今後7日間で、ビットコインのプロトコルは、ネットワークのプライバシー、効率、スマートコントラクト機能を向上させることを目的としたソフトフォーク「タップルート 」が行われる。

タップルートは、SegWit(Segregated Witness)が導入された2017年8月以来のビットコインのメジャーアップグレード。前回のソフトフォークであるSegWitでは、主にトランザクション展性の修正とビットコインのネットワークのスケーラビリティの向上を目指した。一方のタップルートでは、トランザクションの効率性、プライバシーを刷新し、スマートコントラクトの取り組みをサポートすることを目指している。

タップルートのアップグレードは、ビットコインのマイナー(採掘ノード)の間で90%のコンセンサスを達成した後に展開されることになっており、2021年6月に、ビットコインの開発者であるHampus Sjöberg氏がその発表をツイートした。

タップルートでは、マークル化抽象構文木(MAST)が導入され、送信者と受信者が一緒に決済取引にサインオフできる条件が導入される。

またシュノア署名というアルゴリズムが実装され、1つの取引に対して複数の署名を1つに集約することで、通常の取引とマルチシグの取引の違いをわからなくする。

シュノア署名は、ユーザーの秘密鍵と公開鍵を変更し、各取引の正当性を確認するために検証可能な方法で使用することもできる。

本稿執筆時点で、Sjöberg氏が構築したウェブサイトTaproot.Watchでは、1020ブロックのマイニングに成功した後、11月14日にTaprootのアップグレードが有効になることが示されている。

つい先月、310億ドル相当のオンチェーン・トランザクションを決済したことで、ビットコイン・ネットワークの1日の決済額が過去最高を記録した。

2020年初頭と比較すると、ネットワークの1日の決済額は40倍に増加しており、これはエルサルバドルやその他の管轄区域でのビットコインの主流な採用に支えられたものだ。

「ビットコインのネットワークは、現在、1秒間に約19万ドルの取引を行っている。これを、米国の顧客向けのVisaが1秒あたり13万ドル、Mastercardが1秒あたり5万5千ドルであることと比較してほしい」と、オンチェーン・アナリストのウィリー・ウー氏は述べている。