。
1950年代のレンズをリバイバルしたという沈胴式のレンズ。ピント面はシャープながらオールドレンズのようなボケになるとのこと。なお沈胴については、カメラの機種によっては行えない場合もあるとのこと。
RAIDはシネマカメラのREDなどを扱っており、それらと組み合わせて動画撮影に使うことを提案していた。
武石修
たけいしおさむ
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