2024年1月1日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の地震が発生しました。気象庁によると1日以降、活発な地震活動が続いており、執筆時点でも予断を許さない状況が続いています。
こうした状況を受け、年明けから家電メーカーや周辺機器を取り扱う各社が、被害を受けた製品に対する特別修理対応を実施しています。いずれも内閣府が指定する「災害救助法」の適用地区に住んでいる個人を対象としていることが多く、2024年1月4日時点では新潟県、富山県、石川県、福井県の4県あわせて35市11町1村が対象となっています。
メーカーごとに対応内容は異なりますが、通常は災害により生じた故障・損傷は保証期間にかかわらず有料修理となるところ、修理可能な状態であれば特別価格で修理を受けられる場合があります。具体的な対応内容や実施期間など、詳細は各社のWebサイトやX(旧Twitter)アカウントの告知等をご確認ください。
各社の令和6年能登半島地震を受けた特別修理対応は以下の通り。参考情報として、震源に近いエリアに拠点を置くメーカーの発表情報なども掲載します(随時更新予定)。
メーカー名(順不同)
- ソニー
- TVS REGZA
- シャープ
- LGエレクトロニクス・ジャパン
- エレコム
- バッファロー
- EIZO
- アイ・オー・データ機器
- PFU
- キヤノンマーケティングジャパン
- ニコン / ニコンイメージングジャパン
- カシオ
- パナソニック
ソニー
ソニーは、令和6年能登半島地震により被災した民生用ソニー製品について、2024年4月30日まで特別修理料金で対応すると発表しました。
- 対象製品:個人ユーザーが所有し、被害を受けた民生用ソニー製品
- 対象者:災害救助法適用市町村在住の個人ユーザー
- 対応内容:
- 修理技術料(定額修理料金を含む)、液晶パネル・有機ELパネル部品代半額
液晶パネル・有機ELパネル以外の部品代・送料・出張料は通常料金
- 修理技術料(定額修理料金を含む)、液晶パネル・有機ELパネル部品代半額
なおソニーグループでは、この地震による被災者への支援活動のため、緊急支援金として合計4,000万円の寄付を実施することも発表。ソニーグループから1,500万円、ソニー生命保険から1,000万円の義援金を日本赤十字社に対して寄付するほか、ソニーグループとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが共同で運営する「子どものための災害時緊急・復興ファンド」から1,500万円を拠出し、セーブ・ザ・チルドレンによる支援活動に活用するとのこと。
TVS REGZA
TVS REGZAは、東芝およびTVS REGZAがこれまでに製造した映像製品について、2024年4月30日依頼分までの特別修理対応を発表しています。
- 対象製品:東芝/TVS REGZA映像製品(テレビ、BD/DVDレコーダー、BD/DVDプレーヤー、チューナー、サウンドバー)
- 対象者:災害救助法適用市町村在住の個人ユーザー
- 対応内容:
- 見積り診断:見積り診断料、および、見積り診断にかかる出張費は無料
- 地震に伴う被災品の修理料金(ユーザー請求)
- 技術料:半額
- 出張費:有料修理料金表に準ずる
- 部品費:実費 ※液晶パネル・有機ELパネル部品については半額
シャープ
シャープは、災害救助法が適用されている地域の家庭で使用していて被害を受けた同社製品について、2024年3月31日まで特別料金での修理対応を実施しています(企業で使用されている製品を除く)。オーディオビジュアル商品と生活家電では問い合わせ先が異なり、詳細は同社告知ページを参照のこと。
- 対象製品:令和6年能登半島地震により被災した修理可能な一般家電製品
- 対象者:災害救助法適用市町村在住の個人ユーザー
- 対応内容:特別料金にて修理対応
LGエレクトロニクス・ジャパン
LGエレクトロニクス・ジャパンは、災害救助法適用市町村在住の個人ユーザーが所有している同社の家電製品について、2024年3月31日まで特別修理対応を実施しています。詳細は同社カスタマーセンターまで電話やLINE、メールにて問い合わせる必要があるとのこと。
- 対象製品:個人ユーザーが所有し被害を受けた同社家電製品
- 対象者:災害救助法適用市町村在住の個人ユーザー
- 対応内容:要問い合わせ
エレコム
エレコムは、被害を受けた同社グループの商品について、修理可能な状態であれば保証期間に関わらず、2024年6月末日まで特別価格での点検・修理を実施しています。
- 対象製品:
- NAS(エレコム製)
- HDD(エレコム/ロジテック/Lacie/SEAGATE製)
- 無線LANルーター(エレコム製)
- スイッチングハブ(エレコム製)
- 光学ドライブ(ロジテック製)
※いずれもデータは対象外
- 対象者:災害救助法適用市町村在住のユーザー
- 対応内容:保証期間に関わらず、被災により故障した商品の修理工賃を無料とする
(部品代はユーザー負担)
バッファロー
バッファローは、今回の令和6年能登半島地震を含めて、自然災害等で被災によって正常動作しなくなった同社商品について、無償修理などの対応を実施しています。令和6年能登半島地震に関する修理対応の受付期限は2024年7月末まで。
- 対象製品:被災した修理可能なバッファロー商品
- 対象者:災害救助法適用市町村在住のユーザー
- 対応内容:保証期間に関わらず、無償で修理・点検を実施
修理不可能な場合、または被災により商品が破損・紛失等で送付が困難な場合、ユーザー登録済みのユーザーについては新しい商品と交換
販売終了品の場合、その商品に相当する現行商品へ交換
あわせて、バッファローとアドバンスデザインでは、災害救助法が適用された地域在住の個人ユーザーを対象に、データ復旧サービスを無償で提供することも発表。診断、見積り費用についても無料としていて、データ復旧サービスについてはバッファロー商品以外でも対応するとのこと。詳細はバッファローのWebサイトを参照のこと。
EIZO
EIZOは、今回の令和6年能登半島地震を含めて、自然災害等で被害を受けた個人または法人のユーザーが利用するEIZO製品の無償点検を実施しています。令和6年能登半島地震に関する対応期間は2024年7月31日まで。
- 対象製品:EIZO製品
- 対象者:災害救助法適用市町村在住の個人ユーザー
- 対応内容:
- 送り返された製品の点検:点検作業費無償
- 上記の結果、部品交換で修理可能なものの修理:交換部品代のみの負担
- 上記の結果、修理不可能にて新品買替えを希望する場合:特別価格にて新品を提供
なお、EIZOは1月4日のニュースリリースで、EIZO本社・工場(石川県白山市)および、グループ会社のEIZOエムエス 羽咋工場・七尾工場(石川県羽咋市・七尾市)における影響を発表しています(PDF)。
それによると、同社ではすべての従業員の安否を確認していて人的被害がないこと、EIZO本社・工場が受けた被害は軽微で1月4日から予定通り稼働していること、EIZOエムエス 羽咋工場・七尾工場については建物や生産設備に一部破損等の被害が確認されたことが明らかになっています。
同社がすでに保有している完成品在庫については、物流の状況を確認しながら出荷を進めていくとのこと。なお、七尾工場は震源地に近いことから、生産活動再開までに一定の時間を要する見込みで、羽咋工場の生産再開時期についても確認中としています。
アイ・オー・データ機器
アイ・オー・データ機器は1月3日のニュースリリースで、「令和6年能登半島地震により、本社および物流拠点である石川県からの商品配送に大幅な乱れが発生している」と発表しています。
同社の本社社屋は石川県にあり、今回の地震で一部被害を受けているとのこと。「人命を最優先としながらも、サポート、修理、開発部門等の本社にて従事の各種業務の正常化にむけ復旧対応を進めている」とし、配送や業務の正常化に時間がかかることを謝罪しています。なお執筆時点(1月5日11時)において、令和6年能登半島地震に関する修理対応ページは確認できませんでした。
PFU
キーボード製品「Happy Hacking Keyboard」やスキャナー製品「ScanSnap」などで知られるPFUは、1月4日のニュースリリースで、石川県かほく市にあるPFU本社、およびグループ会社のPFUテクノワイズへの影響について発表しています。
PFU本社の建屋に大きな被害はないものの、余震の継続的な発生や社員の状況を鑑みて、1月5日まで休業。他地域においては通常営業を行うとしています。PFU製品の機械部品やプリント基板ユニット製作、ケーブル加工、製品の組み立て、試験などを手がけるPFUテクノワイズについても、建屋および生産設備には大きな被害はないものの、1月5日まで休業。生産に関しては「ユーザーへの影響が出ないよう復旧と対策に取り組む」としています。なお執筆時点(1月5日11時)において、令和6年能登半島地震に関する修理対応ページは確認できませんでした。
キヤノンマーケティングジャパン
キヤノンマーケティングジャパンは、今回の地震に伴う災害にて被災したキヤノン製品について、2024年7月31日修理受付分まで特別修理料金にて対応することを発表しました。
- 対象製品:今回の地震に伴う災害にて被災したキヤノン製品
※保守契約を締結している機器についてはサービス実施店に問い合せのこと - 対象者:災害救助法適用市町村在住のユーザー
- 対応内容:保証期間の内外を問わず特別修理料金とする(送料・諸掛りはユーザー負担)
ニコン / ニコンイメージングジャパン
ニコンイメージングジャパンは、今回の災害によりニコン製品が不具合となった場合、2024年7月1日受付分まで修理料金を通常の50%に特別割引すると発表しています。
- 対象製品:デジタルカメラ、フィルムカメラ、交換レンズ、双眼鏡、フィールドスコープ、レーザー距離計、ネイチャースコープ、ルーペ、アクセサリー他
- 対象者:災害救助法適用市町村在住のユーザー
- 対応内容:通常修理料金の50%にて対応
冠水・浸水・重ショックなどがある場合は別途要相談
カシオ
カシオは、今回の災害で被災したカシオ製品について、2024年7月1日修理受付分まで特別料金にて修理対応することを発表しました。個人向け/法人向け製品の両方について、対応内容を同社Webサイトで公開しています。
個人向け製品
- 対象製品:時計、ラン&ウォーク プラットフォーム、Smart Outdoor Watch、電子楽器、電子辞書、電卓、電子文具、デジタル英会話学習機、デジタル知育ツール、ネイルプリンター
- 対象者:災害救助法適用市町村在住の個人ユーザー
- 対応内容:通常修理料金の50%にて対応
※電池交換料金は通常料金
※送料、代引き手数料等には割引は適用されない
法人向け製品
- 対象製品:電子レジスター、楽一、ページプリンタ、ハンディーターミナル、プロジェクター
- 対象者:災害救助法適用市町村の法人ユーザー
- 対応内容:
- 保守契約未契約および無償保証期間中のユーザー:技術料、出向料30%引き ※部品代は実費
- 保守契約中のユーザー:技術料、出向料は無料 ※部品代は実費
パナソニック
パナソニックは執筆時点で、令和6年能登半島地震に関する修理対応ページを掲載していません。ただし同社広報によると、被災した家電の特別修理対応を実施するにあたり、Webサイトでの案内を準備中としています。災害救助法適用市町村に在住するユーザーが対象で、修理適用期間は2024年4月30日までを予定しているとのこと。
同社のサポートページでは、「家電製品の防災対策」を掲載しており、地震や落雷の発生に備えてどのような対策を行うべきか、非常持ち出し袋に入れておきたい家電製品は何か、といった情報がコンパクトにまとまっていて参考になります。