仮想通貨取引所バイナンスは、ビジネスの合法性を巡って世界各国の規制当局からの監視に直面し続けている。

今週タイの証券取引委員会(SEC)と、ケイマン諸島通貨局(CIMA)が、バイナンスに対する取締りを発表した新たな金融規制当局となった。

タイSECの金曜日、ライセンスを取得せずにデジタル資産ビジネスを展開したとしてバイナンスを刑事告発した。タイSECは、バイナンスがウェブサイトを通じて、タイの市民や投資家にデジタル資産の取引サービスを提供していたと指摘。発表によれば、タイSECはバイナンスに4月5日付けで書面による回答を求める警告書を出したが、バイナンスは指摘された期間内に回答を提出しなかった。

タイでは法律に基づいてライセンスを取得した事業者のみが、デジタル資産関連のサービスを提供することが許可されており、「違反者は法律に基づく罰則が科される可能性がある」とタイSECは述べている。

タイSECの発表の前日には、ケイマン諸島のCIMAがバイナンスに関する通知を発表している。その中でCIMAは、バイナンスがケイマン諸島の規制監督の対象ではないと強調している。

バイナンスやバイナンスグループ、バイナンスホールディングなどの法人が、ケイマン諸島内で「仮想通貨取引所を運営するための登録、ライセンス供与、規制、もしくはその他の方法による承認を受けていない」とCIMAは指摘している。

バイナンスのスポークスマンは、同社が「常に分散型で運営されている」とコインテレグラフにコメントしている。

スポークスマンは、ケイマン諸島でバイナンスが仮想通貨取引所を運営しているという報道を否定し、「私たちはケイマン諸島の法律の下で法人化され、法律で許可された活動を行っているが、仮想通貨取引所の運営とは関係のないものである」と付け加えている。

バイナンスは、グローバルに展開する取引所だが、仮想通貨ビジネスを運営する適切な場所を見つけるのが悩みの種となっている。中国で設立されたバイナンスだが、その後の中国政府の仮想通貨禁止で拠点を海外に移すことになり、2020年以降はケイマン諸島やセイシェルなどに本社を置いているといわれていた。

バイナンスは世界中に複数の法人があることで知られており、以前はマルタに拠点を置いていると報道されていた。しかし昨年2月、マルタの金融サービス局は、バイナンスが同国内で事業を行うことを承認していないと主張していた。

世界的にバイナンスに対する規制包囲網が敷かれている。ここ最近だけでも、英国、日本、米国、カナダなどの当局が、バイナンスに対する警告を発している。

7月1日のブルームバーグのレポートによれば、バイナンス・アジアはシンガポールで事業を行うためのライセンスを申請している。現地の金融管理局は「私たちは、バイナンスに対する他の規制当局が講じた措置を認識しており、必要に応じてフォローアップする」とコメントしている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン