ポラール・エレクトロ・ジャパンは4月14日、ランニングウォッチの新製品「Polar Pacer Pro」「Polar Pacer」を発表しました。
上位機種と同等の機能を搭載しながら、41gという軽さ、35時間の長時間バッテリーを実現しています。都内で開催されたメディア説明会では、ゲストに、“Qちゃん”の愛称で知られるオリンピック金メダリストの高橋尚子さんを迎えたトークセッション、そして製品体験会も行われました。
機能もりもりのPacer Pro
ポラールの新しいスマートウォッチはハードとソフトの両面で機能を向上しつつ、さらなる薄型・軽量化が追求されました。
まずは走力の向上につながる機能を盛り込んだ「Polar Pacer Pro」から紹介しましょう。希望小売価格は43,780円で、発売日は4月27日を予定します(オーロラグリーンのみ5月下旬発売)。
販売チャネルは、オンラインストアを含む全国のポラール製品正規取扱店です。
Pacer Proでは、主に次の機能を搭載しています。実はゲストとして登場した、2000年シドニーオリンピック 女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんも、いくつかの機能を普段から活用しているそう。その使いやすさを熱っぽく語っています(詳細は後述)。
- 心拍計測
- GPS測定
- 距離計測
- スピード計測
- ケイデンス計測
- ラップ計測
- 消費カロリー計測
- 手首での「ランニングパワー」の計測
- 自分の走力を計測できる「ランニングパフォーマンステスト」
- アップダウンを自動計測する「Hill Splitter」
- 水分・エネルギーの補給タイミングをアラートする「FuelWise」「三大栄養素別消費エネルギー」
- ルートナビをしてくれる「ルートガイダンス機能」
- 睡眠中の自律神経の計測機能
- 直近のトレーニング量と1カ月のトレーニング量を比較し、オーバートレーニングを防止する機能 など
もちろんスマホと連携して音量調整や曲変更などができる「音楽コントロール」、Eメールやメッセージの通知が受け取れる「スマート通知」なども標準搭載しています。
背面の充電部は端子に凹凸がなくなり、肌にストレスのないフラット形状となっています。またバッテリー容量も230mAhから273mAhに拡大。
Pacer ProおよびPacerでは、GPS+心拍計測で連続35時間駆動する、安心の長時間設計になっています。合わせてバッテリーチャージャーも一新されました。
このほかPacer ProおよびPacerではプロセッサー処理能力が2倍に向上し、内部メモリー容量も7倍に拡大(ともに従来モデル「Vantage M2」比)。新設計のアンテナ採用でGPS精度も向上しました。
従来モデルのVantage M2(2021年4月15日発売)と同価格帯で登場したPacer Proですが、至るところで機能がアップデートされているのが確認できます。
幅広いランナー向けのPolar Pacer
一方で、より幅広いランナーに向けて開発されたのが「Polar Pacer」です。基本機能はPacer Proと同等ですが、より使いやすさと機能のわかりやすさが重視されています。
希望小売価格は29,700円で、発売日は5月下旬を予定。オンラインストアで14日より、Pacer Proとともに予約受付を開始しました。
ポラールの榊原伸司氏は「新製品はどちらもランニングにフォーカスした商品となりました。国内ランナーの皆さんに便利に使ってもらえたら」と呼びかけました。
高橋尚子さん「現役時代にあれば……」
「Polar Pacer」発表会では、ゲストの高橋尚子さんが新製品の使用感を語りました。はじめに「最近の時計の進化に驚いているところです」と切り出した高橋さん。まずは2000年シドニーオリンピックで走っていた頃を振り返ります。
「あの頃は1kmごとに自分でストップウォッチを押してタイムを測っていました。50km走るなら50回押して、夜のうちにラップタイムを日誌に書き写さないといけなくて。いまは走行距離、速さ、心拍数、GPSとも連動して、すべてを時計が記録してくれるでしょう。特にポラールさんは心拍計測が強い。いま、どれだけ自分の身体を追い込めているか可視化できる。すると日々の練習でも自分の進化が確認できるわけで、これはすごい便利ですよね」と高橋さん。
これまで使ってきた従来モデルと比較すると、Pacer Proは軽くて薄くてフィット感が増した、画面も綺麗になってトレーニングのモチベーションにつながる、と嬉しそうに話します。
Pacer Proに搭載される手首でのランニングパワー計測については「例えば、いつも10kmを4分ペースで走る人が1週間後に同じ練習をしたとき、自分の成長がわかります。走力がついてきた、効率の良い走り方ができるようになった、というように変化を感じられるでしょう」と解説。
腕時計なのに足の出力がわかるのが不思議なところですが、と素直な疑問も口にして笑顔を見せます。
またPacer Proでは、独Komoot社のアプリと連携したルートナビゲーションを利用できるようになりました。例えば「何メートル先を左折です」のように、進路変更までの距離と曲がる方向を知らせてくれる機能です。
この機能は高橋さんもお気に入りらしく、こんな秘話を明かしました。
「試合前には必ずコースを試走するんですが、知らない土地を走るときは、クルマでついて来てくれる監督から『3つ先を右折だよ』なんて指示があるんです。でもクルマが入れない繁華街では、よく監督とはぐれて迷子になる。わたしも海外で、たくさん迷子になりました。世界陸上の前々日にも迷子になって、軽く終わるつもりが2時間半くらいジョギングしちゃったことがありました」。
トップアスリートも迷子になるというエピソードを紹介しつつ、「出張先で知らない土地を走りたくなる市民ランナーもいるでしょう。カーナビのような感覚で案内してくれるルートガイドがあると安心して走れますよ」と紹介。そしてトークセッションの終わりには「現役時代にこれがあればなぁ……」とつぶやいていました。
Pacer Proを使ってウォーキング体験!
発表会では、Pacer Proを装着し、高橋さんと一緒に新機能「ウォーキングテスト」を試す機会がありました。
これは日頃のウォーキング時に気軽に実施できるテスト。有酸素能力を測るフィットネスレベル、心拍機能、最大酸素摂取量の推移を確認できます。
ちなみに会場となった東京・江東区の夢の島競技場には陸上トラックもありますが、生憎の雨模様で使えず。急遽、通路の往復にコースを変更して実施しました。ウォーミングアップ3~5分間のあと、15分間の早足ウォーキングがスタート。高橋尚子さんの後を追い、筆者も頑張って歩きました。
高橋さんは、事前のウォーキングテストで「あなたのレベルは中です」と表示されたのがよほど悔しかったらしく、今度こそは、と張り切っていました。一方で日頃から運動不足の筆者は、10分を過ぎた頃には身体が熱くなり、足には疲労感が出てきました。
そして15分を歩き切り、5分間のクールダウンを経てウォーキングテストは終了。筆者のPacer Proには、フィットネスレベル37「普通」と出ました。
歩いた距離は1,542m、心拍数は124bpm、ペースは1kmあたり9分43秒、最大酸素摂取量(VO2max)は37とのこと。少し歩いただけで、これらの数値を計測できるのが個人的にはとても新鮮で楽しく感じました。
最後に高橋さんは「日常的には走れない人も、ウォーキングテストの結果が出ると刺激になります。モチベーションも変わってくるのではないでしょうか。Pacerシリーズを試してみて、健康と向き合うきっかけにもしてもらえたら」と話していました。
近藤謙太郎
こんどうけんたろう
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