今週初めのビットコイン(BTC)相場は痛恨のリトレースメントによって、2021年9月以来の4万ドル割れとなった。

多くのアナリストは、3万ドルから3万5000ドルのレンジに向かって下落が続くと予測したが、価格は再び4万ドルをサポートとして取り戻し、12日には4万4000ドルを超える突然の上昇をみせた。このため、40,000ドルは2022年に上昇を続ける前にビットコインの底値であるという期待が再燃している。

フィデリティ・インベストメンツのグローバルマクロ担当ディレクターであるジュリエン・ティマー氏は、4万ドルを「極めて重要なサポート」と指摘し、ビットコインがこのレベル付近で「テクニカル的に売られ過ぎ」になっており、短期的には反発に相当する可能性があると主張した。

BTC/USD daily price chart. Source: TradingView

ティマー氏の強気な見通しの核となるのは、ストキャスティックRSI、S字カーブモデル、ビットコインと金(ゴールド)の比率指標という3つだ。

ストキャスティックRSIは明確に反発示唆

ストキャスティックRSIは、ある資産の終値と一定期間の高値・安値の幅を比較するモメンタム指標だ。この指標は0から100の間で変動し、80以上の領域は「買われすぎ」、20以下の領域は「売られすぎ」の状態を警告する。

この指標は、高値・安値の幅(%K)と同じ高値・安値の幅の移動平均 (%D)の関係を追跡することによって、トレーダーがトレンドの反転を 発見するのを支援するもの。つまり、売られすぎの領域で、%Kの波が%Dの波と下からクロスした場合、買いシグナルとなる。

同様に、買われすぎの領域で、%K線が%D線を上からクロスすれば、売りシグナルを返す。

ティマー氏が指摘するように、ビットコインの%K波は%D波の上方で上昇し、価格が4万ドル以上のサポートを維持したように、買いトレンドを示唆している。

BTC/USD price chart featuring its recent pivot at support and Stochastic RSI readings. Source: Fidelity

「ビットコインは4万ドルで超えてはならない一線に到達し、現在はテクニカル的に売られすぎだ」とティマー氏は12日にツイートし、「3万ドルのように4万ドル台は極めて重要なサポートエリアのようだ」と指摘した。

価格はS字カーブモデルに従う

ティマー氏はさらに、2012年以降のビットコインの弱気サイクルの終わりを予測するのに役立っているとしている。需要曲線を提示した。

Bitcoin supply and demand models. Source: Fidelity

2021年4月から6月にかけて、この曲線はBTCの価格変動に追随して3万ドルから反発し、現在では4万ドル付近で同じようにサポートとして機能しており、次のBTCの反発は10万ドル付近のレベルに達する可能性がある。

「2021年の3万ドル台は、私の需要モデル(S字カーブモデル)に基づくサポートとなった」とティマーは主張した。

「同じレベルが40,000ドルに上がり、再び基本的なサポートを提供しているようだ。一般的に価格の基本的なアンカーを提供する移動目標だ」

BTC/ゴールド比率はビットコインの売られすぎを示唆

ビットコインは、金に対する価格パフォーマンスに関しても、「緩やか」ではあるが売られすぎのようだ。ティマー氏が指摘するように、いわゆるBTC/金比率は、2021年に37.4で2度頂点に達した後、22のサポートまで落ち込んでいる。

Bitcoin vs. Gold. Source: FMRCo, Bloomberg, Fidelity

一方、この急落により、ボリンジャーバンドは売られ過ぎの領域に入り、金市場からビットコイン市場へ資本が移動し始める可能性を示す古典的な買いシグナルとなった。

この予測は、ブルームバーグ・インテリジェンスが最近発表した仮想通貨の見通しと一致するものだ。シニアコモディティストラテジストのマイク・マクグローン氏が執筆したこのレポートでは、金市場からビットコイン市場への資金移動が確認されている。また、マクグローン氏は、特に米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策の結果、インフレ率が高水準にあることから、この傾向は続くだろうと指摘している。

「2022年までに金は1オンス2,000ドルに向かって上昇する可能性が高いが、ビットコインはより大きな速度で上昇すると見ている」