直近の海外IT系ニュースサイトには、Windows 12というキーワードが頻繁に登場している。現行のWindows 11はMoment 2だが、おそらくMoment 3ないしMoment 4のタイミングでリブランディングするのだろう。「Moment」はWindowsのUIや機能群の総称であり、昨今の丸みを帯びたデザインはWinUI 2.2でサポートされた。ただし、Microsoftは表立ってMomentというキーワードを用いていない。
現在のWindows 11は機能更新プログラムの提供を年2回から年1回に変更し、新機能の提供や品質向上に努めているが、古いWindowsユーザーならService Packを思い浮かべるかもしれない。以前のService Packは、それまでリリースした更新プログラムや一部の新機能を盛り込んだ更新プログラム。数年に1回のペースでリリースされていたので、現在の機能更新プログラムのペーストは似て非なる。だが、Windows 10リリース直後から数年間、機能更新プログラムを年2回提供していたことを思い返すと、Windowsの更新スケジュールは先祖返りしつつあるのだろう。
Windows 10が突然Windows 11になったことを思えば、Windows 12が登場しても何らおかしくはない。ここのところ、いくつかのB2B系PCメーカーの発表会に参加していたが、いずれの担当者も「Windows 10からの移行」がPC出荷台数の増加に寄与したと語っていた。ただ、さまざまなオンライン発表会に参加しても、スライドを映し出すPCはWindows 10を使用していることが多く、Windows 11を見かけるようになったのは2023年に入ってから。従業員に貸与するPCの切り替えが、ようやく始まったのだろう。
法人・個人ユーザーがPCを買い換えるとき、OSのメジャーバージョンアップは大きな動機付けのひとつだ。我々も「Windows○○がリリースされたからPCを一新するか(買い換える)」と向き合ってきたのではないだろうか。筆者もWindowsがWindows 10のままであれば、古いデスクトップPCの刷新を逡巡(しゅんじゅん)することはなかった。
また、Windows 12が登場する可能性を高くしているのが、システム要件に変更が加わるという噂(うわさ)だ。明確なニュースソースではないので引用を控えるが、Windows 12の最低メモリー容量は8GBに拡大するという。Windows 11もシステム要件を大幅に変更し、古いPCのアップグレードが難しかったことは記憶に新しい。
加えてWindows 12は新たな開発スタンスに取り組んでいるという。現時点で概要は見えてこないが、開発コード名「Core PC」はWindowsの機能をモジュール型に切り分け、各エディションへの対応を容易にすることが狙いだ。なお、ここで述べてきた情報はMicrosoftの公式情報ではなく、あくまでも噂レベルの話だが、セキュリティ対策と機能向上を高速化させる目的で分離化するのは至極当然である。
前述の海外IT系ニュースサイトでは、Windows 12の登場を2024年後半と予想している。Windows 10は2025年10月14日、Windows 11 バージョン22H2は2024年10月8日でサポート終了日を迎える。Windows 11は機能更新プログラムがまだまだ続いており、正確な終了日は現時点で不明だ(いずれもHome/Proエディションの太平洋標準時終了日)。これらのことを総じて考えてみると、Windows 12が2024年~2025年にリリースされる信憑性は高い。筆者としてはPC買い換え(組み替え)のタイミングを先延ばしされた気分だが、昨今のIT状況と常に変化するWindowsなら致し方ないのだろう。
著者 : 阿久津良和
あくつよしかず
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