ロシア中央銀行(CBR)は、ロシアにおける仮想通貨の発行、マイニング、流通の禁止を提案する立場を改めて表明してから2週間弱、その方針を見直したようだ。17日に発表されたプレスリリースで、CBRは、デジタル金融資産の情報システムオペレーターに、国内最大の金融機関であるスベルバンクを登録したことを明らかにした。ロシアのニュースメディアであるタス通信によると、CBRは次のように述べた。

“登録されることで、企業はデジタル金融資産を発行し、そのプラットフォーム内でユーザー間取引ができる。”

スベルバンクのブロックチェーンプラットフォームは分散型台帳技術に基づいており、理論的には情報の改ざんが不可能だ。スベルバンクは間もなく、金融債権を証明するデジタル財務諸表の発行、スベルバンクのシステムに割り当てられたデジタル資産の取得、仮想通貨トランザクションを行うことができるようになる。スベルバンクのトランザクションビジネス部門のディレクターであるセルゲイ・ポポフ氏は、この開発に関して次のように発言した。

「私たちはまだデジタル資産を扱う初期段階にあるが、既存の規制の枠組みに適応するためにはさらなる発展が必要だ。この方向性については、規制当局や行政当局と緊密に連携していく」

国有銀行であるスベルバンクは、ロシア・ウクライナ戦争が始まって以来、米国財務省による制裁などの対象になっている。今月初めには、欧州連合(EU)の制裁により、スベルバンクはほぼすべての欧州市場から撤退した。同時に、ロンドン証券取引所では同社の外国預託証券が99%以上急落し、取引が停止され、終値は0.05ドルとなっている。

スベルバンクに課された壊滅的な制裁とCBRの暗号に関する明らかな政策転換により、デジタル通貨は問題を抱えたスベルバンクの「命綱」になるかもしれないとの憶測を呼んでいる。しかし、専門家は、制裁を受けた金融機関が仮想通貨を利用して制裁を回避できるとは考えていない