カシオ計算機は毎年11月に行われるゴルフトーナメント「カシオワールドオープン」を主催しています。コースは高知県の黒潮カントリークラブで、2023年11月の第42回大会は鍋谷太一プロの優勝で幕を閉じました。

黒潮カントリークラブの一角にはカシオも大きめのブースを構え、企業としての環境保全への取り組みを発信したり、オリジナルゴルフグッズのチャリティ販売を行ったりしています。カシオの主力製品である時計を例に挙げると、原料から製造、廃棄というライフサイクルが循環型に近づくように、各工程でさまざまな工夫を凝らしています。

  • カシオワールドオープン(黒潮カントリークラブ)のカシオブースから。切り盛りしていたのは、カシオ計算機 コーポレートコミュニケーション本部 サステナビリティ推進室 室長の五十嵐和典氏

まず原材料として、植物由来のバイオマスプラスチックや、ペットボトルを再利用した材料などの使用比率が年々高まっています。これらは資源の節約とCO2(二酸化炭素)削減につながる施策です。

製造段階では、必要な電力の約3割を太陽光発電に置き換えたり(2023年時点)、製品設計と組み立てラインの改善を進めて、短時間の組み立て(消費電力削減)とパーツを極力使い切ったりする仕組みを構築しています。パッケージには再生紙と再生プラスチックを積極的に使い、リサイクルしやすいベジタブルインクも一部導入済みです。また、基幹輸送にはトラックよりもCO2排出が少ないとされる鉄道を利用しています。この辺りは「ちりつも(塵も積もれば山となる)」の世界です。

  • カシオの時計でバイオマスプラスチックを最初に採用したのは、アウトドアウオッチ「PRO TREK」です。いまではG-SHOCK(一部)にも広がっています

  • バイオマスプラスチックとは、植物など自然界の生物資源を由来としたプラスチックのこと。時計のプラスチック部分に100%使われているわけではありませんが、カシオは各種機関と連携を図り、データの取得や検証を進めています

  • バイオマスプラスチックを含む時計のパーツ

  • リサイクル素材をふんだんに使った時計のパッケージ

  • カシオコレクションのパッケージ。かつてのパッケージから、プラスチック部分を大幅に減らしています

  • 工場では製造に必要な電力は太陽光発電の割合を高め、少ないパーツ設計と短時間での組み立てを推進

  • パッケージにはリサイクル素材、輸送には鉄道を利用することによって、資源の節約とCO2削減

ユーザーから好評なのは、古いG-SHOCKのレストアサービス(完全にオリジナル状態に戻るものではありません)、好きなパーツを組み合わせて作る「MY G-SHOCK」。これらは製品寿命を延ばす、つまり廃棄物を減らす取り組みです。

  • 製品寿命を延ばす取り組み。お気に入りの1本を長く使えれば、廃棄物も減ります。いずれは廃棄物となるかもしれませんが、それをどれだけ再生へと循環させられるかどうか、カシオの時計に限らず産業全体としての課題でもあります

  • 市販品にはないカラフルなG-SHOCKをデザインして購入できる「MY G-SHOCK」(写真左)と、レストア済みの初代FROGMAN(写真右)。FROGMANはG-SHOCKで唯一のダイバーズウオッチで人気も高いだけに、初代モデルのユーザーにとってレストアサービスはうれしい! ただし、レストアサービスは期間限定(不定期)で募集が行われ、対象モデルも変わります

そのほか、ペットボトルキャップ回収活動にも力を入れています。カシオワールドオープン(黒潮カントリークラブ)では多くのキャップが集まり、社内でも日々持ち寄る社員が増えているそうです。ペットボトルキャップを1,000個集めると、何らかのワクチンを1本分、開発途上国の子どもたちへ提供できます。1,000個で1本は大変に思えますが、意外とすぐに集まるものです(そしてけっこう重たい)。

  • カシオワールドオープン(黒潮カントリークラブ)に訪れたギャラリーからも、かなりのペットボトルキャップが集まっていました

  • 1,000個のペットボトルキャップ

石川遼プロによるカシオの電子辞書「EX-word(エクスワード)」寄贈式

カシオワールドオープンでは、石川遼プロによるカシオの電子辞書「EX-word(エクスワード)」寄贈式も恒例になっています。これはCASIO所属の石川プロが「バーディチャレンジ」として2018年から取り組んでいるもの。石川プロが出場した国内ツアーで記録したバーディの数と同じ台数のEX-word(小学生モデル、XD-SK2800)を、石川プロ自身が購入して全国の小学生に贈ります。

2022年シーズンに石川プロが記録したバーディは291個で、計291台のEX-wordが高知県などの小学生に贈られました。今回の寄贈式には、高知県南国市の小学校に通う6年生が出席し、石川プロから目録が手渡されました。

  • 寄贈式の代表として訪れた高知県南国市立十市小学校の6年生

「僕はものすごく勉強をがんばったほうではないので、みんなに『勉強がんばって』とはなかなか言えないんですけど(笑)、カシオの電子辞書が少しでも勉強の役に立ったらいいなと思います。みんなそれぞれやりたいことがあると思うので、知りたいことを調べるときにも使ってもらえたら」(石川遼プロ)

  • 毎シーズンのバーディチャレンジが励みになっていると語る石川遼プロ

  • 寄贈式の後は即興のサイン会。全員に笑顔でサインする石川遼プロ、さすがだなぁ。さらにそのあとも、会場で待っていた多くのギャラリーのサインに応じていました

  • ギャラリー向けのアトラクションから。テニスボールにG-SHOCKを巻き、プラスチックのゴルフクラブで思いっきり引っぱたきます

  • ナイスショット!?

  • 引っぱたかれてもタフなG-SHOCKは壊れません。ちゃんと時を刻んでいます

  • 会場で販売されていたG-SHOCKの石川遼シグネチャーモデル

  • カシオワールドオープンでは会場限定のG-SHOCKも多数。写真は小祝さくらプロのサインプリントモデル

  • こちらは「カシオワールドオープン」ロゴプリントモデル