ロジクールがフルサイズの薄型キーボード「Signature Slim K950」(以下、K950)を発表しました。直販価格は10,890円。先行して発売している海外では同じSignatureシリーズのマウスとのセット商品になっていますが、日本ではK950のみを単体販売します。メーカーから実機を借り、短時間ながら試用する機会を得たのでご紹介します。
実際に触ると低価格帯の商品にはない重みがあり、剛性感と重量感があるため安定した打鍵ができることが好印象でした。
便利な機能を手堅く備えた薄型キーボード
K950は「複数のニーズをバランスよく備えた高機能キーボード」をうたうテンキー付きキーボード。低価格で必要最小限の機能しかない製品より、少しお金を出して自分の欲しい“+αの機能”を備えた製品を買う、でも2~3万円のハイエンド機までは手を出さない――というような、ミドルレンジ機を求める層に適した製品だといいます。
機能と価格のバランスをとった同社の“定番”シリーズともいえる「Signature」キーボードの中では、テンキーレスのメカニカルキーボード「SIGNATURE K855」(直販価格13,970円)と、メンブレンスイッチのフルサイズキーボード「SIGNATURE K650」(直販価格7,150円)のあいだに位置するK950。その特徴はざっと下記です。
- フルサイズで余裕のあるキー配置
- ショートカットキーが豊富
- 最大3台のデバイスとつなげるEasy Switch
- アルミプレート内蔵で安定感がある
- 薄型設計、スタンド搭載(最大8度)
- 接続はBluetooth/Logi Bolt
- Logi Options+でカスタマイズ可
- 電源は単4形乾電池×2・駆動は36カ月
特筆すべき新機能がある製品ではありませんが、便利な機能を手堅く備えたキーボードという印象。実は、直販2万円超えとなる同社の高機能キーボード「MX KEYS S」と、サイズ感や配列およびスイッチ構造(パンタグラフ式)がほぼ同じです(上部のショートカットキーなどに違いあり)。
MX KEYS Sと比べると、例えばキートップの凹みがなかったり、バックライトが非搭載だったり、打鍵感がやや違ったりと機能に差はあり、また金属板が前面に出ているMX KEYS Sほどの高級感はありませんが、約1万円の価格ながら全体の見た目や置いた感じは近しいものがあります。
スクリーンショットキー、音楽の再生、ミュート/ミュート解除、音量コントロールなど、F1~F12キー、テンキー上などに配置されたショートカットキーは豊富。珍しいところでは「言語の切り替え」キーも搭載されています。
個人的にはテンキーエリアの右上に配置された電卓キーや、F4キーに配置されたアプリケーション切り替えキーが便利でした。各種ショートカットキーは、PC向けユーティリティ「Logi Options+」でカスタマイズ可能。最大3台のデバイスを切り替えて使えるEasy Switchも本体右側上部に搭載しています。
打鍵は軽め。強く打っても動かない&たわまない
キースイッチ構造はパンタグラフ式で、かなり軽い打鍵感です。構造上カシャカシャ音が鳴りがちなパンタグラフ式ですが、本機は音を抑えた作りといいい、打鍵音は筆者が普段使っている「MX KEYS MINI」(MX KEYS Sの前モデル「MX KEYS」のテンキーレス版)と同じか、やや小さくも感じます。
家や職場で使う分にはうるさく感じることは少ない反面、プラスチックが当たる音もそれなりに発生するので、図書館や静かなカフェなどでは気になるかもしれません(日頃持ち歩くようなキーボードではないですが……)。
配列に奇をてらう部分はなく、カーソルキーも標準サイズでミスタイプを誘発する並びもほぼありません(強いていうならEscキーが横長のため、よく使うF1/F2キーを押し間違えることがたまにありました)。Fnキーが右下にしかない点はちょっと残念。
冒頭に書いた通り剛性は高く、かなり強めに打鍵してもたわみを感じにくく打ちやすいです。内部にアルミプレートが入っており、ロジクールでは「頑丈さ」もアピール。表面はプラスチックですが、安っぽい光沢感はありません。印字はシルク印刷のように見え、ここは長期使用時のかすれなどが気になるところではあります。
本体の厚みが23.1mmと薄いため、背面上部に設けられた出っ張りで自然に傾斜が付くデザインではあるものの、さらにスタンドを利用して角度を付けた方が打ちやすいです(スタンド利用時の傾斜角度は8度)。
裏面を見ると7カ所の滑り止めが設けられており、タイピング中も本体が滑ることなく入力できました。個人的には数字キーを多用しないので、テンキーレス版も希望したいところです。