仮想通貨への取り組みが進む米ワイオミング州で、同国で初めて分散型自律組織(DAO)が承認された。同州では4月にDAOの法人化を正式に認める法案が承認されており、適用第1号となった。

DAOとは中央管理者が存在せずに参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる組織のことを指す。

4日の同州の発表によると、「American CryptoFed DAO」は1日にワイオミング州長官から法人格として認めるという通知を受け取ったという。

American CryptoFed DAOのCEOを務めるマリアン・オア氏は、次のように述べている。

「ワイオミング州は、米国におけるデジタル資産の代表的な管轄地域であり、今回のDAO法により、ワイオミング州は間違いなく世界でトップのブロックチェーン法域となる。これは、多くの大衆に受け入れられる真のデジタル通貨の作成が可能になったということだ」

米国の大手小売165社が参加するマーチャント・アドバイザリー・グループ(MAG)は、今回の申請を支持する意向を示した。MAGの最高経営責任者(CEO)であるジョン・ドレッチニー氏は、同グループは常に決済分野での競争を提唱してきたと述べている。

American CryptoFed DAOは、モバイルバンキングソリューションプロバイダーのmSHIFTが2021年7月1日に設立。このプロジェクトは、インフレやデフレの影響を受けない「2トークン経済」を促進することだという。この「2トークン」は「Ducat」と「Locke」の2つのトークンからなる。

Ducatは、DAOのステーブルコインであるが、手数料なしの取引を促進するためのものであるという。EOSをベースにしており、DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステイク)を用いている。

またLockeは、Ducatを安定させるためのガバナンストークンだ。4月にSEC委員のへスター・ピアース氏が発表した「Token Safe Harbor Proposal 2.0」に準拠して発行される。

ワイオミング州は近年、米国における仮想通貨規制の先進的地域となっている。州の規制当局は仮想通貨銀行であるアヴァンティを率いるケイトリン・ロング氏と協力して、仮想通貨企業向けの銀行設立免許のフレームワークを開発している。

今年4月、ワイオミング州は、DAOを有限責任会社として認める法律を法制化した全米初の州となった。