グラスノードのデータによれば、残高1,000BTC以上の「クジラ」が保有するビットコインの量が、2021年9月以来最高の水準まで増加している。

興味深いことに、ビットコイン価格が43,000ドルから38,000ドル程度に下落したにもかかわらず、クジラの数字が伸びたことだ。

Bitcoin whales holdings. Source: Glassnode

英国を拠点とするデジタル資産仲介会社グローバル・ブラックのアナリスト、マーカス・ソティリオウ氏は、2021年11月にBTC価格が史上最高値の6万9000ドルに上昇する前に、2021年9月に同様の動きがあったと指摘し、今回のクジラによるBTC保有量の急増は強気の指標であると述べている。

「クジラは市場に大きな影響を与えるため、この指標は重要なものである 」と同氏は述べています。

ビットコインのさらなる下落リスク

ビットコインの価格は、昨年11月に69,000ドルだったのが、2022年4月下旬には40,000ドル近くまで下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために積極的な利上げ策を取ろうとしていることが主な要因と考えられてる。

ビットコインの下落は米国株式市場の下落の動きと軌を一にしている。ハイテクを中心とするナスダック総合指数とビットコインとの相関は4月中旬に0.99に達している。この相関性の数値が1であれば、この2つの資産は完全に連動していることになる。

BTC/USD correlation with Nasdaq 100. Source: TradingView

Ecoinometricsのアナリストは、「この高い相関性は、ビットコインの価格を引っ張る重力場と考えるべきだ」と言う。彼は次のように付け加えている。

「FRBが株式市場をブラックホール化させるなら、ビットコインが大暴落を免れられるとは思うべきではない」

テクニカル面で注目すべきは、ビットコインが「ベアフラッグ」パターンから崩れてきており、下のチャートに示されているように、今後数ヶ月でさらに価格が下落するリスクを抱えていることだ。

BTC/USD daily price chart featuring ‘bear flag’ setup. Source: TradingView

ベアフラッグのターゲットは33,000ドル以下に位置している。

資産運用会社ガーバー・カワサキの投資アドバイザーであるブレット・シフリング氏は、3万ドルを割り込むと2万ドルまでの暴落する可能性が出てくると言う

FRBの行方が焦点

ソティリウ氏はビットコインに長期的に強気の姿勢を崩していない。同氏は、2022年第1四半期に米国の国内総生産(GDP)が1.4%減となったことで、FRBがタカ派的でなくなる可能性を指摘している。

「このようなマクロ的な逆風が続く限り、ナスダックとの相関関係は続くと思う」とソティリウ氏はコインテレグラフに語っている。

「しかし、この保ち合いが長く続けば続くほど、FRBがタカ派からハト派に軌道修正したときに、より大きな拡大が期待できる」

一方Ecoinometricsのアナリストは、次の大きな相場下落の後、ビットコインは米国株より早く回復すると考えている。

アナリストは、BTCのドローダウンの大きさと期間を、ネットフリックス、メタ、アップルなどのハイテク銘柄になぞらえて説明した。

注目すべき点は、ビットコインが毎回、ほかのハイテク銘柄よりも早く回復していることだ。

Bitcoin versus Netflix drawdown size and duration. Source: Ecoinometrics

「ビットコインは、典型的な株式投資と大差ないように見えます。だから、ボラティリティをあまり気にせず、長期的な成長の可能性に注目することだ。非対称なリターンに賭ける人は、やがて報われるだろう」とアナリストは述べている。