「龍が如く」シリーズのナンバリング最新作『龍が如く8』が2024年1月26日に発売予定だ。今作は、『龍が如く7 光と闇の行方(龍が如く7)』の主人公だった元極道「春日一番」と、かつて“堂島の龍”として名を馳せた元極道で『龍が如く6 命の詩。(龍が如く6)』までのシリーズ主人公を務めた「桐生一馬」によるダブル主人公のドラマティックRPG。前作でメインだった「横浜・伊勢佐木異人町」に加え、シリーズ初の海外ステージ「ハワイ」が舞台として登場する。
今回、発売に先駆けて、同作を先行プレイできた。時間は90分。東京ゲームショウなどの試遊時間と比べると、結構ガッツリ遊べるだろう。
用意されていたセーブデータは6つ。1つ目はクリア後のコンテンツを自由にプレイできる「プレミアムアドベンチャー」、2つ目は桐生のサイドストーリーコンテンツ「エンディングノート」、3つ目はさまざまなジョブを体験できる「ハワイのアクティビティ」、4つ目は「巨大サメバトル」、5つ目は「巨大イカバトル」、6つ目は春日のサイドコンテンツ「ドンドコ島イベント」だ。
時間内であれば、好きなセーブデータを選んで自由に遊んでいい。途中でロードしてもOKだ。うーん、どれも捨てがたいし、気になる。みなさんなら、どのセーブで試遊をスタートするだろうか?
試遊を始める前は「90分もあるし、けっこう満足いくまで遊べるんじゃないか」なんて思っていたが、結果として、体験できたのは用意されていたコンテンツのごく一部だった。各セーブデータが、全体のさらにごく一部であることを考えると、壮大なゲームボリュームが垣間見られたとも言える。むしろ、参加メディアがみな同じ内容を遊ぶより、それぞれ異なる体験をするほうが、記事のバリエーションが増えて、読者は楽しめるのかもしれない。なお、紹介する各コンテンツの導入について、若干のネタバレが含まれるので、ご注意を。
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2024年1月26日に発売予定の『龍が如く8』を先行プレイ。プラットフォームは、PlayStation 5(PS5)、PlayStation 4(PS4)、Xbox Series X|S、Xbox One、Windows、PC(Steam)
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今作は「春日一番」と「桐生一馬」が主人公のRPGだ
桐生の心残りを解消する「エンディングノート」が超気になる
葛藤のすえ、筆者が最初に選んだセーブデータは、桐生のサイドストーリーコンテンツ「エンディングノート」だ。
『龍が如く6』までの歴代シリーズと前作のスピンオフ『龍が如く7外伝 名を消した男(7外伝)』の主人公として活躍した桐生。『龍が如く6』のラストで、裏社会で暗躍した「昭和のフィクサー」大道寺稔の秘密を守るため、桐生がもっとも大切にしている児童養護施設「アサガオ」の子どもたちを守るため、自らの死を偽装した。そして、大道寺一派のエージェントになった桐生は、大仕事を終えたのちに、休暇でハワイに向かう。
『7外伝』に収録されている『龍が如く8』の体験版でも、ゲームの序盤として、桐生と春日がハワイで出会うシーンが描かれている。そのため、ハワイを中心に2人の物語が展開されると思っていたが、このセーブデータでは横浜の伊勢佐木異人町からスタートした。ハワイで何があったのかはわからないものの、どうやら桐生は日本へ帰国していたようだ。パーティメンバーには、前作『龍が如く7』で登場した「難波悠」と「ソンヒ」がいる。
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試遊スタート! 場所は異人町のようだ。風呂のようなものが見えるが、桐生はここに住んでいるのだろうか
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階段を降りた瞬間、チンピラに絡まれる一行。さすが異人町。そして、これぞ「龍が如く」
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前作と同様、エンカウントすると、敵の姿が変化して見える。前作では春日のみに見えていた設定だが、今作では桐生も同様に見えるらしい。この説明が出るということは、「桐生編」はここからスタートするのだろうか
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今作のバトルはターン制の「ライブコマンドRPGバトル」。一定の範囲内であれば自由に位置取りを決めてから行動できる。試遊では、直線や円形などの範囲攻撃、敵の背後から当てると確実に会心攻撃になる技などを確認できた。自分を中心に範囲内の仲間を回復する技もあったので、どこに動くのかはけっこう重要になりそう
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前作でパーティメンバーに入らなかったコミジュル総帥のソンヒ。今作ではメンバーとしてバトルにも参加する
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攻撃後にほかのキャラクターが追加で攻撃する「追撃」要素も用意
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チャリをぶん回すソンヒ。今作では、主人公以外のメンバーも、近くにあるものを使って攻撃できる
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いろいろな技を試していたら……、いつのまにか超ピンチ
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なお、街を歩いているとメンバーとの会話が発生することがある
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仲間との会話を記録し、ビンゴのようにそろえる「絆ビンゴ」も用意されている
桐生は、今作で自身が癌を患っていることを明かしており、仲間たちはそんな桐生の容態を気にかける。そして、バッティングセンターでリフレッシュした桐生を見て、元看護師の難波が提案したのが、エンディングノートだった。
難波の狙いは、桐生に思いっきりやりたいことを楽しんでもらい、「生きる」喜びを感じてもらうこと。療養を拒む桐生を思い直させるための手段として、このエンディングノートはスタートした。
まずはこれまでの人生を振り返りつつ、「心残り」や「やってみたかったこと」をエンディングノートに書き出し、「残りの時間をどう使うか」を考えてみたらどうか。そう言われて桐生は、「カラオケで熱唱」「寿司吟で玉子を腹いっぱい」「若者に流行りのスイーツ? ってやつを食べてみたい」など、書き出していく。
エンディングノートは、そんな桐生の心残りを「未練ミッション」としてリストアップ。項目は「人に10回話しかける」「飲食店で5回食事をする」「すしざんまいのメニューを制覇する」「リンガーハットのメニューを制覇する」などさまざまで、ゲームの“実績解除”のような印象だ。
クリアしていくと、桐生の「覚醒度(心・技・体)」が高まり、ジョブ「堂島の龍」の各スタイルと状態異常耐性が強化されるという。また、異人町や神室町には「追憶スポット」が点在し、そこで桐生が思い出を振り返ることでも覚醒度が上昇するようになっている。
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試遊スタート時のメインミッションは「バッティングセンターに行く」だった。難波とソンヒが桐生に異人町を案内する流れのようだ
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エンディングノートに、自分のやりたいことを書き出すよう提案する難波
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提案を受け、エンディングノートを書き出す桐生。「寿司吟で玉子を腹いっぱい」食べたいなど、桐生の意外な一面も
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エンディングノートには、桐生のやり残した「未練ミッション」が書かれている。飲食メニュー制覇系が多い
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また、異人町や神室町を探索して過去を思い出す「追憶ダイアリー」も
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エンディングノートを進めると、桐生の覚醒度が高まる
2023年12月に公開されたエンディングノートのトレーラーでは、歴代シリーズに登場する伊達真や秋山駿といったキャラクターが映し出されていた。きっとこの先には胸アツなエモいストーリーが待っているに違いない――。そんな考えからコントローラーを強く握りしめたところで、すでに40分以上経過していることに気づく。
しまった。目的地に行く途中、野良のチンピラとバトルし、興味本位でいろいろな極技を試していたら、思いのほか敵が強くて2回全滅していたんだった。もう残り時間が半分ちょっとしかない。
まさに「ここから本格的にエンディングノートが始まる」という超いいタイミングだったが、続きをやりたい気持ちをグッと抑えて、ほかのセーブデータをプレイすることに決めた。
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うーん、エンディングドラマが超気になる
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エンディングノートを一緒にやるメンバーとして難波が選んだのは「向田紗栄子」だ。パーティが4人になっていよいよ本格的にエピソードが始まるかと思ったら、そろそろお時間です
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この会話も超気になる
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イベントを進めていくと伊達さんと再開
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桐生は死を偽装しているため、一部の人間を除いて生きていることを知られてはならない
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胸アツ展開間違いなし
2023年12月に公開された『龍が如く8』のエンディングノートトレーラー。桐生に縁のあるキャラクターがバンバン出てきそうだ
ここまでやるかドンドコ島! もはや別ゲームとして成立しそう
2つ目に選んだセーブデータは「ドンドコ島」。事前に公開されたトレーラーでは、ガチャピンとムックが島のマスコットキャラクターとして登場することが判明して話題になった。
『龍が如く8』で春日は、生き別れの母「茜」を訪ねてハワイに向かう。しかし、自宅や勤務先などを当たるも本人は見つからず、手がかりすらない状態。そこで、春日の動画をネットにアップロードして、息子が訪ねてきていることをアピールする作戦に出る。さっそく、ビーチで撮影に取り掛かろう。このセーブデータは、そんなシーンからスタートした。
メンバーは、春日のほかに、桐生と、今作から登場する「エリック・トミザワ」「不二宮千歳」。桐生がこの時点でまだハワイにいることから、おそらく時系列的には、エンディングノートを書き始める前の段階なのだろう。
そんなことを考えながらムービーを見ていると、春日が浜辺で1匹の亀を助ける。すると、背後に突然ガチャピンが現れた。腰を抜かす春日。終いには気を失ってしまい、ガチャピンに介抱される始末である。そして、春日が目を覚ますと、そこは朽ち果てたリゾート島「ドンドコ島」だった。
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今回のセーブデータは、ホテルの一室での作戦会議からスタート
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春日の母「茜」を探すために動画を撮影することに
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撮影が一段落したときに出会った1匹の亀
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突如現れたガチャピン
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腰を抜かす春日
ドンドコ島は、かつて一大リゾート・アイランドだったものの、悪徳ごみ処理業者「グリーンパイレーツ」がゴミの不法投棄を始めたことで、観光客だけでなく島民までいなくなってしまった場所。春日は、そんな島の状況を見て、再興の支援を申し出る。ここでの目標は、ドンドコ島を5つ星リゾートにすることだ。島にある素材からDIYしたオブジェクトを設置して、人気と充実度を高めていく。
さっそく、再興を目指してあちこち歩き回ってみたところ、のんびりと南国島ライフを楽しめるようなゲーム性を感じた。だが、とにかく、やることが……、やることが多い……!! 地道にゴミを叩いて島をキレイにし、木や岩を叩いて素材を手に入れる。そして集めた素材でDIY。思い思いの家具を設置すれば、自分だけのドンドコ島をクリエイトできるだろう。DIYのレシピも豊富で、どれを作ろうか、作ったらどこに置こうかと考えるだけでも楽しい。
島では、キノコや魚、虫などの名産品も収集可能。再興が進めば、キャバクラやコンビニといった施設も作れるそうで、理想の島を作るためにやりこめば、ドンドコ島だけで数十時間は軽く吹っ飛ぶこと間違いなしだ。
その証拠に、今回も気がついたらうっかり40分以上使ってしまった。黙々と素材を集めをしていると、つい時間を忘れてしまう。しかし、作れた家具はちゃぶ台や座布団、置物など数点のみ。納得いく島を完成させるにはいったいどれほどの時間がかかるのか。とんでもないコンテンツのボリュームにただただ驚かされる。ゲーム性は本編とまったく異なるし、DLCとして販売してもいいレベルではないだろうか。
また、いろいろと作業していると、ゲーム内でも時間が経過し、家で寝ると日にちが進むようになっている。なんだか“少年時代の夏休み”のような雰囲気があり、毎朝「今日は何しようか」とワクワクできた。
なお、島が盛り上がり、観光客が訪れるようになると、いわゆる“金策”としても有効だそう。前作で言うところの「会社経営」の立ち位置のようだ。
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ゴミの不法投棄でお客さんや島民がいなくなってしまった「ドンドコ島」
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バットでゴミを叩くと……、あら不思議。キレイに片付くだけでなく、資源を回収することもできる
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木や岩を叩くと、木材や石材といった資源を回収できる
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ときには悪徳業者「グリーンパイレーツ」と戦うことも
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集めた資源でいざDIY!
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作った家具や置物は、ゴミを片付けて整地したエリアに設置可能
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自分の家にも設置可能
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ドンドコ島のメニュー。これだけでも十分楽しめるだろう
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そのへんにいる蝶や虫は虫取り網で捕獲できる。魚は銛を投げて捕まえる。ドンドコ赤虫はちょっと気持ち悪い
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序盤からDIYで作れるものが多くて驚いた
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いろいろと探索していたら夜になった
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寝て、朝になると、ドンドコ島での1日が始まる。さて、今日は何をしようか。ドンドコしようぜー!
最後は駆け込みで巨大サメとバトル!
残された試遊時間はわずか。いまからガッツリ探索するタイプのコンテンツを遊んでもすぐにタイムアップだろう。そこで選んだのが「巨大サメバトル」だ。
用意されているセーブデータをロードすると、そこには何やら意を決して船に乗り込む春日たち。エリック・トミザワ、不二宮千歳、足立宏一、ハン・ジュンギが真剣な表情で立っている。雰囲気はラストダンジョンに乗り込む勇者一行のよう。具体的なストーリーはわからないが、敵対組織の潜伏する島に向かっているような状況だった。
船に乗り込んだら、春日が突然「(相手は)島の場所が最悪漏れても構わねえ算段なんじゃねえか?」と、“番人”の存在を想起させるようなフラグ発言をする。そして、案の定、風雲急を告げるを船内。不穏な揺れのあと、船外を見ると、月明かりに照らされた水面から突き出た背びれがどんどん近づいてくるではないか。
そして、何度も船にタックルしたのち、甲板に登ってくる巨大サメ。さあ、バトルのスタートだ。前作ではクレーン車や巨大掃除ロボットと戦った記憶があるが、今作ではハワイらしく海のギャングが相手。鋭い牙や口から滴る赤い血が恐怖を煽る。
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真剣な表情のメンバー。どこかに乗り込むらしい
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船で少し進むと……、巨大サメが襲ってきた!
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ビジュアルが恐ろしい
メンバーのレベルが50なので、技のバリエーションをいろいろと試せるかもしれないと思ったが、今回はさすがに負けるわけにはいかない。いや、まあ、なんとなくバトルの雰囲気を記事で伝えられれば負けてもいいのだが、相手がボスとなると、試遊でも力が入る。
相手がデカいので、トミザワの「タクシー送迎の極み」などは使えない。そして弱点はおそらく雷だろうから、積極的に属性技を仕掛けていく。今回のようなボス戦では、あまり位置取りを気にしても仕方なさそうだったので、範囲回復の対象になるよう、中央にかたまり、技を連発した。
巨大サメの全体攻撃や、「熱気」「出血」「ビビリ」などの状態異常付与が強力だったが、トミザワの「バッテリースパーク」でフィニッシュ。ギリギリ時間内に巨大サメを倒すことに成功した。
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全体攻撃のメガシャークアタック! 激しい水しぶきが飛び、味方は大ダメージを受ける
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自分と周辺のHPを回復する「ウェルカムドリンク」にかなり助けられた。財閥令嬢のジョブ技だろうか
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トミザワの「バッテリースパーク」。相変わらずシュールな技が多くて、見ていて飽きない
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時間ギリギリでなんとか倒した!
さて、試遊の時間はこれでおしまい。思っていたよりも90分は短く、各コンテンツの冒頭部分しかプレイできなかったが、『龍が如く8』がいかにボリューム満点かは十分に伝わった。
今回はプレイできなかったが、ほかにも「マッチングアプリ」「スジモンバトル」「クレイジーデリバリー」といった多くのプレイスポットが用意されている。また、前作からさらにパワーアップした「ジョブシステム」に、冒険を盛り上げるパーティメンバーとの関わり、そして、何と言ってもメインストーリーと、気になることばかりだ。筆者としても、さまざまな要素をちょっとだけプレイしているだけの“おあずけ状態”なので、正直はやく家でじっくりプレイしたくてたまらない。